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1位は「クールでセクシー」な人…勝手に総裁選「格付けランキング」!言動や政策などを解剖「あなたはどう思う?」

 大乱戦必至の自民党総裁選(9月27日投開票)。10人超が立候補を予定し、「世代交代」や「女性初」といったキーワードが飛び交う中、水面下の攻防が激しさを増している。だが、最も大切なことは誰が「日本の救世主」になれるのかだ。政界事情に通じる経済アナリストの佐藤健太氏は今回、出馬が取り沙汰される主要候補の言動や政策などを解剖し、独自の視点での採点を試みた。当然、これを読んだ読者にとって気に入らない評価もあるだろう。是非、自分はどう思ったか、自分だったらそれぞれの総裁候補に星(★)をどうつけるのかを教えてほしいーー。

目次

総裁選がかつてないほどの乱戦に

「THE MATCH」。自民党の平井卓也広報本部長は8月21日、総裁選告示に先駆け歴代総裁が登場する総裁選ポスターと動画を公開した。45秒にまとめられた動画には初代総裁の鳩山一郎氏から岸田文雄氏まで26人の歴代総裁が映し出され、「この国を導けるのは誰だ?」などとPRする。候補者による論争を通じ、国民ニーズと自民党の政策をマッチングさせるとの意味が込められているという。

 格闘技の煽り動画を思わせるような映像は、今度の総裁選がかつてないほどの乱戦になることを想像させる。自民党が現在の党勢に危機感を強めている表われなのだろう。派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金問題で大逆風を受ける自民党は、地方選での敗北が相次ぐ。再選を目指していた岸田首相(総裁)が総裁選不出馬を決めたのも、支持率が超低空飛行を続けていけば再び野党に転落しかねないとの計算が働いたからだ。

自民党のトップ選びはメディアジャックの様相

 では、次の自民党トップは“救世主”となることができるのか。日経新聞とテレビ東京が8月21、22日に実施した緊急世論調査によれば、次の自民党総裁にふさわしい人物は小泉進次郎元環境相が23%でトップだった。7月調査時から8ポイント上昇し、2位の石破茂元幹事長(18%)は6ポイント下落。1カ月の間に1位と2位が入れ替わった。

 3位は高市早苗経済安全保障相(11%)、4位は小林鷹之前経済安保相(8%)、5位は河野太郎デジタル相(7%)、6位は上川陽子外相(6%)、7位は林芳正官房長官(2%)だ。政権与党である自民党のトップ選びは注目され、メディアジャックの様相を見せる。テレビや新聞に登場する面々は露出度が高く、いち早く正式な出馬会見を行った小林氏は一気に支持を伸ばして上位に入り、「女性初の宰相」候補として高市氏や上川氏にも期待が集まる。

 その一方で、これまでの世論調査で上位に食い込んでいた河野氏は、存続を決めた自民党唯一の派閥「麻生派」(志公会)の所属が嫌煙されたのか支持を落とした。

今後の公約発表や言動次第で順位の変動あり得る

 麻生派では甘利明元幹事長らベテランが河野氏支持に難色を示しているとされ、「脱派閥」が争点になる今回の総裁選では逆風が吹く。

 8位からは茂木敏充幹事長、野田聖子元総務相、加藤勝信元官房長官、斎藤健経済産業相が1%ずつで並び、支持を広げることができていない。ただ、世論調査での順位が総裁選の結果に必ずしも反映されないことは歴史が証明している。先の調査によれば、小泉氏は自民党支持層に対象を絞った調査でも32%の支持があり、7月調査から14ポイント増加している。2位は高市氏の15%、3位は石破氏の14%の順だ。

 高市、石破両氏のどちらが上位2人による決選投票に残るのかは、最終的に誰が「勝者」になるのかを左右する。高市氏や石破氏、河野氏、野田氏、林氏は総裁選の出馬経験があるが、未経験者でまだ政策も発表していない小泉氏が「首位」を独走していることは驚きとも言える。今後の公約発表や言動次第で順位の変動は十分にあり得るだろう。

 政権与党である自民党の総裁は、事実上の次期首相となる。日経新聞などの調査で岸田内閣の支持率は28%と7月調査時と変わらなかったものの、自民党の政党支持率は4ポイント上昇した。日経新聞が衆参両院で行われる閉会中審査に日銀の植田和男総裁が出席し、FRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が米ジャクソンホール会議で講演する8月23日の朝刊1面に世論調査結果を大きく報じた点を見ても、市場の注目度も高いことをうかがわせる。

人気は高いが実態はベールに包まれている進次郎

 それでは足元の各種調査を踏まえながら、出馬が取り沙汰される主要候補たちを解剖していきたい。まずは本命視される小泉氏だ。最初に気がつくことは、ペラペラと言葉を並べている割には驚くほど政策的中身がみられないことだ。一部から「ポエマー」と呼ばれることもあり、ネット上で小泉氏の名を検索すると「構文」「名言」といったものが表示され、実績や政策といった政治家に大切な部分が見られない。これから発表される公約はどのようなものになるのか気になるところだ。

 小泉氏は総裁選で菅義偉前首相の全面支援を受ける見通しで、すでに「40人以上」(周辺)が支持する意向を示しているという。父親が5年超も首相を務めた小泉純一郎氏であることは有名なものの、閣僚経験者としては異例と言えるほど“実態”がベールに包まれてきた。最有力候補として見つめてみても、その国家観は浮かび上がらない。

「こども保険」を提唱、「ライドシェア」解禁

 自民党が野党に転落した2009年の総選挙で初当選した小泉氏は43歳で当選5回。党の青年局長や復興政務官、自民党農林部会長や筆頭副幹事長などを歴任してきた。安倍・菅内閣で環境相に抜擢され、それが唯一の閣僚経験だ。

 環境相時代は、脱炭素社会・循環経済・分散型社会という「3つの移行」による経済社会の再設計が必要であると説き、自らの公式サイトでは「(3つの移行は)急速に変化するグローバル経済における競争力の源泉、すなわち経済社会の『エンジン』であり、また、地球環境問題という重大リスクに対する予防、すなわち経済社会への『ワクチン』です」と説明している。

 2年間の閣僚在任中、石炭火力政策見直しや2050年のカーボンニュートラル目標設定などを主導し、筆頭副幹事長の時には若手議員と子育て支援策の財源として社会保険料に上乗せして徴収する「こども保険」を提唱した。ドライバーが自家用車で客を乗せる「ライドシェア」解禁をはじめ、規制緩和論者としても知られる。

クールでセクシーな進次郎は星5つ★★★★★

 NHKが実施した2021年衆院選のアンケートを見ると、大企業や所得の多い人への課税を強化し、国の財源に充てることについて「どちらかといえば賛成」と回答。原発依存度は「下げるべき」とした。ただ、それら以外の具体的な政策論は乏しい。目立つのは、レジ袋有料化に伴い「今の時点で3割の方がレジ袋をもらわない。そういう状況にあるものを倍増させたい」というレジ袋削減倍増構想。そして、国連気候行動サミット出席のため米ニューヨークを訪問した際の記者会見で「政治には多くの課題があり、それは時に退屈。でも気候変動のような大きな問題は楽しく、クールでセクシーに取り組むべきです」と発し、嘲笑を浴びたくらいだ。

 外交や安全保障や歴史認識、経済財政政策などに関しては、驚くほど発言を慎重にしている。国民人気も、自民党支持層からの支持も高いのかもしれないが、このまま次の首相に就いて良いとは思えない。菅首相時代のスタッフを中心に今度の総裁選で打ち立てる政策を吟味しているようだが、自らの公約や国家観を1日も早く明示すべきだろう。その点においては減点が避けられず、★の数は「5」としたい。

ITスキルを再生する「大人の義務教育」をシステム化したい石破

 世論調査で「2位」に転落した石破氏はどうか。これまで4度も総裁選に出馬した石破氏は、すでに自身の政策がフルオープンになっていると言って良いだろう。2020年の総裁選で「令和新時代の日本創生戦略―石破ビジョン―」と掲げ、潜在成長率の引き上げや格差是正、地域分散と内需主導型経済への転換、AI研究支援などに重点を置く方針を示した。

 経済政策は「ポストアベノミクスへの展開」が必要であると主張し、財政規律にも配慮した経済財政運営を行う考えで、「経済金融総合対応会議」(日本版NEC)の創設などを提唱。「東京一極集中是正担当相」(仮)を設置し、地域分散を妨げている要因の徹底検証を行い、21世紀中頃までに約300万人の地方移住を実現するとした。

 社会保障分野については「真に国民の幸福を実現する福祉社会の実現」を掲げ、2050年を見据えた持続可能で安心できる社会保障制度を構築する「幸せ実現国民会議」(仮称)を創設すると盛り込んだ。また、すべての国民が10~15年ごとにITスキルを再生する「大人の義務教育」をシステム化するという。

党内から嫌われる石破は星4つ★★★★☆

 石破氏は新著「保守政治家 わが政策、わが天命」(講談社)の中で、「政治が信頼を取り戻すために私自身がすべきことは、やはり一人の衆議院議員として、社会や国家の問題点を洗い出し、解決策を見出し、それを法律や予算といった形にして、できるだけこの国をいい形で次の世代に残すために研鑽を積む以外にはないと思います」と記している。

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この記事の著者
佐藤健太

ライフプランのFP相談サービス『マネーセージ』(https://moneysage.jp)執行役員(CMO)。心理カウンセラー・デジタル×教育アナリスト。社会問題から政治・経済まで幅広いテーマでソーシャルリスニングも用いた分析を行い、各種コンサルティングも担う。様々なメディアでコラムニストとしても活躍している

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