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「あと10年で新聞の部数は激減する」元朝日新聞・尾形聡彦氏、もう「届かない」オールドメディアの“破綻”

(c) AdobeStock

 ネットメディアが台頭し、SNS上の情報発信・交換が旺盛な時代、新聞・雑誌やテレビといった「オールドメディア」に対する人々の位置づけが急速に変化している。日本新聞協会のデータによれば新聞総発行部数は約2662万部(2024年10月現在)で、わずか1年で200万部近くも減少。20年ちょっとで半減した計算だ。テレビ業界も主力の広告が下降し、人材流出が止まらない。

 1993年から朝日新聞で経済部記者や米特派員・支局長などを務め、2022年7月にオンラインメディア「Arc Times」を立ち上げた尾形聡彦氏は「あと10年すれば新聞の部数は1/10くらいになる」と見る。

 はたして、オールドメディアは生き残っていけるのか。ネットやSNSの出現によるメディアの変貌、そして「これから起きること」について尾形氏に聞いた。みんかぶプレミアム特集「オールドメディアの黄昏」第1回。

目次

部数は1/10、「届かない」オールドメディア 

ーーなぜオールドメディアはダメになったのでしょうか。

 50歳以下の人は、ほとんど新聞を読んでいない。それよりも上の人たちが亡くなっていくスピードで、新聞は本当になくなっていく。2015年の時点で新聞購読者に占める40歳以下の人の割合は5%前後だ。若い人たちは『Yahoo!ニュース』『スマートニュース』などでニュースは受け取っているが、新聞紙の形では受け取っていない。その人たちが50歳以上になった時に急に新聞を読み出すかと言えば、それは起こらない。

 あと10年ぐらい経つと部数は1/10とかになってくると思う。それはメディアとして『届かない』ことを意味する。もう1つは、広告収入の変化。広告は新聞やテレビからインターネットに移った。Google検索やYouTube、Facebook(META)などの広告にお金がいき、テレビ業界もそれに対応できていない。

「朝日新聞は不動産事業で利益出せば良いと思っているのでは」

ーーマスメディアの「本業」は、収益をあげる不動産事業になってしまったのではないかと言われています。

 マスメディアには記者がいて、一次情報のデータを調べ、本質的にどういう意味なのか、多くの市民にどういう意味を持つのかを示してきた。やはり、そこで『解釈』する人が必要で、その機能は必要だと思う。

 ただ、『ハコ』としてのオールドメディアにはもうお金が集まらなくなっている。たとえば、朝日新聞の決算発表の数字を見る限り、不動産事業で利益を出せば良いと思っているのではないかと考えざるを得ない。

強靱だったビジネスモデル、もはや通用しない

ーー朝日新聞を2022年6月末で退社し、なぜ自分のメディアをつくったのでしょうか。

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この記事の著者
尾形聡彦

1969年生まれ。慶応大学卒。1993年に朝日新聞入社。米スタンフォード大客員研究員をへて、2002年から米サンノゼ特派員としてマイクロソフトやアップルなど米IT企業を取材。08年にロンドン特派員、09年から12年までは米ワシントン特派員として、ホワイトハウスや米財務省、FRB、IMF、世界銀行を取材。ティモシー・ガイトナー財務長官、ロバート・ゼーリック世界銀行総裁、クリスティーヌ・ラガルドIMF専務理事らを単独インタビューした。2012年以降は日本の財務省・政策キャップ、経済部次長、国際報道部次長、オピニオン編集部次長を経て、2018年〜2021年にサンフランシスコ支局長として、GAFAを取材。グーグルのスンダー・ピチャイCEO、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス会長、テスラのイーロン・マスクCEOを直接取材した。朝日新聞時代の署名記事は約2700本で、経済系の記者として過去最多。2022年6月末に朝日新聞を退社し、同年7月にArc Times の YouTubeチャンネルをスタートさせた。著書に『乱流のホワイトハウス』(2017年、岩波書店)

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