1度きりの人生、お金をどう使うべきなのか?世界累計800万部の大ベストセラー著者が解き明かす、“アート”なお金の使い方とは

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 人はどうやってお金を使えば、幸せになれるのだろうか。世界累計800万部の大ベストセラー『サイコロジー・オブ・マネー』の著者であるモーガン・ハウセルは、「真に価値のあるお金の使い方についての議論のほとんどは、人生経験が違う人たちがそれぞれの考えを述べているにすぎない」と述べる。そんな中で、あなたにとって“最適”なお金の使い方を、同氏が解説する。

※本稿はモーガン・ハウセル著、児島修訳『アート・オブ・スペンディングマネー: 1度きりの人生で「お金」をどう使うべきか?』(ダイヤモンド社)から抜粋・再構成したものです。

目次

お金の使い方は「アート」

 人とお金の関わり方は、表計算シートや数字を見ているだけではわからない。それは、単なる数字よりもはるかに複雑だ。

 人間とお金との関わりを理解するには、心理学や社会学、そして「人間は一人ひとり違う」という事実を理解しなければならない。

 さらに、誰もがその人なりに最善を尽くして人生を乗り切ろうとしていること、自らの経験を通して世の中を解釈していること、なりたい人間になろうとしていること、周りの目を気にしていることなども理解しなければならない。

 学校では、ファイナンスは美しい公式や論理的な結論がある「サイエンス」として教えられている。しかし現実の世界はそうではない。

 お金の使い方とはアートなのだ。

自分のお金の使い方は自分で見つけるもの

「お金の使い方のアート」を理解するうえでとても重要なアドバイスを2つ紹介しよう。 

1.何にお金を使うべきか、使うべきでないかを、誰かに指図されてはいけない。唯一の「正しい方法」などない。どうすれば幸せになり、充実感が得られるかは、自分自身で見つけ出す必要がある

 「パーソナルファイナンスでは、“ファイナンス”の側面よりも“パーソナル”の側面のほうが強い」とファイナンシャル・アドバイザーのティム・マウラーは語っている。私がこれまでに聞いたお金に関する名言の中でも、とりわけ秀逸なものだと思う。 

 お金の問題の多くは、世間で「こうあるべきだ」と言われている方法でお金を使ったり貯めたりしているのに、それが自分の価値観に合わないことから生じている。人々は、本来はとても個別的であるはずの問題に対して、万能薬を求めている。まるで、本当の自分ではない誰かとして人生を歩もうとしているかのように。 

「イタリア料理が好きな人もいれば、メキシコ料理が好きな人もいる」という考えは、誰もが理解しているだろう。これはどちらが正しいとか間違っているとかではなく、単に好みの問題だ。 

 しかし、「どんな家に住むか」「どんな服を着るか」「いつリタイアすべきか」「どれくらいの頻度で旅行に行くべきか」「どんなレストランで食事をすべきか」といった問題になると、同じ考え方ができなくなる人が多い。友人や家族、同僚、ネット上の見知らぬ他人たちからも、「そのライフスタイルは間違っている」と指摘される。

 お金との関係がいかに個人的かつ感情的なものかを理解して初めて、この道のりは周りの声に惑わされずに自らの判断で進むべきものであると気づけるようになる。

 たしかに配偶者や子どもも、一緒にこの道のりを歩んでいるかもしれない。だが基本的に、あなたは他人の意見に振り回されることなく、自らの決断で自分の道を見つけるべきなのだ。 

「正しいお金の使い方」は一つではない

2.他人のお金の使い方を尊重する 

 コメディアンのジョージ・カーリンはこう言った。 

「あなたより遅く運転する人はみんなバカで、あなたより速く運転する人はみんな狂人だ!」 

 私たちは、自分と違う選択をする人たちのことを間違っていると見なしがちだ。

 どんなネガティブな結果を招くかをまったく理解しないままお金を使っている人がいるとしたら、それは問題かもしれない。その場合は、誰かの助けやアドバイスが必要だと言えるだろう。しかし、自分と違うお金の使い方をしているという理由だけで、誰かを批判するのはまったく別の話だ。 

 他人のお金の使い方を理解するのが、とても難しく感じる場合もあるだろう。その理由もよくわかる。 

 もし私があなたと違うライフスタイルを選ぼうと決めたら、あなたはそれを自分の選択を否定する行為ととらえるかもしれない。特に、自分の選択に疑問や不安が残っている場合はなおさらだ。そして、誰もが自分の選択に疑問や不安を持っているものだ。 

 危険なのは、誰かのお金の使い方を批判するとき、「正しいお金の使い方は1つしかない」と思い込んでしまうことだ。

 その正しいお金の使い方とは、つまりは自分のお金の使い方である。 

 だがそうなると、自分の選択について振り返ってみたり、もっと良い方法はないかと考えてみたり、自分の感情を理解しようとしたりすることが難しくなってしまう。他人のお金の使い方を批判するには、頑固なまでの自信が必要になる。それは、私たちの成長を妨げてしまいかねない。

 健全なファイナンスの哲学とは、他人の経験を尊重し、自らの経験を理解し、「十分な情報があれば、あらゆる行動は意味をなす」という考えを忘れないようにすることなのだ。

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この記事の著者
モーガン・ハウセル

ベンチャーキャピタル「コラボレーティブ・ファンド社」のパートナー。投資アドバイスメディア「モトリーフール」、ウォール・ストリート・ジャーナル紙の元コラムニスト。米国ビジネス編集者・ライター協会Best in Business賞を2度受賞、ニューヨーク・タイムズ紙Sidney賞受賞。妻、2人の子どもとシアトルに在住。著書に、世界的ベストセラー『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』(ダイヤモンド社)、『SAME AS EVER この不確実な世界で成功する人生戦略の立て方』(三笠書房)がある。

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