茂木健一郎「『記者クラブ』の記者は『バカの壁』の住人だ」 低レベルすぎてどうでもいいが、みんかぶのアホ編集者に言われたので仕方なく書いてやる
自由な競争がない「新しい資本主義」は「古い社会主義」
いろいろな考え方はあるけれども、私は基本的には自由主義者なのだと思う。
大学生の時に読んだミルトン・フリードマンの『選択の自由』(英語の原書)に深く感銘を受けた。競争を阻害するものに対して、原理的かつ根源的な拒絶感がある。もちろん、ベーシックインカムなどのセーフティネットには大賛成だが。
だから、日本の「記者クラブ」が好きなはずがない。もっとフリーや外国のジャーナリストに取材が公開されるべきだと思う。既得権益で自由な競争が阻害されていては、まともな報道はできないだろう。
先日、岸田文雄首相がコロナに感染されて、リモートの記者会見が行われていた。モニターに岸田さんが映っていて、その前に記者団が立って取材をしている画像がツイッターで拡散していた。
みんなが突っ込んでいたように、あの写真に日本の現状の問題点のあれこれが表現されていたと思う。デジタル化に失敗し、しがらみでがんじがらめになって、自由な競争が行われないままに静かに沈んでいく日本。もちろん揶揄するばかりではなく、このままでは駄目だと真剣に考えるべきだ。そうでないと、岸田さんの「新しい資本主義」も浮かばれない。
自由な競争がない「新しい資本主義」はもはや「古い社会主義」だよね? 日本にはそれしかないのだろうか?
日本メディアの七不思議…首相番は新人記者の担当というガラパゴス的奇習
それにしても、なぜ、あの岸田さんのリモート取材の画像が問題だったのだろうか?
まず、情報伝達回路の視点がある。リモートで取材するならば、ズームでもチームズでも、グーグルミートでも、最新(というほどのことでもないけど)のテクノロジーを使えばよい。どうせいずれは報道される内容なのだから、セキュリティの問題もない。
それが、わざわざ狭い空間に記者たちを集めて、岸田さんの会見をモニターで見させる。記者クラブのメンバー(正確にはどうだったか、外国プレスの記者やフリーランスの記者が数人でもいたのかどうか、本質的ではないと思うのでここでは問わない。どうせ実質は変わらない)だけがそこにいる。陳腐な猿芝居だ。
しかも、ツイッター上で誰かが「官邸に学生の見学が来たのか? インターンの集まりか?」と素朴な疑問をぶつけていたように、記者たちが異様に若い。見かけで人を判断してはいけないけれども、明らかに記者となっての年数が浅いように見える。
これも日本のメディアの七不思議の一つなのだけれども、総理番には入社したての「フレッシュ」な記者を割り当てるとう謎の慣習があると聞く。ホワイトハウスの記者会見で、いぶし銀のベテラン記者が鋭い質問をぶつけている風景とは「月とスッポン」である。