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「手取りが増えてしまう」がトレンド入り!自民・小野寺政調会長が大炎上「これが本音」「悪いんですか?」

「国民民主党さんが言うような178万円まで上げてしまうと(所得が)400万~500万円ぐらいの方ですと、3万、4万ぐらいの手取りの増えになりますが、逆に(所得が)2000万円以上の方が30万円以上、実は手取りが増えてしまう。本来、私どもがどこに手当をするかというと、今、大変なところの層に、手取りを増やしてあげたい」。これは小野寺五典自民党政調会長によるNHKの番組での発言である。これにSNSが大きく反応し「これが本音だね」「手取りが増えると悪いんですね?」と大炎上。Xでもトレンド入りした。作家で経済誌プレジデントの元編集長小倉健一氏が解説するーー。

目次

減税案を反対する防衛議員たち

 自民党の小野寺五典政調会長の発言が大きな議論を呼んでいる。国民民主党の減税案(103万円の壁を178万円に引き上げる案)が多くの国民に支持される中、小野寺氏がこれに反対する発言を続けているためだ。その中で、論理に欠けた反論が多く見られ、結果的に炎上を招いている。同じく佐藤正久氏(通称「ヒゲの隊長」)もこの減税案を批判しているが、効果的な議論には至っていない。

 小野寺氏や佐藤氏、さらに石破茂氏に共通するのは「防衛族議員」である点だ。彼らは愛国心や石破同志への支援を目的としているつもりだろうが、そのアプローチは完全に誤っている。彼らの所属は、一見すると右派的な立場に見えるが、実際には政治に対するスタンスが際立って左派的であることが分かる。

 防衛族議員が左派?と聞くと驚くかもしれないが、2023年に「ジャーナル・オブ・ヨーロピアン・ソーシャル・ポリシー」に掲載された最新の研究論文「納税意欲の説明:所得、教育、イデオロギーの役割」(モントリオール大学)は、このテーマに関する興味深い事実を明らかにしている。この研究は、2016年のカナダの国際調査と2018年のOECD調査から得られたデータを使用し、政治思想が納税意欲にどのような影響を与えるかを分析した。

 調査結果によれば、左派の65%が「所得の2%増税に応じる」と答えたのに対し、右派では30%にとどまった。左派は税金を社会福祉や公共サービスを支える手段と考え、特に高所得者ほど納税意欲が高い傾向がある。例えば、左派の高所得者の70%以上が追加の税負担を受け入れる姿勢を示した。

右派と左派、高学歴になればなるほど税への認識が真逆に

 一方、右派は自己責任を重視し、税負担を避けたいと考える傾向が強い。右派の高所得者では納税意欲が30%以下に減少することが確認された。

 教育の影響を考慮しても、左派と右派の違いは明らかである。左派は教育レベルが上がるほど納税意欲が増加する。一方、右派では教育が高くなると、むしろ納税意欲が減少する傾向が見られる。左派が税金を社会全体の利益として捉えるのに対し、右派は税金を個人の自由を奪う負担と見なすためである。

 職業も納税意欲に影響を与えている。社会文化的専門職に属する左派の人々の多くは、納税を積極的に支持している。一方、生産・サービス労働者は右派傾向が強く、追加の税負担に反対する割合が50%を超える。この研究は、左派が税金を「投資」と考えるのに対し、右派が「負担」として捉えていることを示している。

 OECD調査を基にしたこの研究は、世界の標準的な考え方を反映している。

 日本では長年にわたり自民党が政権を握り続けた結果、右派も左派も権力志向の強い人物が自民党に集まるようになった。自民党は、国民からの疑いの目をそらすため、時に左派として振る舞い、時に右派として振る舞う政党である。

「手取りが増えてしまうの問題点

 防衛族議員が右派であるという認識は単なるイメージに過ぎない。北朝鮮や旧ソ連といった極端な左派国家にも軍事分野の政治家が存在することを考えれば、防衛族議員だからといって右派とは限らない。むしろ、税金に対する態度を基準にすることで、右派と左派をより明確に判断できる。

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この記事の著者
小倉健一

1979年生まれ。京都大学経済学部卒業。国会議員秘書を経てプレジデント社へ入社、プレジデント編集部配属。経済誌としては当時最年少でプレジデント編集長就任(2020年1月)。2021年7月に独立。現在に至る。 Twitter :@ogurapunk、CONTACT : https://k-ogura.jp/contact

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