あなたの“お金への意識”をチェック!貯蓄が楽しくなる「お財布マインドフルネス」とは

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 「なかなかお金が貯まらない」と嘆く人は多い。そんな中で、明治大教授の堀田秀吾氏は「貯金が続かないのは、あなたの『意志』が弱いからではなく、『行動の構造』がうまく整っていないから」だと話す。「お金への意識」を測定したうえで、どうすれば貯蓄ができるようになるのかを堀田氏が解説する。全3回中の第1回。

※本稿は堀田秀吾『ハーバード、オックスフォード、スタンフォードetc.世界の名門大学が導いた科学的に正しい[お金が貯まる]習慣』(扶桑社)から抜粋したものです。

第2回:株価チェックの最適解は「年1回」?行動経済学が教えるもっとも効果的な貯蓄・投資の心得

第3回:「仕組み」にこそ投資せよ!未来の自分を信じるための経済学

目次

貯蓄に効くのは「得」より「損」

 ちょっと想像してみてください。毎月の貯金額や使い方について、月が終わったあとに振り返りのフィードバックがあるとしたら?

「先月はちょっと使いすぎたね」「こんな節約法があるよ」とか、わかりやすく伝えてくれる。これがあると、自分の行動の結果を実感できるし、「次はこうしよう!」と効率的に貯蓄を進められます。

 ミラノ大学のカサルらの研究では、人が効率的な選択をするためにどんなフィードバックが効果的かを調べる実験をしました。

 特に注目したのは「フィードバックの伝え方の違い」。たとえば「今買わないと1万円損」のように、損失を伝える「ネガティブなフレーミング」、つまり失うことを強調する言い回しが、実は貯蓄行動をぐっと育てるのです。人は失うことに敏感で、その情報をもらうと「もっと頑張ろう!」と学習します。

 一方、「得したよ!」というポジティブな伝え方だけでは、そこまで効果は大きくないんですね。また、毎回細かくフィードバックしてもらうのは理想かもしれませんが、複数回(実験では3回分で実施しました)まとめて伝えても効率が落ちないことも判明しました。

 コスト(=フィードバックを提供するためにかかる費用や労力)がかかる場合はフィードバックの頻度を減らしても大丈夫というのは嬉しい発見ですね。

 そして、意外にも、仲間の情報(社会的フィードバック)が必ずしも良い影響を与えないこと。

 特に、「うまくいっていない人だよ」と言われると、「まあ、自分もそんなものか」と諦めたり、やる気をなくしたりしてしまうようです。逆に、成功者の例を見ても、「自分には無理かも」と、あまり効果がないこともわかりました。

 最後に、男女間での反応の差もあり、女性のほうが効率的な貯金プランを探すのに慎重な傾向があったそうです。これも、自分に合ったアプローチを考えるヒントになるでしょう。

 この研究はシンプルに言えば、「ちゃんと自分の行動結果を教えてあげること」「そして、それを損失的に伝えること」が、賢く貯蓄するために大事ですよ、ということ。

 つまり、自分の貯金の“無駄遣い”をやさしく教えてくれるフィードバック機能があれば、モチベーションがアップして効率よくお金を貯められる可能性が高いのです。

ひとことアドバイス
自分の行動を「損失」として意識させてくれるフィードバックを活用して、モチベーションを維持しよう!

貯蓄が楽しくなる「お財布マインドフルネス」

 実はお財布との付き合い方をちょっと工夫するだけで、貯蓄がラクに、そして楽しくなる方法があるんです。その名も「フィナンシャル・マインドフルネス」。ここでは、もう少しポップに「お財布マインドフルネス」と呼びましょう。

 これは何かというと、「今の自分の経済状態にちゃんと気づいて(=気づき)、なおかつその現実を無理に変えようと焦らず受け入れる(=受容)」という心の姿勢のこと。これを意識すると、お金にまつわる焦りや不安に引っ張られにくくなり、無理のないペースで貯まる行動を選べるようになります。

 コーネル大学のガルビンスキーらの研究では、このお財布マインドフルネスを数値化するための8つのチェック項目からなるスケールを作成しました。

 たとえば「銀行残高を見ても感情的にならないか?」や「予想外の出費があっても冷静でいられるか?」など、自分のお金に対する感情のあり方をチェックできます。これらの姿勢を持っている人は、無駄遣いを減らすだけでなく、将来のための貯蓄行動にも前向きになりやすいのです。

 なぜなら、貯蓄は、「我慢」や「無理な節約」ではなく、まずは「今の自分のお金の状況を正確に知って、その現実を認める」ことから始まるからです。

 お財布マインドフルネスがあれば、使いたい気持ちや不安な気持ちに押し流されることなく、計画的にお金を管理できます。忙しい毎日の中でも「今日の支出はこれくらいでOK」と冷静に判断できるので、無理なく賢い貯蓄が続けられるのです。

 しかも、このお財布マインドフルネスは、ただ知識や計画だけを頼りにするよりも、感情のコントロールと受け入れを重視している点がユニーク。

 つまり、ただ「節約しなきゃ!」と自分を追い詰めるのではなく、「今の自分とお金の関係をちゃんと見て、受け止めてから一歩踏み出そう!」という柔らかさが貯蓄しやすい心をつくってくれるんですね。

ひとことアドバイス
不安になったら、「今の自分をただ見つめる」ことを意識してみてください。
それだけでお財布との関係がだんだんと優しくなりますよ!

あなたの「お金への意識と感情の傾向」を測ってみよう

 お財布マインドフルネスの8つのスケールは、2つの重要な要素―「財務的気づき」と「財務的受容」を測るための計8つの質問から構成されています。それぞれ4つのチェック項目があり、個人のお金に対する意識と感情の傾向を測ることができます。

【財務的気づき(Financial Awareness)】
|1|買いたいものがあるとき、正確にいくら使えるかわかっている。
|2|毎月、自分のクレジットカードやデビットカードの支出を必ず見直している。
|3|(逆質問)銀行口座の残高をあまり気にせずにチェックしてしまう。
|4|(逆質問)お金の管理に関して「オートパイロット状態」になっている感じがある。

【財務的受容(Financial Acceptance)】
|5|銀行口座の残高を見ても、感情的に動揺しない。
|6|今の自分の経済状況が理想通りでなくても、それを受け入れられる。
|7|(逆質問)お金のことで感情的になってしまうことが多く、コントロールしたいと思う。
|8|(逆質問)財政状況が変わると、つい感情的に反応してしまう。

 これらのチェック項目に7段階(1=全くそう思わない、7=強くそう思う)で答えることにより、その人の財務的マインドフルネスの度合いを数値化できます。基本的には、1が1点、7が7点でつけていきますが、「逆質問」と書いてある項目は、1が7点、7が1点でつけていきます。

 合計点数が高いほど、自己の財務状況に対して「気づき」がありつつ、感情面でも「受容」できていることを意味します。

ひとことアドバイス
高得点を無理に目指す必要はありません。
まずはご自身を理解することが大切です。

堀田秀吾『ハーバード、オックスフォード、スタンフォードetc.世界の名門大学が導いた科学的に正しい[お金が貯まる]習慣』(扶桑社)

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この記事の著者
堀田秀吾

明治大学法学部教授。法と言語科学研究所代表。1968年生まれ。専門は社会言語学、理論言語学、心理言語学、神経言語学、法言語学、コミュニケーション論。研究においては、特に法というコンテキストにおけるコミュニケーションに関して、言語学、心理学、法学、脳科学など様々な学術分野の知見を融合したアプローチで分析を展開している。執筆活動においては、専門書に加えて、研究活動において得られた知見を活かして、一般書・ビジネス書・語学書を多数刊行している。アイドルのプロデュースから全国放送のワイドショーのレギュラー・コメンテーターなど、研究以外においても多岐に渡る活動を見せている。

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