【独占】自民党・茂木敏充「総理になったら、やりたいことはある」…これを実現すれば、日本は確実に良くなります
厚生労働省が5月9日に発表した毎月勤労統計調査によれば、1人当たりの賃金は物価変動を考慮した実質賃金は、24か月連続で過去最長となっている。岸田文雄首相は、春闘において積極的に「名目賃金」の値上げを働きかけたものの、「実質賃金」において成果はでていない。この背景には、春闘の賃上げ率がマクロの賃金に及ぼす影響があまりないことがあげられる。
名目賃金がいくらあがっても、実質賃金が下がり続けているということは、国民生活はどんどん悪くなっているということになる。
今回、自民党幹事長であり、経済産業大臣などを内閣の要職を歴任してきた茂木敏充衆議院議員に、日本経済復活の処方箋を聞いた。「総理大臣になることが目的ではありませんが、やりたいことはあります」。それは一体……。連続インタビュー第1回――。(聞き手・小倉健一)
動画:独占インタビュー”自民党のドン”茂木敏充幹事長「私が総理大臣になったら、日本こう変えたい」 トランプ前大統領に認められた「元マッキンゼー男」の野望 世襲議員が多いことについては見直しが必要
目次
まずは生産性を上げること、そして一人ひとりの所得に反映されること
ーー岸田首相は「名目賃金」ばかりに言及し民間の労使協議に強い介入をしてきたが、「実質賃金」についてはほとんど言及されたことがない印象だ。
(茂木幹事長)
政府として「実質賃金」という言葉はあまり使っていないのかも知れませんが、「物価上昇を上回る賃上げを実現する」ということは、実質賃金を上げることと同じ意味です。
その上で、自分の生活改善を実感できる日本経済の再生には、何が必要か。私は、まずは生産性を上げること、そしてもう一つは、その生産性の向上が一人ひとりの所得に反映されることだと思います。
過去10年を振り返ると、アメリカの生産性は1割上がりましたが、日本はほとんど横ばいの状態です。アメリカで生産性が上がったのは、デジタルやグリーン、ヘルスケアなどの成長産業に資金が流れ、人材が移動したことが大きな要因です。日本でも成長分野や戦略分野にもっと資金が投入されることが必要です。
また、雇用も生産性の高い分野、すなわち高い報酬が支払える事業や個々の能力が評価される職場に、人材が移動することも重要です。もしくは自分でスタートアップを立ち上げる、仲間と一緒に新しい企業を設立することも含め、資金や労働の移動が成長分野に進むことが最優先の課題だと思います。ハローワークの改革も含め、これらを政府として後押ししていきます。
戦略的分野に資金を流す
ーー「日本経済の復活」ということであったが、政府は「ムダ遣い」を指摘されることも多い。政府として補助金で支援をせずとも、法人税を安くしたり、規制を緩和することで、民間の資金が自然と成長分野に投資されていくのではないだろうか。