「高市早苗が自民を出るタイミング」…‟安倍は国賊”大臣は10年間国会で一切発言なし!嘘つき石破の衆院解散「支持率あるうちに」高市総理への道

 総裁選が終わり、新総裁に選ばれた石破茂氏は10月9日に衆議院を解散し、衆議院選挙を「10月15日公示、27日投開票」という日程で実施する意向を固めた。もともと解散権の濫用について自民党党内から批判的立場だったのにも関わらず、態度を豹変させたことに与野党・国民からは失望の声が大きい。そんな中で注目されるのが総裁選の決選投票で石破氏に破れた高石早苗氏の動向である。作家で元プレジデント誌編集長の小倉健一氏が解説するーー。

目次

安倍は国賊大臣、10年間国会で発言なし

 石破茂首相が誕生したが、その期待外れぶりに失望する人は少なくないのではないだろうか。彼は自らを保守政治家と称しているものの、リベラルな知識人との親しい人間関係に加えて、安倍元首相が進めてきた政策の真逆を、とにかく血眼になって進めている様子が総裁選では目立っていた。

 石破内閣の人事で、特に注目すべきは、村上誠一郎氏の総務大臣への起用である。村上氏は、2022年に朝日新聞の取材に応じた際に、「財政、金融、外交をぼろぼろにし、官僚機構まで壊し、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に選挙まで手伝わせた。私から見れば国賊だ」とまで発言した人物である。

 この村上氏が国会でどのような質疑をしているのか調べたところ、2013年(平成25年)4月以降、国会で一切の発言をしていないことが判明した。この10年以上の間で、村上氏が安倍元首相批判以外に何をしていたのか、その活動内容は全く不明である。このような人物が総務大臣に起用されたことに、疑問の声が上がるのも無理はないだろう。

 石破首相は、派閥の裏金事件が引き起こした逆風を踏まえ、政権の支持率がまだ高いうちに衆議院選挙に打って出た方が得策であると判断した。その結果、10月9日に衆議院を解散し、衆議院選挙を「10月15日公示、27日投開票」という日程で実施する意向を固めた。驚くべきことに、わずか2週間前には、石破氏自身が性急な解散を否定していたにもかかわらず、まるで別人のように異なる主張をしている状況だ。

 このように、話が頻繁に変わること自体も不安を煽る要素であるが、さらに過去の発言を確認してみると、恐ろしい発言が多く含まれていることに気づかされる。

マルクス主義を否定しない石破茂

 例えば、サンデー毎日(2021年9月26日号)では、マルクス研究者である斉藤幸平氏と「画期的な対談」(サンデー毎日談)が実現している。少し紹介してみよう。

斎藤幸平

マルクスというと嫌がる人もいる。心強いのは、石破先生はこうやって私とも話してくださり、どういう言葉であれば、より広く国民に私が提起した問題が伝わるか、考えていただいている。

石破茂

最近石破はマルクスに取りつかれているとの噂だ、と同僚から忠告された(笑い)。それはそれとして、資本主義が誤作動を起こしたわけではない、という事実を直視すべきだ。資本主義自体は機能してきた、その結果として資源を食いつぶし、格差と分断を拡大してきた。

 この対話を見ても、石破氏がマルクス主義に対してある種の興味を示し、斎藤幸平氏の提起する問題を広めるためのプロパガンダ手法を考えていることがわかる。同僚から「マルクスに取りつかれている」と言われても、それを否定することもなく受け流している様子だ。さらに、石破氏は近著でも斎藤氏の著作を多く引用しているが、引用するだけで自らの意見や評価をほとんど示さないという非常に巧妙な立ち回りを見せている。アンチ安倍としての姿勢だけで突き進んできた結果、現在の自らの立ち位置すら曖昧になっているように感じられる。

人々が働く意欲を失い、社会全体が貧困化する道

 マルクス主義が現実と乖離していることは議論の余地をほとんど残していない。ソ連が崩壊し、中国も経済分野において事実上共産主義を放棄している状況を見れば、それは自明である。また、税金を増やすと経済成長にネガティブな影響を与えることが、数々の調査研究によっても明らかになってきている。このことから、マルクスが目指した巨大な政府は、経済成長を阻害する要因であり、もはやその考え方が時代遅れであることに、多くの人々が気づいている。

 自分で働いて稼いだ私的な財産を人より稼いだというだけで奪ってもいいのだというのは感情論でしかない。多くの場合、この感情論を正当化するために、マルクス主義が利用されることが多いように見受けられる。このような理論は、何らかの人間の後ろめたさに付け込んでいると言えるだろう。政策効果が乏しく、実質的には無意味な財政支出を正当化し、それ自体に価値を見出すというのがマルクス主義の特徴である。これでは、人々が働く意欲を失い、社会全体が貧困化する道をたどるだけだ。

「地方創生」と称し、過疎地域に大量の資金をばら撒いた結果

 こんな議論は、ベルリンの壁が崩壊し、ソ連が崩壊した際に何百回と聞かされた話であり、もはや繰り返す価値すらないと感じる。しかし、再びここで私が述べなければならない状況にあるということは、日本の論壇がいかに行き詰まっているかを物語っているだろう。「マルクスを研究しています」という人に経済政策を語らせること自体、無意味であり、議論を進める価値もないだろう。あまりの格差は問題だが、まずは社会全体を豊かにしなければならない。北朝鮮のような経済的な平等を達成しても仕方がない。

 石破氏が信奉する「里山資本主義」についても、同様の問題点が指摘できる。結論を簡潔に言えば、里山資本主義が掲げる「地域循環型社会」や「地域循環型経済」というものの動きを地域で完結させるという概念は、非常に効率が悪い仕組みである。非効率な社会というものは、自然に淘汰される運命にあるが、それでも無理に循環型を維持しようとすれば、結局のところ、国がどこかから補助金を投入するしか手段がないのだ。補助金が投入された時点で、それはもはや「地域循環型」とは呼べないことに気づくべきである。

 当然のことながら、経済成長やマーケットは、石破首相のこのような非効率的な政策を歓迎するはずがない。このままでは、日本はさらに経済的に停滞し、衰退の一途をたどるだろう。これまで「地方創生」と称して、過疎地域に大量の資金をばら撒いてきたが、過疎化が止まるどころか、むしろ進行している現実を見れば、その効果がいかに乏しかったかは明白である。

高市にオファーされた総務会長ポスト、あまりに物足りない

 この現象は、少子化対策と同じ構造を持っている。少子化対策として打ち出された政策の多くが、子育て支援という名目で予算を投じてきたが、実際には少子化の改善にはほとんど寄与せず、結果として少子化は悪化の一途をたどっている。「対策」を打ち出すことと「効果」を生むことは、全く異なるものであることを、石破首相は早急に理解する必要がある。

 さて、注目すべきは、総裁選で敗れた高市早苗氏の動向である。石破首相から総務会長のポストを打診されたが、彼女はこれをきっぱりと断ったという。思い出されるのは、以前に安倍元首相と石破氏が争った総裁選の結果、勝利した安倍元首相が石破氏を党幹事長という重要なポストに任命したことだ。これに比べると、総務会長というポジションは物足りなく感じるのも無理はない。

石破首相の政権運営がどこまで持ちこたえるのか

 同様に、総裁選で敗れた小泉進次郎氏も、選挙対策委員長という象徴的なポジションに据えられており、実際にはあまり実権がないことは明らかだ。これを見る限り、石破首相は、自身の考えと異なる人物には、徹底的に干すという姿勢を貫いているように見える。さらに、閣僚ポストについても、旧石破派のメンバーが優遇されているのが露骨だ。このような人事には、多くの人々が呆れさせられているのが現実だ。

 一方で、決選投票で石破氏に票を投じた議員たちが、自民党を離党するという噂がSNS上で拡散されたが、これはデマであった。しかしながら、たとえデマであったとしても、今後石破首相の下で自民党が選挙に大勝し、長期政権となった場合、党内の議員たちがどのように動くのか注視する必要があるだろう。石破首相の政権運営がどこまで持ちこたえるのか、多くの不安材料が残っている。

<毎日新聞は28、29の両日、全国世論調査を実施した。27日の自民党総裁選で新総裁に選出され、10月1日召集の臨時国会で首相に就任予定の石破茂氏に「期待する」と答えた人は52%。「期待しない」の30%を大幅に上回った。自民党支持率は33%で、8月24、25日実施の前回調査(29%)から4ポイント上昇した>(毎日新聞、9月29日)

議席を2世、3世、4世にバトンタッチすることが仕事の全て

 石破氏は、これまで発言や約束の撤回を繰り返し、掲げた政策によって株価は大幅に暴落し、安倍元首相に対する意趣返しとも思える人事を頻発させた。しかしながら、国民からの支持率は高いまま、選挙を迎えることになりそうだ。

 石破氏は、在日米軍の地位を定めた日米地位協定の見直しを主張していて、憲法改正においては、戦力不保持を掲げた9条2項の削除を目指している。また、経済政策においては財政規律の重要性を強調してきた。しかし、これらについては実際には何も行動を起こすつもりがなく、何もできない可能性が高い。解散日程もあっさり破るのである。自らの政策に信念などないのだろう。

 このような状況の中であっても、世襲議員たちは引き続き、選挙に勝ち続ける限り、石破首相を、もっともらしい理由をつけて支持し続けるだろう。彼らにとっては、重要なのは自分たちの名前がついた息子なり、娘婿が自分の議席を引き継ぐことであり、自民党公認を得て、議席を2世、3世、4世にバトンタッチすることが仕事の全てである。政策や日本経済の行方など、彼らにとっては二の次であり、議席さえ守られれば問題ないという姿勢が見て取れる。

頼りになるのは、高市氏だ

 しかし、高市氏は絶対に石破氏や世襲議員たちとは違うはずだ。安倍元首相を人格的に否定し、政策で否定(しながら軌道修正)し、実力主義でなく、自分の味方ばかりを重用する人事を目の前で見ていることはできないのではないだろうか。いや、そんなことは絶対にできない人物だと私は信じている。

 もし、石破首相が選挙に大勝したなら、長期政権を支えるようなことはせず、党を割って、参院選挙で徹底的に戦ってほしい。石破首相と同じような主張をする野田佳彦氏率いる立憲民主党、創業者の口出しで崩壊寸前の維新の会よりも頼りになるのは、高市氏だ。高市氏は鉄の信念を貫いてほしいものだ。

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この記事の著者
小倉健一

1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長就任(2020年1月)。2021年7月に独立。現在に至る。 Twitter :@ogurapunk、CONTACT : https://k-ogura.jp/contact

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