教えてチャットGPT! 「パチンコで勝つので、すでに10万円借りている部下にもう3万借りるお願いの文章を作成して!」サラリーマンの作業効率化期待
AIによる文章作成の技術向上が著しい。そのあまりの技術力の高さに怖さを感じることもある。イーロン・マスク氏や1000人以上のAI専門家は「GPT-4より強力な」システム開発の停止を公開書簡で呼びかけた。一方で期待もある。この技術に「めんどくさいメール」の代筆をお願いできないものだろうか。それが可能なら、「回りくどい説明」を重んじる日本のビジネスパーソンの作業時間を大きく削減するはずだ。作家の小倉健一氏がレポートする――。
チャットGPTってそもそもなんでそんな騒がれてるの
チャットGPT誕生以前の、これまでのAIは「あけまして」とくると、次は「おめでとう」とくるなと予測しながら文章をつくっていた。最初に与えられた「単語」から、次の「単語」を予測、その次の「単語」を予測……としていくうちに、文章にしていこうというモデルだ。しかし、前の単語から次の単語を予測する方法では、選択肢があまりに多すぎて、すぐに限界がきてしまった。そこで研究者が考えたのが、チャットGPTにも採用されている「事前学習済み(Pre-trained)」というやり方だ。
このやり方は、AIがインターネット上にある文章を収集した上で、その文章の中の「単語」を1つ抜いて、穴埋め問題をつくり、自分で解くというものだ。
例えば、このような形でチャットGPTは学習をする。
<4月15日、岸田総理大臣が和歌山市の漁港を訪れていたところ、演説の直前に<●>が投げ込まれました。>
このような、ネット上にある文章の一部をくり抜いて、<●>に当てはまる単語は何かを、AIに考えさせるのである。
そこで<4月15日、岸田総理大臣が和歌山市の漁港を訪れていたところ、演説の直前に爆発物が投げ込まれました。>と正解が出れば精度が高まるという算段である。正解にたどり着けば、今度は、文章内の違う場所を<●>にする。こうした穴埋め問題を大量につくり、繰り返し解くことで、文章の概念、言葉の意味、副詞、助詞、形容詞などを自動的に勉強していくのである。
5分くらいの「結婚を祝う」スピーチを書いてくれよ
簡単にまとめると、私たちが英語や古文の受験勉強で行ったような、熟語の穴埋め問題、単語の穴埋め問題を、人間からすれば気の遠くなるような分量で学習していると考えればよい。チャットGPTの学習方法は、以前のものとは違って、ある程度、単語の位置などが決められているため、AIが処理するのが容易になっていて開発スピードが格段に速くなったのだ。
このような技術が背景にある「チャットGPT」を使うと、文書作成が簡単になった。どんな文書でもお願いをすれば瞬時につくってくれる。
ためしに、チャットGPTを使ってみることにしよう。
「5分ぐらいの結婚を祝うスピーチをつくってほしい。3年前に、私が紹介した同士が結婚した。紹介した当日、実は私は遅刻してしまって大恥をかいたが、結果として、それで結婚してくれたのでよかったという内容を盛り込んでほしい」とチャットGPTにお願いすると、
「皆様、本日はお忙しい中、この素晴らしい結婚式に参加していただき、誠にありがとうございます。私は今日、新郎新婦のご縁を結んだ人として、少しだけお話をさせていただきたいと思います。
3年前のある日、私は友人から新郎と新婦を紹介してほしいと頼まれました。当日、私はとても緊張していて、なんと遅刻をしてしまいました。皆様には大変申し訳ないことをしたと思い、心から謝罪いたします。
しかし、その遅刻が二人の出会いをより印象深いものにしてくれたのかもしれません。遅刻をしてしまった私を見て、二人は少し笑ってくれました。その笑顔が、二人の素敵な関係の始まりだったのだと、今では思います。
新郎君、新婦さん、本当におめでとうございます。私が遅刻したあの日から、二人はとても仲良くなりました。お互いの長所を認め合い、短所を受け入れる素晴らしい関係を築いてきました。今日、この場で結婚式を迎えられることを心から祝福いたします。
二人には、これからの人生においても、笑顔で過ごせる日々が続くことを願っています。遅刻をした私を許してくれたように、これからの人生でも、困難や失敗があっても、笑顔で乗り越えられることでしょう。
私は、今日この場に立って、二人の結婚を祝福できることを大変光栄に思います。新郎新婦の皆様、そしてお二人のご家族の皆様、どうか末永くお幸せにお過ごしいただきますよう、心よりお祈り申し上げます。
最後に、改めて新郎新婦に祝福の言葉を贈ります。お二人の結婚が、遅刻をしてしまったあの日から始まったように、これからも人生の途中で迷ったり、つまずいたりしても、お互いに支え合い、幸せな家庭を築いていってください」(Model:GPT-4)
金がないから部下にせびるダメ上司がチャットGPTを使ったら
という回答が20秒ほどでできあがった。このまま使えるほぼ完璧なスピーチになっている。
次に「お金がないので、金を貸してほしいと、すでに10万円ほど借りている部下に、もう3万円借りるお願いの文章を作成してほしい。ちなみに、パチンコで勝ったらすぐ返せます」と聞いてみた。ずいぶん身勝手な相談だが、チャットGPTは、相談者の質問に何の疑問も持たずに、回答をくれた。これも数十秒だ。
「[部下の名前]さん、
いつもお世話になっております。[あなたの名前]です。突然ですが、実は私、現在お金に困っている状況で、あなたにお願いしたいことがあります。
以前、あなたから10万円を借りたことがあり、そのおかげで当時の困難な状況を乗り越えることができました。本当に感謝しています。しかし、残念ながら、今回もまた資金繰りに苦労しており、どうしてももう3万円だけお借りすることは可能でしょうか。
お願いの理由は、実はパチンコで勝てばすぐに返済できる状況にあるからです。もちろん、これに関しては100%の確証はありませんが、過去の経験から自信を持っております。もし今回、あなたから3万円をお借りできれば、パチンコで勝利した際には速やかに返済させていただくことをお約束いたします。
お分かりの通り、これは非常に個人的なお願いであり、プロフェッショナルとしての立場からは外れるものです。そのため、もし快く受け入れていただけない場合や、無理だと感じた場合は、遠慮なくお断りいただいて構いません。あくまで私個人のお願いであり、あなたとの関係性や仕事に影響を与えるものではありません。
お忙しい中、お手数をおかけしてしまい、申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
[あなたの名前]」
そんなクソ上司に一応気を使いつつ、断る部下
あらゆる難文書を瞬時につくりだしてくれる「チャットGPT」を利用しない手はないだろう。私は有料版で使っているが、無料版でも十分に満足のいく回答をもらえるはずである。
ちなみに、上記の文章が送られてきた「部下」という設定でチャットGPTに「すでに10万円を貸している会社の上司から、さらに3万円を貸してほしいと頼まれた。出世に響くので穏便に断りたい。以上のような趣旨の文章をつくってほしい。」とお願いすると、以下のような答えがでた。
「上司様へ、
いつもお世話になっております。先日、さらに3万円のお貸しをお願いされた件について、慎重に考えさせていただきました。ご存知の通り、すでに10万円をお貸ししており、それによって私自身も財政的に厳しい状況になっております。
上司様との良好な関係や出世への影響を大切に考えておりますが、今回の件についてはどうしてもご要望に応えられないことをお詫び申し上げます。私の立場からすると、これ以上のお貸しは難しい状況でございます。
しかしながら、上司様の困りごとに対して何らかのサポートができるよう、他の方法をご提案させていただきたく存じます。例えば、財政の立て直しに関する情報提供や、お手伝いができる範囲での支援等がございましたら、どうぞお気軽にお申し付けください。
今後とも、何卒宜しくお願い申し上げます。」
無理なお願いをする側も、穏便に断らなくてはいけない側も、チャットGPTは良き助っ人になることだろう。