日中韓の衰退と台湾リスクで再注目の東南アジア…日本企業が有利に進出できるワケ

伸びない国内総生産(GDP)や進む少子高齢化など、経済的な行き詰まりを見せている日本。日本企業は一時期、成長著しく人件費も安い中国に活路を見出したが、いまや、その中国も成長が鈍化した上、さまざまなカントリーリスクも抱えている。そんな中、注目されているのが東南アジアだ。経済成長と人口増が目覚ましい東南アジア市場の可能性について、経営コンサルタントの小宮一慶氏に伺った。
三越が百貨店初のフィリピン進出…いま、再び東南アジア市場に熱視線を向ける日本企業
いま、日本の百貨店に何が起こっているかを知っていますか。地方では、地域経済がもう百貨店を支えきれずに閉店が加速し、都心でも富裕層とインバウンドに向けた戦略に舵を切りました。
そんな中で、一部の百貨店では再び海外進出を進めています。特に注目されているのが東南アジア。たとえば三越伊勢丹ホールディングスは2022年11月、日本の百貨店で初めてフィリピンの首都マニラに進出しました。同HDは2020年にタイから撤退しましたが、再び東南アジアに戻ってきたわけです。
もともとフィリピンは東南アジアの中でもインフラが整っておらず、政治も不安定だったことから、日本企業がアジア地域で積極的な海外進出を展開し始めた1980〜90年代にはあまり関心を寄せられていませんでした。
ところが2000年代に入り、徐々に国内が安定化。2016年に発足したドゥテルテ前大統領の政権下では大規模なインフラ整備計画が進行し、2021年には法人税を引き下げる「企業復興税優遇(CREATE)法」が発効されるなど、国としても海外企業や投資の呼び込みを図るようになりました。
また、百貨店ではないですがイオンも東南アジアへの進出攻勢を強めています。イオンはインドネシアやベトナム、カンボジアやマレーシアなどで複数の店舗を展開。私はマレーシアのイオンに行ったことがありますが、規模も設備も日本のイオンモールと遜色ありません。