メールで「社長室にきなさい」…なぜ有名国立大卒の清水さんは新卒で入った大手電気メーカーから4年でリストラされたのか

セクハラ、パワハラ、モラハラ。職場におけるハラスメントに世の中がどんどん敏感になっている。
「こんなこともできないのか」「おまえなんている意味がない」「やめちまえ」
そんな言葉を部下に投げかけようものなら、一発アウト。パワハラ上司のレッテルを張られ、あっという間に部署を飛ばされてしまうかもしれない。しかし忘れてはいけないのは、声を荒げてしまった上司にも、それなりの理由があるかもしれないということだ。パワハラを肯定しているわけではない。当然、やってはいけないことだ。とはいえ、手をつけようがないポンコツ社員がいたとしたら?
取材を敢行したルポライターの國友公司氏が「これじゃ、まるで私がパワハラしているようだ」とまで思わされた、20代でリストラされた若手人材のインタビューを詳細にお届けする――。みんかぶプレミアム特集「リストラ連鎖」の第3弾。
目次
これじゃクビになっても仕方ない
終身雇用制度はすでに崩壊しているとはいえ、日本の企業はまだまだ社員に対して優しいのが現状だ。大企業ともなれば、並大抵のことではクビになどならない。では、誰もが知る大企業を早々にクビになる社員とは、一体どんな人材なのか。
そこで、みんかぶ編集部では「大企業を数年でクビになった新入社員」の捜索を開始。某サイトにて「大企業を数年でクビになった新入社員の方、1時間話を聞かせてください」と募集した。わずかばかりの報酬欲しさに本案件に応募してきたのが、某大手電気メーカーに新卒入社後、わずか4年でクビを宣告された清水さん(仮名・28歳)である。
第一印象は、真面目そうな青年。しかし、こちらの質問に対する受け答えがあまりにもつまらなすぎて、清水さんの性格というものがまったく見えてこない。本人には大変失礼ながら、正直なところ「これではクビになっても仕方ないだろう」と感じざるをえなかった。
清水さんは現役で国立大学の法学部に合格。大学名を何度か聞いたが「それなりの大学です」とすべてはぐらかされてしまった。4年時に、住宅系メーカーへの就職が決まっていたが、卒業論文の審査に落ちて留年。そして翌年の2017年、某大手電気メーカーに就職した。
――なぜ法学部を受験しようと思ったんですか?
清水 理数系が苦手だったからです。文系3教科のほうが得意だったので法学部を受けました。
――弁護士になろうという気持ちはなかったんですか?
清水 弁護士ではなく、一般企業に進めればいいかなと思っていました。
――就職活動で志望動機は何でした?
清水 住宅系のメーカーでは「環境に配慮をした住宅づくりをしたい」と話しました。新卒で入社した会社のほうは、ちょっと忘れてしまいました。
――どんな仕事をしたいと思って、新卒で入った会社にエントリーしたんでしょうか?
清水 いろんな部署でいろんな経験をしたいと思っていました。
――具体的に「これがしたい」という気持ちはなかったんですか?
清水 大手企業に入って働こうと考えていました。
就職が決まったときの気持ちを聞くと、清水さんは「とりあえず就職することができてよかった」と話した。「そういうことではなく、就職活動を終えた感想や、会社に入ってからの意気込みなどはないのか」と聞くと、清水さんは黙り込んでしまった。
何かを言っているようで、何も言っていない
インタビューを始めてすぐに、清水さんには自分の考えというものがあまりないように思えた。一体、5年間の大学生活をどのように過ごしていたのだろうか。
――5年間の大学生活で一番の思い出は何でしたか?