ハイチ代表が選手村食事にぶちギレ「気持ち悪い」「帰りたい」 ヤバすぎる!CO2削減減のためビーガン食…ぜんぶ失敗!美食の国フランス、日本に大敗

 パリ五輪、選手村で提供されている食事を巡り選手らが「まずい」と酷評している。選手村の食事は、東京五輪では「成功」と評価されるほど多くのアスリートが楽しむ様子をSNSに投稿して話題を呼んだ。国民の食事にかける時間が長いとされる美食の国フランスだからこそ、選手村での食事には期待もあっただろう。しかし、「前回大会より格段に悪い」と散々な意見が相次ぐ。一体なぜなのか。元プレジデント編集長で作家の小倉健一氏が解説するーー。

目次

ハイチ代表「もう我慢できない帰りたい」

「オリンピック選手村の食事は、10点満点中ゼロ点だよ。毎日、評価するとしたら、せいぜい2点とか、日曜日なら2点くらいかな。ある日、水を飲もうと思ってカップを手に取ったんだ。でも、まだ飲んでいないのに、誰かのリップグロスがカップの縁についていたんだ。これって、清潔なカップのはずなのに、そうじゃなかった。ゼロ点だよ。本当に気持ち悪くて、もう我慢できない。もう1日もここにいられないよ。早く帰りたいと思っている」(ハイチ代表の陸上選手が証明したTikTokでの7月31日付コメント)

 フランス、パリオリンピックの選手村の食事が「0点」「最悪」と散々な評判になっている。何が起きているのか、簡単に見ていこう。

棒に刺さった正体不明の黒焦げ食品

<多くのアスリートが、オリンピック選手村で提供される食事について批判的なことを口にしている。/7月30日の体操団体でアメリカ女子が金メダルを獲得した後、ある記者が5人の選手たちに食事を楽しんでいるかと尋ねた。/彼女たちは、シモーヌ・バイルズが外交的な返答をする前に、ためらいながら顔を見合わせた。/「わかったわ。選手村の外にいるあなたたちが食べているような、ちゃんとしたフランス料理は村では食べられないと思うわ」/彼女のチームメイト、ヘズリー・リベラはもっと直接的な反応を示した。/「少なくとも食堂で食べているものは、あまり美味しいとは思わない。 「フランス料理は間違いなく美味しいと思いますが、食堂で食べているものは最高とは思えません」>(米メディア「TODAY」7月30日)

<7月26日、アメリカチームの陸上選手であるレイヴン・”ハルク”・サンダースは、人気のTikTokサウンド「you disappointed me」(あなたにはがっかりさせられた)とともに動画を共有し、棒に刺さった正体不明の黒焦げ食品への嫌悪感を示した>(同)

英報道、高タンパクの食材が不足して配給制になったり、生の肉が提供されたり

 さらに酷い話が、フランスの新聞「L’Equipe」(7月25日)に掲載されている。

<正式オープンから6日後、ますます多くのアスリートがオリンピック選手村に押し寄せ、ケータリングやサプライチェーンへの圧力を高めている。 私たちの情報によると、一部のアスリートは、火曜日の夕方と水曜日の朝に提供された食品の量が不十分であったこと、あるいは特定の食品の補充が早かったことに不満を漏らしている。/例えば、卵は水曜日の朝食で配給された>

 他にも同様の証言がイギリスのタイムス紙(7月25日)で報じられている。

<パリ2024オリンピックの主催者は、アスリートたちにミシュランシェフが料理を提供すると自慢していたかもしれないが、イギリス代表チーム(Team GB)は、自分たちのシェフを現地に呼び寄せることを余儀なくされた。これは、高タンパクの食材が不足して配給制になったり、生の肉が提供されたりしたためである>

英オリンピック協会「劇的な改善が必要」

<イギリスオリンピック協会の最高責任者であるアンディ・アンサーンはこの問題について「選手村の食事は十分ではなく、劇的な改善が必要だ」と述べた。/(中略)「ある食べ物が十分にない。例えば卵や鶏肉、特定の炭水化物などだ。そして、出される食べ物の質も問題で、生の肉がアスリートに提供されていることもある」とアンサーンは言いました。「次の数日間で劇的に改善しなければならない」>

 オリンピックをテレビで観戦していると、合間に選手の練習シーンがあったりと競技と関係のある場面はよく取材されているのだが、何を食べるかということも重要であるにもかかわらず、メディアで取り上げられることが少ない。

フランスはスポーツにおける栄養の役割をなめてるのか

 スポーツにおける「栄養」は、トレーニング、パフォーマンス、ケガの予防、およびケガからの回復において、極めて重要な要素である。

 アスリートたちは、最善の結果を、試合で出すために、適切なカロリー、3大栄養素と呼ばれるタンパク質、炭水化物、脂肪、及び、ビタミンやミネラル、そして水分補給の摂取量について十分な知識を持つ必要がある。

『パフォーマンスのための燃料補給』(Jeffrey R. Bytomski著、2017年)というスポーツ医学の著名な論文によれば、以下のような指摘がある。

<アスリートは、トレーニングを成功させるために必要な燃料を得るために、日常的な目標と活動ごとの目標の両方を持つべきである。シーズンの時期によって、アスリートは体重(脂肪を除く)を増やしたり、脂肪を減らしたり、現在の体重を維持したりする>

 特に、アスリートにとって重要だと指摘しているのは、<体重(脂肪を除く)を維持しながら、筋肉を増やす、あるいは脂肪を減らすなど、トレーニングの目標に応じた最適な比率の3大栄養素(タンパク質、炭水化物、脂肪)を摂取すること>と指摘、その上で<食品の質も非常に重要で、パッケージ食品やバーやシェイクではなく、可能な限りホールフードを摂取すべきである>という。ホールフードとは、「Whole(まるごと)」「Food(たべもの)」という言葉から、加工をしない、可能な限り加工していない(砂糖を加えない)食品のことを指す。なお、ホールフードは、最近では自然食品の意味にも使われているようなので使われている文脈に注意が必要だ。

<腎機能が正常なアスリートであれば、カロリーの約15%から30%をタンパク質源から摂取すべきである。アスリートに推奨されるタンパク質源は、赤身の肉や魚、カッテージチーズ、卵、プレーンギリシャヨーグルト、プロテインシェイクなどである。ビーガンのアスリートに適したタンパク質源としては、レンズ豆、テンペ、ひよこ豆、黒豆、キヌア、アーモンド、植物性プロテインシェ イクなどがある>という。

なぜ、ここまでひどい食事になってしまった

 裕福な国の選手、スポンサーのたくさんついた人気競技の選手であれば、自国からシェフを調達して完全にオリジナルの食事をしていくことも可能だ。

 しかし、それ以外の大半のオリンピックアスリートたちは、選手村において、自分のために練り上げられた食事プランに沿って、食事を吟味し、慎重に選択していく必要があるというわけだ。

 では、なぜ、ここまでひどい食事になってしまったのだろうか。オリンピック公式ホームページをみると、選手村の食事について、こんな紹介がされていた。

<このメニューは、アスリートたちの栄養上のニーズと、オリンピックで実施される持続可能なケータリングの追求に合致している。/提供される料理は、ハイレベルなアスリートに適しており、206を超える代表団の期待や習慣にマッチしているはずだ。/使用される食材は、オリンピックのケータリングにおける二酸化炭素排出量の半減を目指すパリ2024の戦略に対応したもので、そのため、多くの果物、野菜、豆類、全粒穀物が用意されている。 地元の旬の食材もまた、カーボンフットプリントの削減に役立つため、提供の中心となる>

二酸化炭素排出量を減らすために、たくさんのビーガン料理を用意

<「私たちはベジタリアン向けのメニューに力を入れたかったのです」とパリ2024のフード&飲料担当のフィリップ・ヴュルツは言う>

 ハイレベルなアスリートに適していると高らかに宣言した後で、二酸化炭素排出量を減らすために、たくさんのビーガン料理を用意したと言っているのだ。たしかに、アスリートの中には、ビーガンを選択することでパフォーマンスを高めている人もいる。しかし、ビーガン料理は栄養管理が難しく、相当ハイレベルな計画が必要になってくるのだ。大半の選手は、ビーガン料理を食べることはない。しかし、選手村のレストランには、ビーガン料理が並んでいるというわけだ。

オリンピックを漂う偽善をアスリートたちが食い尽くした

 冒頭のハイチ選手の「大惨事」については、ゴミを出さないために使い捨てではなく、コップを洗って再利用させようとしたものが、きちんと洗えていないという顛末を迎えたのだろう。

 食事がひどすぎるという選手団からの不評を受けて、<パリ・オリンピックのCEOであるEtienne Thobois氏は記者団に対し、「2024年パリ大会の経験の中心に位置するアスリートの要求に応えるため、700キロの卵と1トンの肉を使用し、動物性タンパク質を強化した」と語った>(米ワシントンポスト紙、7月30日)と修正を図っている。

 となれば、二酸化炭素排出量を減らすという”崇高”な目的はどこかへしまってしまうようだ。このことは、オリンピックを漂う偽善をアスリートたちが食い尽くしたともいえるのだろう。

    この記事はいかがでしたか?
    感想を一言!

このカテゴリーの最新記事

その他金融商品・関連サイト

ご注意

【ご注意】『みんかぶ』における「買い」「売り」の情報はあくまでも投稿者の個人的見解によるものであり、情報の真偽、株式の評価に関する正確性・信頼性等については一切保証されておりません。 また、東京証券取引所、名古屋証券取引所、China Investment Information Services、NASDAQ OMX、CME Group Inc.、東京商品取引所、堂島取引所、 S&P Global、S&P Dow Jones Indices、Hang Seng Indexes、bitFlyer 、NTTデータエービック、ICE Data Services等から情報の提供を受けています。 日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。 『みんかぶ』に掲載されている情報は、投資判断の参考として投資一般に関する情報提供を目的とするものであり、投資の勧誘を目的とするものではありません。 これらの情報には将来的な業績や出来事に関する予想が含まれていることがありますが、それらの記述はあくまで予想であり、その内容の正確性、信頼性等を保証するものではありません。 これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、投稿者及び情報提供者は一切の責任を負いません。 投資に関するすべての決定は、利用者ご自身の判断でなさるようにお願いいたします。 個別の投稿が金融商品取引法等に違反しているとご判断される場合には「証券取引等監視委員会への情報提供」から、同委員会へ情報の提供を行ってください。 また、『みんかぶ』において公開されている情報につきましては、営業に利用することはもちろん、第三者へ提供する目的で情報を転用、複製、販売、加工、再利用及び再配信することを固く禁じます。

みんなの売買予想、予想株価がわかる資産形成のための情報メディアです。株価・チャート・ニュース・株主優待・IPO情報等の企業情報に加えSNS機能も提供しています。『証券アナリストの予想』『株価診断』『個人投資家の売買予想』これらを総合的に算出した目標株価を掲載。SNS機能では『ブログ』や『掲示板』で個人投資家同士の意見交換や情報収集をしてみるのもオススメです!

関連リンク
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.