投資被害の平均被害額は約500万円・・・著名弁護士が教える!実家の親を「投資詐欺」から守る方法

「久々に実家に帰ったら、親が怪しい投資商品を買っていた」
「退職金を投資で失ったと言われ、金銭援助を求められた」
定年退職後の親が気づいたら投資詐欺に引っかかっている、騙されているのに気づかずに大金を注ぎ込んでいる。そんなケースが後を絶たない。
「現在の高齢者はお金も持っているし、個人情報保護法の施行前に作られた名簿が流出している。詐欺グループにとって格好の餌食です」
そう語るのは、数々の社会事件・詐欺事件に携わってきた紀藤正樹弁護士だ。
「高齢者を狙った投資被害の平均被害額は約500万円。一度騙されれば、老後資金はあっという間に消えてしまいます」
長年の経験から見えてきた投資詐欺の実態と、親の資産を守るために子世代が知っておくべきポイントとは。全3回の第1回。
目次
なぜ投資詐欺にハマってしまうのか
投資詐欺や怪しい儲け話でお金を失う。
テレビのワイドショーなどではよく話題になるテーマです。しかし、実際に身の回りでそのような被害を受けたという方は少ないかもしれません。
それもそのはず。実は詐欺被害に遭っても被害を届け出るのは、多く見ても、全体のわずか20分の1と言われています。
報道される事件の裏で、何十倍もの被害が埋もれているということです。あなたの親が被害に遭っていても、恥ずかしさや自尊心から誰にも言わず、家族すら知らないまま資産が消えているかもしれません。
被害者の多くは安全な形で資産形成をしたい、老後資金を蓄えたいという人たちがほとんど。その心理に漬け込む形で、これまで数多くの詐欺事件が引き起こされました。
<1980年代 豊田商事事件>
約2000億円の被害を出し社会問題化した事件です。豊田商事は訪問販売で「金に投資しませんか。金はこちらで預かって保管するので安全です」と資金を集めていました。実際には金は購入しておらず、新規加入者から集めたお金を配当に充てていました。高齢者の自宅を訪問し、長時間居座って契約を迫る手口が問題視されました。
<2000年代 安愚楽牧場事件>
安愚楽牧場事件は「和牛のオーナーになれば、生まれた子牛の売却益が得られます。牧場には実際に牛がいるので安心です」という触れ込みでした。無料の牧場見学ツアーも実施し、実際に牛を見せることで信用を得ていました。しかし実際には牛の頭数が帳簿上の数字と合わず、新規契約者から集めた資金を既存契約者への配当に回していました。7万人以上から4000億円以上を集め、2011年に破綻しています。
<2010年代後半 かぼちゃの馬車事件>
「女性専用シェアハウスに投資すれば、家賃収入で確実に儲かります。30年間の家賃保証もつけます」と若手サラリーマンに不動産投資を持ちかけました。実際に物件も建設され、入居者もいたため信用されやすかったのです。しかし入居率が想定を大きく下回り、運営会社が家賃保証を履行できなくなって破綻。多くの投資家が物件と多額のローンだけを抱える事態となりました。
ほかにも仮想通貨投資や海外リゾート開発投資など様々な詐欺が、手を変え品を変えて発生しています。
そして現在、問題視されているのが「みんなで大家さん」のような不動産投資型商品です。「不動産に投資すれば年7%の配当が得られます。不動産は実物があるので安心です」という謳い文句で、高齢者を中心に資金を集めています。