経営の神様・松下幸之助が提唱した「一億総株主社会」…情弱・岸田政権下でもこうすれば上がる株がわかる
松下幸之助といえば、経営の神様として知られているが、実は投資においても様々な格言を残している。岸田政権がNISAを拡充したが、そのことを松下幸之助だったらどう観るのだろうか。プレミアム特集「株投資完全ガイド」の第4回は作家の小倉健一氏が解説する――。
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松下幸之助の信念「日本国民全員が株主」
1967年、パナソニック創業者で、経営の神様と呼び声の高い松下幸之助氏は、「株式の大衆化で新たな繁栄を」と題する論文を発表している。その中で「国民のすべてがどこかの会社の株主であるというようなところまでもっていければ、これにこしたことはない」として、「一億総株主」の理想を説いた。
実は、この幸之助の信念ともいうべき「日本国民全員が株主となる」という考えは、1949年に政府が行った緊縮財政・金融引き締め策(ドッジ・ライン)によって株価が暴落、個人株主たちが大きな損失を抱え、多くの人たちが株を手放し、金融機関や事業会社がその株を買い取っていたことが背景にある。個人の手に株を取り戻させることによって、労働者は仕事以外からの収入を得ることができる。そうなれば「国民全体の安定と繁栄を生み出す一つの道」となると考えたのだ。
岸田文雄政権は、今「資産所得倍増プラン」を打ち出していて、少額投資非課税制度(NISA)が拡充されることになった。この計画の発表当初は、株価や不動産価格を上げる、もっと大掛かりなプランが発表されるのかと考えたが、期待はずれだった。個人の金融資産支援の仕組みは、2001年の小泉内閣が「貯蓄から投資へ」を打ち出してから20年以上が経っているが、国民所得統計上の家計の財産所得はいまだに2000年度の水準を大きく下回ってしまっている。