森永卓郎「資本主義はもう終わる」「マルクスの予言はことごとく当たっていた」富の偏在、格差の拡大、クソどうでもいい仕事に従事する労働者たち

経済アナリストとして日本人に経済のあるべき姿を説き続ける森永卓郎氏。昨年12月にステージ4のがんと診断されながらも精力的に発信を続ける森永氏は、「資本主義はもうすぐ終わりを迎える」と話す。森永氏がそう断言する“4つの理由”についてうかがった。
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資本主義はもうもたない
私は、資本主義はもうもたないと思っています。ドイツの経済学者であるマルクスは、150年も前に「資本主義は必ず行き詰まる」と言いました。その理由は四つあります。
一つ目は地球環境の破壊。二つ目は許容できないほどの格差の拡大。三つ目はブルシットジョブ、日本語で「クソどうでもいい仕事」の蔓延。四つ目は少子化の進行です。
具体的に見てみましょう。まず一つ目の地球環境の破壊。2015年、国連気候変動枠組み条約締結国会議(COP21)で採択されたパリ協定では、「世界平均気温の上昇を産業化以前と比較して2℃より十分低く抑え、さらに1.5℃未満に抑える努力を追求する」 との長期目標で合意しました。
1.5℃気温が上昇すると、異常気象や海面上昇など、さまざまなリスクが非常に大きくなります。ただし、気温の上昇を止めるためには、2050年前後時点で世界全体のCO2排出量を実質ゼロにしなければなりません。でも現実の世界をみると、まったくその方向には向かっていないですよね。
世界気象機関(WMO)は昨年5月、「2027年までに世界の気温が産業革命前の水準より1.5℃以上高くなる可能性は66%にのぼる」とする年次報告書を発表しました。大規模な干ばつや山火事といった暴力的な気象状況は、すでに世界中で観測されています。
富裕層と庶民の格差は1万倍
気温の上昇を止めるためには、資本主義を止めるしかありません。しかしある経済学者が、アメリカの富裕層と庶民が使用しているエネルギーの差を試算したところ、なんと約1万倍もの差があったそうです。