澤上篤人「いつ暴落しても不思議でない」金融緩和バブル崩壊シグナル…補助金漬け企業は一斉淘汰
急激な円安とインフレが進行するなか、1ドル150円のラインを防御線とするかのような為替介入に乗り出した政府・日銀。だがこうした姿勢を、澤上篤人さんは「経済合理性を無視するもの」と冷ややかに見る。こんな時代、投資家たちは、どのようなスタンスで市場に向き合うべきなのか。
政府・日銀の為替介入は経済合理性を無視した壮大な無駄遣いだ
9月22日に続いて、政府・日銀は10月にも2度の為替介入を覆面で行い、ほんの1カ月の間で9.1兆円もの資金を導入したようだ。金額的には過去最大の為替介入となった。円安に歯止めをかけるために行った、この為替介入――。「馬鹿げているし、ナンセンス」としか言いようがない。9月には為替介入を公にしたが、10月に2度も覆面介入したのは、マーケットにサプライズを与え、何としてでも円安をねじ伏せようという脅しの効果を狙ったものだ。週末に実施したのもそうした意味合いがあるのだが、果たしてどれだけの効果があるのだろうか。
こうしたことができるのも、日本が今も世界最大の債権国で、米国債の最大保有国だからだ。だが、為替介入の資金にも限度があるし、為替介入自体に無理があり、無駄な国費投入としか思えない。なぜなら世界的なインフレ圧力による金利上昇は、アメリカをはじめ、世界経済のトレンドだからだ。このため円安阻止の為替介入に国際的な協調体制はありえず、単独の円買い介入とならざるを得ない。それは経済合理性を無視した暴挙にも等しいと私は思う。
アメリカの長期金利4.05%に対して、日本は0.25%。その金利差は3.8%にも及ぶ。これほどの金利差があれば、日本からアメリカへ資金が流れ込むのは当たりまえだ。必然的に「円売りドル買い」の経済行動となる。この動きを何とか止めようと政府・日銀は円買い介入しているわけだが、それは大河の流れを堰(せ)き止めようとするものだ。
それではいったいどうしたらいいのか。