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吹き荒れる「反『多様性への取り組み』」…トランプ「性別は男と女の二つのみ!」、ザッカーバーグ「企業に男性的エネルギー必要」

(c) AdobeStock

 トランプ大統領の就任により、DEIと呼ばれる多様性などの実現に向けた取り組みを見直す動きがアメリカの企業の間で広がっている。つい先日も、白人男性だけで取締役会を構成する企業とは新規株式公開(IPO)のビジネスはしないと表明してきた米金融大手ゴールドマン・サックスも、この方針を白紙に戻した。こうした例はあくまで一部で、他の巨大企業も「反DEI」の方針を掲げるようになった。日経新聞の編集委員である小平龍四郎氏が解説していくーー。

目次

大統領就任演説で「性別は男性と女性の二つのみとする」

 気候変動問題に取り組むためのパリ協定からの離脱、海外開発援助を担う米国際開発局(USAID)の閉鎖、さらには紙ストローの禁止。就任して1カ月余りが経過した米トランプ大統領のやりたい放題ぶりが加速している。共通する狙いは「民主的なものを根こそぎ否定すること」だ。世界一の経済大国は日々、トランプ色に染まりつつある。

 性別や民族などの面での弱者に配慮するDEI(多様性、公正性、包摂性)への風当たりも激しさなるばかりだ。トランプは大統領就任演説で「米政府の公式方針として、性別には男性と女性の二つのみとする」と発言、さらに大統領令でトランスジェンダーの女子競技への参加も禁止した。こうした流れに合わせ、米国企業の間にも採用や人事評価、昇進などの面でDEIへの配慮を停止、縮小する動きが目立ってきた。

マーク・ザッカーバーグ氏も“マッチョイズム”を打ち出す

 顕著なのは、リベラルな考え方が強いと思われてきた米西海岸シリコンバレーのテック企業だ。メタやアマゾン、グーグル、ズームなどが軒並み、DEI関連の取り組みや組織の見直しを打ち出している。メタのマーク・ザッカーバーグCEOは「(企業には)もっと男性的なエネルギーが必要」と公言、マッチョ路線を前面に押し出している。

 吹き荒れる反DEIへの逆風のなかで注目されているのが、アップルだ。同社のティム・クックCEOは大企業トップとしては珍しく同性愛者であることを公言するなど、DEI経営のアイコン的な存在にもなっている。これに対して、保守系シンクタンク全米公共政策研究センター(NCPPR)はアップルのDEIポリシーを取りやめるべきだとする株主提案を、2月25日のアップル株主総会に提出している。

NCPPRによる“アンチDEI提案”に揺さぶられる大企業

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この記事の著者
小平龍四郎

1964年生まれ。静岡県出身。早稲田大学第一文学部卒業。日本経済新聞入社後は主に金融・証券畑を歩き、「山一証券破綻」「村上ファンド登場」などの特報にかかわる。欧州総局(ロンドン)やアジア総局(バンコク)を経験し、現在は日経新聞の編集委員。専門は証券市場、ESG/SDGs、企業統治。著書は「グローバルコーポレートガバナンス」「アジア資本主義」「ESGはやわかり」。 Twitter:@Kodaira_Nikkei

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