ビッグモーター事件「修理費用を不正請求されたかもしれない人」が損害を取り返すことはできるのか…弁護士が解説
保険金の不正請求問題の影響で経営が悪化しているビッグモーターは、8月、中古車の販売台数が例年と比べて7割以上の大幅な減少をしていることがわかった。ビッグモーター社は、資金繰りの悪化を見越して、港区の六本木ヒルズにある本社を移転することや、保有する中古車販売大手『ガリバー』の運営会社の株式など資産の売却を進め、役員報酬の一段の削除をする方針だという。
直ちにビッグモーター社の資金繰りが行き詰まる可能性は低いと見られるが、ビッグモーター社は取引銀行から経営の改善策を求められていて、年内をめどに外部の支援先による経営の抜本的な立て直しを目指している。
作家の小倉健一氏が、今回の一連の騒動について消費者問題などに詳しい城南中央法律事務所(東京都大田区)の野澤隆弁護士に聞いた。
弁護士「本当の被害者は、損保ジャパンの保険に加入している人全員かもしれない」
ビッグモーター社は、ゴルフボールなどを用いて故意に顧客のクルマを傷つけたり、店舗前の街路樹を勝手に枯らすなど、問題行動が顕在化し、大きな批判を浴びている。9月15日には、警視庁と神奈川県警が本社を捜索した。9時間にわたって行われた捜索によって、都内の9つの店舗と、神奈川県内の3つの店舗で土から除草剤の成分が検出された「街路樹」の器物損壊について、組織的な関与があったのではないかと調べを進めたのだという。
また、この一連の不祥事には、ビッグモーター社と莫大な量の取引をしてきた損保ジャパンにも、これまた組織的な関わりがあったのではないかと疑惑が持たれている。ビッグモーター社に多数の社員を出向していた損保会社が「ビッグモーターとグルだったのではないか」という疑念だ。消費者問題などに詳しい城南中央法律事務所(東京都大田区)の野澤隆弁護士は、こう解説する。