突然始まった“謎のゴリ推し”の気持ち悪さ…「責任持って消費税増税」総裁選候補コバホーク小林「実態はバラマキ4兆円の首謀者」
岸田文雄首相は14日、来月予定される自民党の総裁選に再選出馬しない意向を明らかにした。岸田氏を巡っては、政治資金問題などで辞任を求める声が高まっていた。早くも次の総裁には石破茂氏、小泉進次郎氏、高市早苗氏などの名前が上がっているが、なぜか知名度の低い小林鷹之氏を妙にプッシュする勢力もある。これまであまり注目されなかった小林鷹之氏に「コバホーク」などとあだ名をつけて”ゴリ推し”している様子に一部の国民は得体の知らない気持ち悪さを覚えているのではなかろうか。経済誌プレジデントの元編集長で作家の小倉健一氏が解説するーー。
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台風の目となるかもしれない小林氏がどういう政治家なのか、よくわからない
岸田文雄首相の後任を決める来月9月の自民党総裁選挙に向けて、中堅・若手議員が推している小林鷹之氏(元・経済安全保障担当大臣)が、8月19日にも記者会見を開き、立候補を表明するようだ。
政局的な動きとしては、小林氏は二階派に所属しているが、この行動には一部の派閥幹部が反発している。これは、前回の総裁選で二階派が岸田首相と距離を取った結果、3年間冷遇されてきたことが背景にあるようだ。若手を中心に派閥横断的な支持を得られているという。今回の総裁選では、多くの候補者が立候補すると予想されており、1回目の投票で決着がつかず、国会議員票だけで総裁を選ぶ決選投票に進む可能性もある。小林氏は1回目の投票までに自民党地方票を得るために知名度を上げ、自民党国会議員の歓心を買うという両面作戦を迫られる中、先手をうとうとしているのだろう。
では、今回、台風の目となるかもしれない小林氏がどういう政治家なのか、日本の首相に相応しい人物なのかを考えてみたい。
まず、小林氏が経済安全保障担当大臣として仕えていた岸田政権についてだ。岸田首相の退陣表明を受け、秋田県の佐竹敬久知事は「前から限界だと思っていた。この政権が続いても良いことがない」(8月15日、県庁でのコメント)と述べている。続けて「(自民党の不祥事について)リーダーシップをもって収めていない」「(外交について)やってるように見えるけど、成果が上がってるかどうか全く目に見えない」と評価した。
筆者も、概ね、この佐竹知事の意見に同感である。特に外交面は最低だ。中国が実施した「日本産海産物の禁輸」は、岸田首相の指示で中国を刺激することのないように「穏便」に、交渉を続けてきたが、何一つ、いいことはなかった。
まったく天にツバするとはこのこと…中国に足元みられた岸田ジャパン
むしろ、日本は乱暴なことをしても許してくれるものだと、勘違いさせている可能性が高い。過去には民主党政権が中国に弱腰で臨んだ結果(2010年日本領海にある尖閣諸島で、不法操業した漁船船長を中国の圧力を受け釈放)、2012年には官製デモとも評される反日デモが勃発、日系企業の工場、販売店、スーパー、コンビニが破壊と略奪の限りを尽くされた。今回のケースも、数年後に中国が何もしない、何もできない日本外交の足元をみて、追い討ちをかけてくるだろう。毅然とした態度で、国際社会に中国の不当性をアピールし続け、相手が禁輸をしてくるなら、こちらも禁輸で対抗すべきだった。
2013年4月の自民党は、<国際社会に「日本は圧力をかければ譲歩する」という誤ったメッセージを発信してきました>(詳細は、こちら。https://storage2.jimin.jp/pdf/news/policy/130406_1.pdf)などと民主党の外交政策を痛烈に批判しているが、まったく天にツバするとはこのことだ。
その一方で、岸田政権下で進められてきた対中国政策として「経済安全保障」がある。この政策は、中国の貿易政策や経済政策に対抗するために導入されたものであり、一見すると効果的で聞こえも良い。しかし、その実態は非常に問題がある。
3.5兆円以上の予算を投入した「異次元の少子化政策」は大きな失敗
例えば、3.5兆円以上の予算を投入した「異次元の少子化政策」が大きな失敗に終わったことを思い出してほしい。この政策は少子化対策として大々的に打ち出されたが、実際には何の成果も上げられず、結果として子育て支援金の名目で増税が残っただけだった。これに加えて、少子化問題に対応するために設立された「こども家庭庁」も、2024年度には5.3兆円もの予算が割り当てられているが、少子化問題への効果がほとんど見られない。