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堀江貴文はなぜフジテレビの経営権を取得したかったのか…フジテレビ買収劇の裏で動いていた大物メディア人

(c) AdobeStock

 元タレントの中居正広氏による女性とのトラブルに端を発する問題で第三者委員会を設置し、世間の耳目を集めているフジテレビ。かつてニッポン放送株を買収し、フジテレビの経営権を取得しようとしていた堀江貴文氏に、なぜフジテレビが当時魅力的だったのか、今日の騒動につながるフジテレビの歴史などについて聞いたーー。

目次

堀江貴文はかつて、なぜフジテレビを買収したかったのか

ーー過去に堀江さんがフジテレビの買収を試みた際、どのような改革を考えていらっしゃったのでしょうか?

 当時の僕の考えは、現在のAmazon Prime Videoのようなビジネスモデルを構築することでした。

 Amazonはもともと本の通販からスタートし、決済アカウントを握ることで家電や様々なサービスを販売し、最終的には動画配信のサブスクリプションサービスへと展開しました。そこで僕が活用したかったのは、フジテレビが持つ「圧倒的なリーチ力」です。

 例えば、FNN(フジニュースネットワーク)を通じて全国の視聴者にリーチでき、その規模をインターネットの指標で考えると、MAU(月間アクティブユーザー)で1億人規模、DAU(1日あたりのアクティブユーザー)でも3000万~4000万人ほどいたと考えられます。これはインターネット業界の観点からすると、非常に価値のある数字です。そのリーチ力をインターネット企業のPRに活用すれば、極めて大きな価値を生み出せると考えていました。

 当時、僕の狙いが動画配信だったかのように語られることが多いですが、当時のインフラでは帯域が全く足りず、まだiモードの時代だったため、現実的ではありませんでした。そこで僕のプランとしては、まずフジテレビのiモードサービスを充実させ、月額500円~1000円のサブスクリプションモデルを構築し、1000万~2000万人規模の会員を獲得することを目指していました。

 動画配信がなくても、例えばフジテレビのドラマで使用された商品を購入できる仕組みや、番組観覧券を抽選で提供するサービスを展開するだけで、十分に成立するビジネスモデルだったはずです。当時のフジテレビの人気を考えれば、その実現可能性は非常に高かったと思います。

 そして、この基盤をしっかり作り上げておけば、後に動画配信サービスを追加することも容易だったでしょう。もしこの戦略を実行していれば、「フジテレビオンデマンド」の会員数は現在5000万人規模になっていた可能性があると考えています。

「フジテレビモバイル」の可能性もあった

ーーフジテレビの持つ「圧倒的なリーチ力」をビジネスに活用したかったということですね。

 はい。当時、ライブドアは「ポスレン」というDVDレンタルサービスを運営していて、今でいうNetflixのようなビジネスモデルを展開していました。これをフジテレビと連携させることで、会員数を飛躍的に増やし、日本でNo.1の動画配信プラットフォームになっていたのではないかと思います。

 さらに、それを海外、特に東南アジアなどに展開すれば、より大きな市場を獲得できたはずです。

 それだけでなく、通信サービスへの進出も可能だったかもしれません。MVNO(仮想移動体通信事業者)として展開すれば、大きなコストをかけずに通信事業に参入できたでしょう。例えば、「フジテレビモバイル」のようなブランドを立ち上げれば、相当な加入者を獲得できたと考えています。

フジテレビの制作力は世界でも通用する理由

ーーフジテレビを買収しようとした当時から、すでに海外進出も視野に入れていたのですね。

 もちろん考えていました。日本のコンテンツは世界でも十分に通用します。実際、現在もそうですよね。アニメはもちろん、最近ではドラマも海外で人気を集めています。

 かつては「日本のドラマは海外では通用しない」と言われていましたが、実際にはそんなことはなく、高く評価されています。フジテレビの制作力は非常に高く、世界で戦えるポテンシャルが十分にありました。

 ただ、それとは別に、フジテレビ特有の「体質」も存在していました。例えば、「アイドル女子アナ」という文化を生み出したのもフジテレビです。この源流については、以前YouTubeで話しましたが、数年前にフジテレビの元アナウンス部部長である露木茂さんから直接お話を伺ったこともあります。その際に話題に上がったのが、徳間書店から出版されていた『閨閥』という本の内容でした。

フジテレビについて書かれ、発禁処分になった伝説の本

ーーフジテレビについて書かれた『閨閥』は、当時大きな話題になりましたよね。

 はい。でもこの本は発禁になっていて、なかなか手に入らないんですよね。僕が話題にするたびにAmazonでの価格が上がるんです(笑)。さっき見たら2万8000円になっていました。高すぎるでしょ?

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この記事の著者
堀江貴文

1972年10月29日、福岡県生まれ。 現在はロケットエンジン開発や、アプリのプロデュース、また予防医療普及協会として予防医療を啓蒙する等 様々な分野で活動する。 会員制オンラインサロン『堀江貴文イノベーション大学校(HIU)』では、700名近い会員とともに多彩なプロジェクトを展開している。 [http://salon.horiemon.com](http://salon.horiemon.com/) 著書『金を使うならカラダに使え。』『ChatGPT vs. 未来のない仕事をする人たち』『2035 10年後のニッポン ホリエモンの未来予測大全』など。 その他詳細はhttps://zeroichi.media/ Twitter アカウント @takapon_jp

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