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純金融資産1億円以上を持つ国内のお金持ちは165万3千世帯、保有資産額は469兆円…なぜ「シン富裕層」が2013年以降激増したのか

 東京23区の新築マンション価格の高騰が止まらない。不動産経済研究所によると、2025年4〜9月の平均価格は1億3309万円と前年同期に比べ20.4%伸び、上半期の過去最高値を更新したという。

 なぜこんなにも不動産価格が上がっているのか。不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏は「これまでの日本には見られなかった、新しいタイプの富裕層がここ最近激増しています」という。「シン富裕層」の正体とはーー。

 みんかぶプレミアム連載「牧野知弘 不動産を斬る!」

目次

純金融資産1億円以上を持つ国内のお金持ちは165万3千世帯、保有資産額は469兆円

 街中や駅で平日でも大勢の外国人観光客の姿を見ることはもはや日常になりました。でも歩いている旅行客の姿をよく観察してみると、外国人ばかりではなくごく普通の日本人観光客が多く混ざっていることに気づきませんか。

 リタイアした高齢者が、自由な時間を使って旅行を楽しんでいるのかと思いきや、普通のファミリー層も目立ちます。以前は、勤め人の多くは月曜日から金曜日まで会社のデスクに座って仕事に追われる生活。平日、ましてや子供を連れて観光旅行するなどということはめったにないことでした。ところがキャリーバックを引きずっている中に、若いカップルや「学校はどうしたんだろう?」と思われる小学生の手を引いた夫婦といった、ごく普通の人たちが大勢混じっています。

 野村総合研究所が発表する「2023年の日本における純金融資産保有額別の世帯数と資産規模の推計値」にそのヒントが隠されています。この調査は2年に一度行われるもので、世帯が保有する純金融資産(資産額から負債額を控除した額)を5つのカテゴリーに分けて、世帯数と保有額を分析したものです。

 カテゴリーの分け方は純金融資産額が5億円以上を「超富裕層」、1億円以上5億円未満を「富裕層」、5000万円以上1億円未満を「準富裕層」、3000万円以上5000万円未満を「アッパーマス層」、3000万円未満を「マス層」として、各カテゴリーに属する世帯数および、金融資産保有額を調査しています。

 仮に「お金持ち」の定義を、「億万長者」の呼称に倣って、純金融資産で1億円以上とすると、国内のお金持ちは165万3千世帯、保有資産額は469兆円となります。全世帯数の3.0%でなんと金融資産全体額の26.1%を保有していることになります。

ここ18年間で超富裕層と富裕層が特に増えている

 さてこれを18年前の2005年との比較で指数化してみましょう。2005年の世帯数及び金融資産額をそれぞれ100として、18年間の推移をみたのが次のグラフです。驚くべきことに超富裕層と富裕層の伸びが著しいことがわかります。

出所:野村総合研究所データからオラガ総研作成

 18年間を世帯数でみると、超富裕層は2.27倍、富裕層は1.89倍もの高い伸び。全体世帯数の伸びは1.14倍ですから、いかに急伸したかがわかります。いっぽうでアッパーマス層およびマス層という一般層は全体世帯数の伸びを下回ります。

 資産額でみても同様の傾向で、超富裕層に至ってはなんと2.93倍、富裕層も2.0倍の増加です。全体額は1.56倍なので、多くの金融資産が「お金持ち」に集積しているさまが窺えます。ここでもアッパーマス層及びマス層は全体の伸びを下回っています。

なぜこんなにもお金持ちが増えているのか。2013年以降に起きたこと

 2013年以降、「お金持ち」が急増しているのです。2013年と言えばアベノミクスと呼ばれる大規模金融緩和がスタートした年です。大規模金融緩和が日本に大量の金持ちを誕生させるきっかけになったと言えそうです。もう少し詳しくみてみましょう。

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この記事の著者
牧野知弘

不動産事業プロデューサー。東京大学経済学部卒業。第一勧業銀行(現・みずほ銀行)、ボストンコンサルティンググループを経て三井不動産勤務。J-REIT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て、2015年にオラガ総研株式会社の代表取締役に就任。ホテルなどの不動産事業プロデュースを展開している。著書に『なぜマンションは高騰しているのか』(祥伝社新書)など多数。

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