なぜ「国公立大150万値上げ」は合理的なのか…慶應塾長の提言が正解「教育費無償化は教育の質が落ちる」エビデンス
文科省の会合で慶應義塾長の提案が議論を呼んでいる。それは「大学間の公平な競争環境」のため「国立大の学費を150万円に上げるべきだ」というものだ。作家で元プレジデント編集長の小倉健一がその是非を語るーー。
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払う側からすれば安いのがいいに決まっている。でも伊藤塾長発言は合理的
「国立大の学費を年150万円に上げるべきだ」と発言した伊藤公平・慶應義塾長の提言が議論を呼んでいる。提言の内容を大雑把に述べると「奨学金の拡充と併せて、現在の学費から3倍程度値上げを求める」内容だったのだが、ネット上では「庶民の状況分かってるのか」と批判が相次いでいるようだ。
たしかに、現在、もしくは、これから国公立大学へ通わせようという親の立場からすれば、出費が増えることになる。怒る人がでてくるのは当然のことだろう。
しかし、批判を恐れずに、筆者の評価を述べれば、この伊藤塾長の主張は、合理的なもので、ポジティブな評価をしている。逆に、日本維新の会や橋下徹氏などが主張し、実現を図ろうとする教育費無償化については大きな疑問を持っている。その理由について述べていく。
公平な競争環境を整えることがなぜ、大学教育の質を上げるのか
伊藤塾長は、提言の中で、「国公私立大学の設置形態に関わらず、大学教育の質を上げていくためには公平な競争環境を整えることが必要」と述べている。