橋下徹氏、維新・前原氏批判の泉房穂氏を罵倒「テメー」「ボケッ」繰り返される大阪増税…冷静に考えて正しいのはどちらか

国民民主党が掲げた「年収103万円の壁」の178万円の引き上げは実現しなくなった。日本維新の会が自民、公明両党と高校授業無償化などで正式に合意し、来年度予算が衆議院を通過したためだ。これには落胆した国民もいただろうが、兵庫県明石市の前市長である泉房穂氏も「維新の対応が残念でならない」などと述べていた。それに対して元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏も自身のSNSで泉房穂氏を罵倒した。一体何が起きているのか。経済誌プレジデントの元編集長で作家の小倉健一氏が解説するーー。
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「ボケッ!」「テメーの尻拭いをしてやっている」
維新が自らの「教育費無償化(全額税負担化のこと)」を与党に飲ませたことを引き換えに、予算案に賛成したことを巡り、維新創業者の橋下徹氏と元明石市長の泉房穂がX上で激しく対立している。問題を整理してみよう。
発端は維新の政調会長・青柳仁士氏の発言だった。「いたずらに国会での審議を停滞・混乱させるだけで、実際の国民生活は何一つ変わらない」と、4月からのガソリン減税法案を提出した立憲民主党と国民民主党に対し、こう吐き捨てたのだ。
泉氏はXで、維新が「いたずらに国会で“安売り”をし、大幅減税を葬り去り、実際の国民生活を何一つ変えなかった」と批判した。
これに対し、橋下が反論した。泉が「大阪府が一番得をする」と指摘したことについて、「ボケッ!」と罵倒し、「たった7億円も政治決断できずに用意できなかったテメーの尻拭いをしてやっている」と述べた。さらに、明石市の公立小学校給食無償化が実現したのは維新の政策のおかげだと主張し、「テメーは明石市の市政しか見えてへんのか?」と非難したのだ。
しかし、冷静に考えてみるべきである。橋下氏は「テメーの尻拭いをしてやっている」などと罵倒しているが、教育費の全額税負担化によって維新が一歩前進したかのように主張している。しかし、その財源となる税金を支払っているのは国民である。つまり、実際に尻拭いをしたのは維新でも橋下氏でもなく、国民自身なのだ。政治家や政党が自らの功績を誇るのは自由だが、それを支えているのは最終的に納税者であり、その負担を無視して成果だけを強調するのは極めて欺瞞的である。