ラブひな赤松健「日本の漫画文化はコミケのグレーな部分が支えた」…「作者の私より上手い」と驚愕した同人誌とは? 「もし次の作品を描くなら…」
みんかぶプレミアム特集「コミケの経済学」第1回と第3回は漫画『ラブひな』や『魔法先生ネギま!』の作者であり、参議院議員(自民党)の赤松健氏の連続インタビューだ。後半となる本稿では、コミケの可能性と二次創作について赤松氏が解説する。赤松氏は「コミケは創作のゆりかご」「グレーな部分が漫画産業を支えてきた」と指摘する。一方で今のコミケについて残念に感じる点もある。「男性作家が紙から離れつつある」。
名作『A・Iが止まらない!』の裏話や、赤松氏が「自分よりもうまい」と感服した自分の作品の同人作家も明かす。そして次なる商業漫画執筆の可能性は。「もし描くとしたら……」。一体どんな作品になるのかーー。
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独自の発展を遂げた日本の二次創作カルチャー
――コミケでは二次創作作品が多く販売されている一方で著作権上の問題も指摘されている。TPPを巡っても海賊版規制の一環で、著作権侵害の「非親告罪化」も懸念された。(最終的には含まれず)
二次創作を巡って、例えばフランスにはパロディ創作を認める条項があります。日本でもこれを導入すべきなんじゃないかと議論されたことはあるのですが、日本の二次創作同人誌って、男性向けはエロ化で、女性向けはBL化が中心なのですよね。これはフランスの法律では保護対象にはなりません。
フランスのジャパン・エキスポに行くと、コスプレはあっても二次創作同人誌は売っていないのです。推しキャラの「○○と○○が本当は愛し合っている」というような妄想を、イベントで販売することはできません。例え、需要はあっても。
日本の場合は、二次創作からプロとしてデビューする人があまりにも多いのです。コミケの二次創作を嫌っている作家もいることはいるんですけど、独自の文化として歓迎する人も大量にいるので、それらを一律に「検察官の独自判断で起訴できるようにする」のは好ましくないです。そこは原作の作家の判断に委ねるべきでしょう。