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日本のマスコミ絶対報じないトランプ「本当の姿」…イーロンマスクに語った新アメリカの実像「5つの特徴」教育省の廃止はポリコレへの対抗

 日本の株価はアメリカに連動しているという。そのアメリカの経済を動かすことになるのが11月の大統領選だ。しかし、日本ではトランプ陣営についてないんかと「トンデモ勢力」として報じられることが多い。しかしそれは間違っていると、国際政治アナリストで早稲田大学招聘研究員の渡瀬裕哉氏が指摘する。2016年の大統領選で各メディアや識者が民主党ヒラリー・クリントン候補(当時)の優勢を伝える中、ずばりトランプ氏の当選をあてた渡瀬氏が解説する。勝つのはどっちなのか。短期集中連載第3回ーー。

目次

トランプがイーロン・マスクに語った「政府効率化委員会」

 日本のメディアではトランプ陣営・共和党に対してネガティブな情報で溢れかえっている。仮に日本のメディアや有識者らが報じるようにトランプ陣営・共和党がトンデモ勢力のようであるなら、彼らが米国民の過半数から支持を受けるはずがない。それはアメリカをあまりにも馬鹿にしている。

 そこで、今回はトランプ陣営・共和党の政策から、日本ではほとんど語られることがないであろう政策をピックアップし、読者諸氏に紹介していくことにしたい。

(1)政府効率化委員会の設置

 政府効率化委員会はトランプがイーロン・マスクと対談した際に語られた新組織である。同対談は日本では「開始が遅れた」「中身が嘘ばかり」「福島を揶揄した」などの散々な内容ばかりが伝えられた。そして、同委員会も「首切り委員会」などと揶揄されて趣旨が正確に伝わっていない。

「政府効率化委員会」が大企業、中小企業から支持されるのか

 トランプ陣営・共和党は、現在の連邦政府を肥大化した非効率な組織と認識している。そのため、連邦政府の規制権限を大幅に制限するとともに、政府人員のスリム化を実現することを政策に掲げている。このような政策は減税や規制改革の根幹となる動きであり、自由なビジネス環境を望む共和党支持者が望んでいる政策だ。

 この政策が億万長者のイーロン・マスクとトランプの対談で語られたからと言って、それが直ぐに大企業やビリオネラのための政策として理解することは間違いだ。共和党の主要な支持層は中小企業経営者や自営業の人々だ。彼らは連邦政府が課す様々な規制に対応するためのコストに日々悩まされている。そして、単なる首切りを望んでいるわけではなく、政府の規制に対応するコストが安くなれば、より多くの従業員を雇う原資が生まれるとすら考えている。

日本人にはなかなか理解されない「政府のスリム化」

 一時的な雇われ経営者ではなく中小企業オーナーなのだから当然だ。第一次トランプ政権時代、トランプは大統領令で「2対1ルール」を導入した。これは新しい規制を1つ作るなら不要な規制を2つ廃止することを決めたものだ。この政策は上述の中小企業や自営業者からは非常に喜ばれた。(バイデン政権は政権発足初日で同大統領令を廃止した。)

 日本では規制改革=デジタル化という誤った認識が蔓延している。そのため、規制改革は「規制を廃止して政府をスリム化すること」という常識が理解されていない。米国に留学する政治家、官僚、ジャーナリストが、日本の大きな政府と結びついており、意図的に国民に知らせていないのではないか、と邪推せざるを得ない。日本にも共和党的な規制改革の認識が拡がれば、様々な中小企業の経営環境が改善し、新たなビジネスに挑戦するスタートアップ企業が生まれやすくなるだろう。

「教育省の廃止」キャンセルカルチャー、ポリコレの蔓延で

(2)常識の復権、そして教育省の廃止

 アメリカではポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)に嫌気が差している人が増加している。所謂ポリコレはリベラルなイデオロギーで構成されており、政府行動・企業行動を縛るとともに、キャンセルカルチャーによる偏向したメディア報道などで言葉狩りが横行する窮屈な社会が生み出している。

 一方、共和党は「常識」(コモンセンス)を打ち出すことによって、現代の行き過ぎたポリティカル・コレクトネスの蔓延に「待った」をかけようとしている。この共和党の姿勢が米国のリベラルメディアを丸写しして報道している日本のマスコミからの拒否感に繋がりリベラルな偏向報道を生み出している。

 共和党が掲げる2024年の選挙公約の中で、特に驚くべき政策は「教育省」を廃止するというものだ。日本に例えるなら文部科学省を廃止することを意味する。教育省廃止は、アメリカの教育を連邦政府から州政府、更に言うなら親と生徒の手に戻すことを目指している。アメリカは元々州政府によって教育環境が整えられてきており、私立学校が主導して教育サービスを提供してきた国だ。

 ところが、現在、連邦政府の教育省によってポリティカル・コレクトネスの影響を受けた教育内容が自分たちに押し付けられている状況になっている。

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この記事の著者
渡瀬 裕哉

1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 早稲田大学公共政策研究所招聘研究員、事業創造大学院大学国際公共政策研究所上席研究員。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。2016年トランプ大統領当選、2020年民主党による大統領・連邦上下両院勝利を正確に予測し、米国政治に関する分析力に定評がある。『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 』(すばる舎)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)

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