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米トランプ大統領まさかの「三選」に向けた衝撃シナリオ…米中貿易戦争を鎮静化させた真の要因

(c) AdobeStock

 米トランプ大統領が関税政策を軟化させている。なぜ米中貿易戦争は沈静化したのか。国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は「来年11月に予定される米中間選挙の見通しがトランプ政権の意思決定に影響を与えた」とみる。一体、なぜなのか。みんかぶプレミアム特集「危機の時代を生きぬく」第6回。

目次

米中貿易戦争を鎮静化させた真の要因

 米中貿易戦争を鎮静化させた要因は何か。米国国債の金利上昇、ベッセント財務長官のプレゼンス拡大、業界団体からの陳情など、様々な要因が考えられるが、トランプ大統領の意思決定に明確に影響を与えたのは「来年11月に予定される米中間選挙の見通し」である。

 トランプ大統領の支持率は3月半ばに不支持が支持を逆転しており、所謂ハネムーン期間は既に終了している。そのため、その挙動に対して既に激しい批判が巻き起こり、有権者もそれらをある程度冷静に受け止められる世論環境ができている。このような状況はある程度予測されていたこともあり、トランプ大統領は政権発足以来矢継ぎ早に様々な政策を実行し、経済的に悪影響が出る関税なども実行してきた。その姿勢からは世論調査上不人気であったとしても、連邦議会や世論の抵抗が激しくないハネムーン期間中に、大統領としての公約を強引に実現しようとする政権運営戦略が見て取れた。

トランプ大統領は「三選」に向けて動き出したか

 そして、実際、トランプ大統領の支持率を著しく悪化させた要因は経済政策だ。そして、その経済政策とは関税政策に他ならない。トランプ大統領が米中貿易戦争や近隣国に対して関税攻勢をかけて以来、トランプ大統領の経済政策に対する支持は著しく落ち込んでいる。それを飲み込んだうえでの大胆な関税政策の実行、筆者は二期目のトランプ政権の大胆不敵さを感じていた。

 当初トランプ大統領は自分自身の三選は無いため、来年の中間選挙には淡白な姿勢ではないかと考えられてきた。特に、本年の連邦議会において2028年の任期終了までのトランプ減税継続・拡大が決定する見通しの中で、政権後期2027~28年に民主党に下院多数派を奪われたとしても、政権運営に大きな支障はないという向きも多かった。

 しかし、今回の米中貿易戦争の一旦の見直しは、トランプ政権が来年度の中間選挙での敗北回避に舵を切ったとみることが妥当だ。そして、その行為は実はトランプ大統領の三選に向けた作業が開始されているかのようにも見える。

連邦下院多数派を民主党に奪われた場合、トランプ政権に降りかかる不利益

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この記事の著者
渡瀬 裕哉

1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 早稲田大学公共政策研究所招聘研究員、事業創造大学院大学国際公共政策研究所上席研究員。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。2016年トランプ大統領当選、2020年民主党による大統領・連邦上下両院勝利を正確に予測し、米国政治に関する分析力に定評がある。『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 』(すばる舎)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)

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