鈴木エイト氏、石丸伸二氏に「カルト問題取材者として一番危うさを感じた」…“反ワク票”が10万以上にも危機感「聴衆には幼い子も」

現職の小池百合子氏が3選を果たした東京都知事選。都民の安定、継続志向があらためて浮き彫りになった形だったが、「当落を目指さない候補」の乱立も印象に残る選挙だった。ニュースサイト『やや日刊カルト新聞』主筆でもあるジャーナリスト・作家の鈴木エイト氏が、独自の視点で今回の都知事選候補を振り返るーー。
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「選挙漫遊」で突飛な主張を繰り出す候補者に着目
56人が立候補し様々な話題を呼んだ都知事選。フリー記者からの質問を浴びないよう苦心した現職の小池百合子氏が約291万票を獲得し3期目の当選を果たした。当選を目的としない候補者がいるなど、掲示板の枠が足りなくなる問題が起こるなど何かと論議を呼んだが、個性的な主張を行う候補者がいるのは毎回のことであり、選挙のありようが議論されるのは有益なことである。
選挙運動中は候補者・政治家の生の声、対応、有権者にどう向き合っているかなど、多くのことが可視化される貴重な場だ。私はこれまで、様々な選挙において具体的な追及対象者が立候補している場合や応援に入っている場合は現場に行き、直撃取材を行ってきた。いわゆる「選挙漫遊」(※スポーツ観戦のノリで街頭演説などに足を運び選挙を積極的に楽しむこと)として、選挙取材に行き、候補者の話を訊き、現地で起こったことを記録してきた。
今回の都知事選でも各候補者の街頭演説を観て回った。私が着目したのは反ワクチンや陰謀論など突飛な主張を繰り出す候補者や応援演説者たちだった。そして選挙戦最終日に抱いた新たな懸念についても記そうと思う。
内海聡氏「障害者の親は一生反省してもらってけっこう」
まずチェックしたのは内海聡候補の演説。ハンドルネームで「キチガイ医」を自称するように内海氏は「医師」ではあるものの、反ワクチン・反WHOを掲げる界隈のスポークスマン的存在の池田利恵氏とともに反ワク政治家のネットワーク「チーム日本」の中心メンバーでもある。内海氏自身も2018年以降は政治団体を作って活動している。
内海氏は2015年、Facebookへ投稿した以下の内容が非難されるなど何かと物議を醸してきた人物だ。
「障害の子どもさんが生まれるというのは、いかに産む前妊娠前に両親が食と生活が乱れているかの証、それは一生かけて反省しなければなりません」
「障害者の親は一生反省してもらってけっこう」
特徴的なのが現代医療への否定的論調、精神医学・向精神薬治療を否定していることだ。その点においてサイエントロジー教会系の『市民の人権擁護の会』とも親和性が見られる。