料金爆上げディズニランドに涙する貧乏日本人、笑いが止まらない「増収増益」OLC…中期経営計画では「どんなサプライズがあるのか」

本稿で紹介している個別銘柄:オリエンタルランド(4661)
東京ディズニーを運営するオリエンタルランドはコロナ禍明け後、順調に業績の回復が進んでいる。今期(2025年3月期)は経費の増加から利益は横ばいの予想だが、来客数の増加を背景に増収を見込んでいる。ただし今期が中期経営計画の最終年度であり、今後の成長シナリオは次の中期経営計画待ちの状態だ。次の中期経営計画で、どのような成長シナリオが描かれるのか注目される。みんかぶプレミアム特集「決算書1000本ノック」第4回ーー。
目次
東京ディズニーは昨年4月に開業40周年を迎えたが今も人気は健在
東京ディズニーリゾートは昨年4月に開演40周年を迎えました。今も昔も人気に変わりはないものの、昨今は外国人観光客にも人気となり、過去に比べ混雑しています。またチケットの値上げもあり、かつてのように気楽に行けなくなった、との声も聞かれるようになりました。
そんな東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド<4661>の業績は、どのような状態なのでしょうか。
2024年3月期は増収増益で過去最高益を達成
オリエンタルランドの直近決算及び来期予想は以下のようになっています(日本基準)。
- 2023年3月期 売上高4,831億円(前期比75.2%増)、営業利益1,111億円、当期純利益807億円(同900.7%増)
- 2024年3月期 売上高6,184億円(前期比28.0%増)、営業利益1,654億円(同48.8%増)、当期純利益1,202億円(同48.9%増)
- 2025年3月期(予想)売上高6,847億円(前期比10.7%増)、営業利益1,700億円(同2.8%増)、当期純利益1,205億円(同0.2%増)
※当期純利益=親会社株主に帰属する当期純利益
コロナ禍が明けて順調に業績は回復しており、2024年3月期まで増収増益が続きました。なお、コロナ禍前の最高益(営業利益)は2019年3月期の1,292億円であり、2024年3月期は東京ディズニーリゾートの40周年企画もあり、過去最高益を更新しました。
2025年3月期も最高益水準を維持の予想
最高益を経て、2025年3月期は増収を見込むものの、利益は横ばいの予想です。同社は2025年3月期に人件費・諸経費・減価償却費の各費用の増額を予定しており、これらにより増収の一方で、利益水準は前期並みに留まる予想となっています。
来客数の増加により東京ディズニーの混雑は今期も続く見込み
2025年3月期について、利益水準は前期並みながら増収を予想するということは、入園者の増加を見込むことに他なりません。
同社は2025年3月期の入園者数を2,900万人(前期比5.4%増、なお前期は2,751万人)としており、入園者数は40周年イベントを終えた後も増加すると予想しています。新エリア「ファンダジースプリングス」の6月オープン効果に加え、海外ゲスト数の増加(海外ゲスト比率約14%、合計約400万人)を見込んでいます。
なお、海外ゲストは2024年3月期349万人(比率12.7%)であり比率としては小幅増の予想で。しかし入園者全体の増加により、東京ディズニーの混雑は今期も続くと予想されます。
次なる成長の具体像は次回の中期経営計画待ち
オリエンタルランドの2024年度(2025年3月期)は、2022年度にスタートした「2024中期経営計画」の最終年度です。中期経営計画において、2024年度は営業利益1,600億円レベルを目標としており、2025年3月期は通期予想の達成で中期経営計画も達成となります。
堅調な業績が続く同社ですが、今後の成長の具体像は次回の中期経営計画待ちの状態です。海外ゲスト比率の目標を20%とするなど成長に向けアクセルを踏むのか、慢性的な混雑によりファミリー層の不満も高まる中で一旦アクセルを緩めるのか、同社の今後の事業計画が注目されます。
株価は2023年7月の5,749円をピークに下落傾向
オリエンタルランドの株価は、2023年7月の5,749円をピークに下落傾向にあります。テクニカル的に見ると、2024年1月の高値5,765円とともにダブルトップを形成して下落が進んでおり、6月半ばの段階で4,500円台を前後する値位置にあります。
オリエンタルランドは今後どのような成長ストーリーを描き、そして株価はどのような反応を見せるのでしょうか。今後発表される同社の中期経営計画の内容が注目されるため、その発表までは方向感のない取引が続く可能性がありそうです。