投資の神様ウォーレン・バフェット「自分に身近な企業に投資しなさい」忍耐・我慢こそ最も大事(みんかぶ特集「米国株の底値」)
世界中の投資家の尊敬を集める “オマハの賢人” ウォーレン・バフェット。もちろん、日本の投資家にとっても、投資の神様のような存在だ。彼に限らずアメリカの一流と言われる投資家は、なぜ高いパフォーマンスを上げることができるのか。みんかぶプレミアム特集「米国株の底値」(全10回)の第6回は、米国株のオーソリティー・岡元兵八郎さんに、バフェット流長期投資の哲学と、今後の米国株への投資戦略を語ってもらう。
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危機があったとしてもすぐに乗り越えるのが米国経済のダイナミズム
私は長年、米国株への投資の魅力を全国の個人投資家の皆さんにお伝えしています。なぜなら、米国株への投資は、長期的な視点に立てば、資産形成をするため最も有力な手段だと信じているからです。実際、米国株は史上最高値を更新し続けています。もちろん、常に上昇し続けているわけではなく、その過程では今年のように様々な理由で一時的に調整が起きます。しかしその度に、危機を乗り越えると経済が復調し、株価も上昇していく。この繰り返しです。アメリカ経済や企業のダイナミズムとでも言うのでしょうか。
私が最初にそれを目の当たりにしたのは、1987年10月、ブラックマンデーの時でした。ちょうどその年に大学を卒業した私は、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券(現シティグループ証券)に入社してニューヨークで研修を受けていたのですが、あの時、ニューヨーク市場の株価が一日で22%下落したわけです。当時米国の投資銀行は英国政府の民営化案件を引け受けており、ポジションで取った英国企業の株価が大きく下落、大損失を経験します。
ソロモン社内も大混乱で、突然株式のトレーディングフロアの従業員が一斉解雇されて、次の日にはオフィスがガラガラになりました。皆さんも新聞などで見たことがあると思いますが、ウォール街のエリートたちが頭を抱えて、「この世の終わり」のような顔をしている、という光景が目の前で繰り広げられたのです。新入社員一年目の私も米国企業の厳しさを目の当たりにしました。
で、どうなったのかというと、なんてことはない、しばらくすると何事もなかったかのようにマーケットが戻ってくると、いつものウォール街に戻ったのです。この世界に入った時に体感したこうした光景は、その後もたびたび繰り返されました。2000年代初頭のITバブルもそうですし、2009年のリーマン・ショックもそうでした。もちろん、2年前のコロナ危機もそうです。危機の後は、一時的に調整する期間があったとしても、それを過ぎると、いずれも高値を更新し続ける上昇軌道に戻っていきます。