グーグルが人工知能責任者を一方的に解雇…「人種差別AI」が世界を支配する(みんかぶ特集「米国株の底値」)
シリコンバレーの源泉は、世界中の頭脳を集めるリベラリズムだ。だが、高騰する生活費、人種問題、広がる収入格差…。最先端企業の州外移転も始まり、いま、この地ならではの課題が噴出してきた。みんかぶプレミアム特集「米国株の底値」(全10回)の第8回は、この世界最先端拠点の課題と克服法について、インド人国際アナリストに解説してもらう。シリコンバレーは今後も世界経済の最先端拠点であり続けることができるのか?
目次
「ヒト・カネ・情報・技術」が集うアメリカンドリームに最も近い場所
アメリカ西海岸、カリフォルニア州のベイエリアに広がるシリコンバレー。ハイテク産業とITベンチャー企業の聖地であるこの街には、ITエンジニアや起業家、ベンチャーキャピタル(VC)の投資家など世界各国から多種多様な人種や職種の人々が集う。ラフなスタイルのエンジニアやスーツを着こなしたビジネスパーソンが、ファストフード店でコーヒーや朝食をテイクアウトし、オフィスに入っていく。ランチタイムやディナーではレストランで商談や議論が繰り広げられる。
シリコンバレーに「ヒト・カネ・情報・技術」が集うのは、それなりの理由と歴史がある。シリコンバレーを語るのに欠かせないのが、産学連携を推奨したスタンフォード大学の存在だ。シリコンバレーの父といわれるフレデリック・ターマンの教えの下、ウィリアム・ヒューレットとデビッド・パッカードがヒューレットパッカード(HP)を設立。ガレージで創業し、のちに拠点をスタンフォード大学に移した。
これに続いてスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックは斬新なPC、Apple I を作り、アップルを創業。ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンは検索エンジンのスタンダードを創り上げ、グーグルを創業した。フェイスブックはハーバード大学発祥だが、シリコンバレーに移転して成長。GAFAは象徴となり、シリコンバレーはアメリカンドリームに最も近いビジネス拠点になったのだ。
「世界の頭脳」こそがシリコンバレーの成長力の源泉
シリコンバレーにはインド、中国、ベトナムなどのアジア、さらにはロシアやイスラエル、アフリカなど全世界からトップクラスの人材が集う。スタンフォード大学をはじめとする大学に留学して就職後に留まる人はもちろん、祖父母やその前、3、4世代前に移住し、すでにアメリカ国籍を取得した人も多く、今ではむしろ「典型的な白人のアメリカ人」は少なくなりつつある。