「売られてもすぐに拾われる下がりにくい相場」投資助言者が見る今後の株価とリスクシナリオ

史上最高値を更新し続ける日経平均株価は、どこまで強さを維持できるのか。また、相場の土台となっているAIブームにはどんな「ほころび」が潜んでいるのか。
好調相場の裏側で、プロは何を見て、どこに警戒しているのか。投資歴20年超、投資助言者として日々投資家にアドバイスを届ける投資助言者【馬】(@Investment_UMA)さんに伺いました。
インタビュー全2回の第1回。
目次
株が完全に先行して上昇
ーー日経平均株価がここまで上昇している中で、馬さん自身は「波に乗った」感覚はありますか?
正直、ほぼ置いていかれました。私のように慎重派で、「戻り」を狙うタイプの投資家は、こういう相場ではだいたい取り残されます。
個別のセクター循環を重視してポジションを考えて注文を組んだんですが、高市早苗さんが総裁に就任されて10月は為替相場の円安進行を背景に、日本株の一部に資金流入が加速した報道も後から出ていましたが、リアルタイムで見ていた私からすると株が完全に先行して上昇していたと思います。
ドル円につきましても、高市首相になった週明けは2円ほど上窓をあけてはいましたが、加速したというより、株高に追随した印象です。
ーーそもそも、ここまで上がると予想していましたか?
全く予想していませんでした。年内に5万円を予想していた人はほとんどいないのではないでしょうか。
私自身は「ほんの少し、5万円にタッチするくらいはあるかも?」「タッチした後は4万円台でうろうろするんじゃないか」というイメージでした。
ーー前回の取材時は「こんなに株が上がっている意味が分からず怖い」ともおっしゃっていましたよね。
実体経済との乖離があるため、今も恐怖感は持っています。バブル期は、賃金もうなぎ登りで、お札を見せてタクシーを止めるような時代でした。
ところが、今は違いますよね。物価だけ上がって、給料はそこまで追いついていません。だから「株価だけ先行している」という違和感は消えないのです。これは、賃金が追いついていない今の株高は、それだけ海外勢に買われているのだと考えています。海外勢から日本株は「世界で最もコスパの良い資産」に見えているのです。