老後資金作りに「株式投資は危険」は誤解……インデックス投資が資産形成の王道である理由

鳥海翔
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 老後への不安が強まる中、「株式は危険だから手を出すべきではない」と考える人は少なくない。ファイナンシャルプランナーの鳥海翔氏が、まさにそのように考える人たちに向け、世界経済の長期成長データとインデックスファンドの特性をもとに、老後資産をつくるための合理的な投資方法を解説する。全3回中の1回目。

※本稿は鳥海翔著『マンガでわかる 「だまされない」お金の増やし方 思考停止でも月10万円受け取り続ける投資術』(KADOKAWA) から抜粋、加筆修正したものです。

第2回:たくさんある「オルカン」、これを選べばOK!初心者でも迷わない長期投資に向いている4つの主要商品

第3回:投資が不安な初心者こそ知ってほしい、長期資産形成の基本「インデックスファンド」という第一歩

目次

株式投資は本当に危険?「預貯金だけ」のリスク

 老後の備えとして資産運用を考える人が増えている一方で、「株式は危険だから手を出すべきではない」という声はいまだ根強くあります。預貯金や国債といった安定資産に比べ、株式には値動きの上下があるため、不安を感じるのは自然な反応です。

 しかし、限られた収入と時間の中で老後資金をつくる必要がある人にとって、株式投資を避け続けることは本当に合理的といえるのでしょうか?

 まず考えたいのは、資産運用の目的です。老後の不安を取り除き、安心して暮らすための資金を確保することがゴールであれば、増える力の弱い資産だけで備えようとしても、必要額に届かない可能性があります。「資産が足りない」「お金を増やさなければいけない」という状況なら、安定資産などと言っている場合ではありません。

 預貯金や債券は元本が大きく減るリスクを抑えられる一方で、資産を増やす力が弱いという特徴があります。インフレが進んだ場合、実質的な購買力が目減りする恐れもあります。そのため、老後資金をゼロからつくり上げる人にとっては、増加率の小ささは致命的になりかねません。

 その点で、長期・分散を前提とした株式投資、特にインデックスファンドを通じた投資は有力な選択肢となります。インデックスファンドは多くの銘柄に分散投資しており、特定企業の業績に過度に左右されにくい商品です。

 価格変動の幅はあるものの、世界全体の成長を反映するため、長期で見れば比較的安定した上昇が期待できます。低リスクの投資信託を長年にわたって買っていけば、結果的に資産を大きく増やすことができます。

「世界経済は悪くなる一方」というニュースに騙されるな

 もちろん、株式投資に“絶対”はありません。しかし、短期の上下を気にしすぎると、いつまでも投資を始められず、その間に失われる複利効果は大きな機会損失となります。投資とは「長く続ける仕組みをつくる行為」でもあり、値動きのある資産とどう付き合うかが鍵になります。

 また、経済そのものの将来に対する不安も、投資をためらいたくなる大きな理由の一つです。景気や株価の下落局面でよく、「世界経済は崩壊する」「近い将来に大恐慌が起こる」といった悲観的な予測を耳にしませんか。

 しかしながら、世界経済の長期推移を見ると、悲観一色とは言えません。実際に、世界のGDPは1980年の11兆ドル台から2025年には113兆ドル超へと10倍規模に拡大している事実があります。

 世界経済が成長している背景には、人口の拡大と技術革新があります。人口が増えれば働く人が増え、モノやサービスの需要も伸びます。加えて技術進歩が重なれば、経済は大きな推進力を得ます。日本の高度成長期がその典型例です。

 今後、先進国では人口が減少する地域もありますが、インドや東南アジア、中南米など新興国の人口は増加を続けています。その限り、世界経済の成長トレンドが一方向に崩れるとは考えにくい状況です。

 一方で、メディアは短期的な値下がりや大きなニュースがあると、どうしても悲観的な見方を強調しがちです。そうした情報に触れ続けると、不安が大きくなり、投資に踏み出せなくなる人もいます。ただ、本当に大切なのは、報道の雰囲気に流されることではなく、自分で落ち着いて数字を確認していく姿勢なのです。

インデックス投資→安定資産への移行が最も合理的

 投資において最も避けるべきなのは、はっきりした理由のない不安に押されて、長く続ければ得られるはずのメリットを自分から手放してしまうことです。世界経済がこれまで成長してきたという事実を見れば、その流れにゆっくりと乗っていく方法が、資産づくりにも無理のない選択になります。

 とはいえ、手元のお金をすべて株式に寄せる必要はありません。インデックスファンドで少しずつ資産を育てながら、「これなら安心できる」と思える金額が確保できた段階で、少しずつ現金化していく。そんな順番で考えると、気持ちにも余裕が生まれやすくなります。投資で増やす時期と、守る時期をていねいに切り替えていくことが大切です。

 株式投資を避け続けることが安全だと考える人は少なくありません。しかし、実際には「増えないリスク」もまた大きな問題となります。老後に必要なお金が足りなければ、守るどころか日々の生活そのものが苦しくなってしまいます。

 だからこそ、未来の自分を支えるためには、無理のない範囲で少しずつリスクを取り、長く育つ資産を積み上げていくことが大切になります。

 投資がこわいと感じてきた人でも、世界経済の成長の数字やインデックスファンドの仕組みを知ると、不安が和らぎやすくなります。必要なのは、焦らずに正しい知識を身につけ、長い目で続けていく姿勢です。時間を味方につけながら資産を育てていくことが、将来の安心へと自然につながっていくでしょう。

鳥海翔著『マンガでわかる 「だまされない」お金の増やし方 思考停止でも月10万円受け取り続ける投資術』(KADOKAWA)

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この記事の著者
鳥海翔

ファイナンシャルプランナー。慶應商学部卒業後、三井住友海上を経て2016年に株式会社Challengerを設立。金融リテラシーの普及を目指し「Private Bank College」を開設。YouTube「鳥海翔の騙されない金融学」は登録者約40万人(2026年2月時点)。東証ETF解説動画コンテスト優勝。ミドルシニアの資産形成を支援し、初の著書『だまされないお金の増やし方』(KADOKAWA)を刊行。

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