限界経済の中国からチャイナマネー1.6兆円が大量流出! 深圳がベトナムに抜かれ、若者の失業率増加
ペロシ訪台で大騒ぎをしている場合ではない
上海のロックダウンが解除され、徐々に回復するかに見えた中国経済だが、この夏以降の動きを見てみると、相変わらず経済状況が改善されないどころか、むしろ悪化しつつあると言える。
「ゼロコロナ政策」は依然として転換されず、8月以降も中国南東部のリゾート地として知られる海南島でロックダウンが実施され、観光客など15万人が本土に帰ることができない事態となったが、今また、四川省の省都・成都で市民2100万人を対象に、上海同様の大規模な行動制限が実施されている。
異常気象も大きな問題となっている。内陸部を中心に熱波で干ばつが深刻化するとともに、各地で電力不足が生じて各地の工場が閉鎖するなど、サプライチェーンが寸断されてしまったのだ。気象の問題だから秋になれば解消されるとはいえ、このような気象変動で、インフラが寸断されてしまうのだから、中国の社会インフラの脆弱性が改めて露呈されたと言えるのではないか。
もっと心配なのは、若い世代の失業率で、改善されるどころかどんどん悪化している。ご存じのように中国は膨大な人口を抱える国だから、この指標の悪化は、習近平政権にとっても非常に悪いニュースのはずだ。この状態が続くなら、共産党内の習近平に敵対する勢力に格好の口実を与えることになる。
失業率を改善するためには、やはり景気を良くしなければならないわけで、そのためにはアメリカとの関係改善を進めることが最も重要な課題のはずだ。だから、ペロシ米下院議長の訪台に関しては、もちろん外交的な立場で正式に抗議することは必要かもしれないけど、「人民解放軍が黙っていない」とか「必ず血を流す」とか、あれほど大騒ぎをすることはなかった。あのような過剰反応をしてしまうと、自分が振り上げた拳を下すことが難しくなって、軍事演習をエスカレートせざるを得なくなり、ますます国際社会で孤立を深めてしまう。
習近平のメンツ丸つぶれ…資金が海外に逃げていく
今、日本や韓国でも来年度予算編成で過去最大規模の軍事費を計上しようとしているが、周辺各国が軍拡に走るというのは、中国にとって決してよい結果ではないはずだ。この秋は、アメリカでは中間選挙を控え、10月16日から始まる第20回共産党大会で習近平の3期目続投が決定されるかどうかという重要なタイミングを迎えている。私はなんとなく、様々な状況が不安定になってきている気がする。