森山幹事長「消費税守り抜く」石破首相「消費減税は金持ちほど得」…自民党の論理破綻した「プロパガンダ動画広告」と哀れな日本国民

自民党の森山裕幹事長はが奈良県五條市での講演で「何としても消費税を守り抜く。代替財源を示さずに、消費税を下げる議論だけをするのはポピュリズムの政治だ」と発言し、波紋を呼んでいる。「自民党が公約に掲げている国民への2万円給付の方がよっぽどポピュリズムだ」などと批判するのは経済誌プレジデントの元編集長で作家の小倉健一氏だ。そして石破茂総理も「消費減税は金持ちほど恩恵をうける」などと発言し物議を醸した。小倉氏が自民党の問題点を解説するーー。
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国民を無視し、減税を頑なに拒否
石破政権が誕生して以来、国民の期待は急速に失望へと変わった。石破茂首相や森山裕幹事長を筆頭とする政権中枢は、物価高に苦しむ国民の声に背を向け、減税を頑なに拒否する姿勢を鮮明にしている。
減税を実施しない理由を国民に必死で説く姿は、大きな批判の的となっている。特に石破首相の「消費減税は金持ちほど恩恵を受ける」という趣旨の発言は、SNSで大炎上し、政権の基本的経済認識の欠如を露呈した。もし選挙に勝ったら消費税を上げかねないレベルの税金礼賛だ。社会保障の大事な基盤である消費税を上げることで、貧困層を救えるとでも言いたいのだろうか。消費税はイギリスでは「罪税」とレッテルされるぐらいに、貧困層をさらに貧困に追い込む税金であることがよく知られている。
問題は、自民党がこの状況を「国民に政策が伝わっていない」ことが原因だと信じ込んでいる点にある。解決策としてTikTokやYouTubeといったプラットフォームで、石破首相の政策を有料広告で大量に露出し始めた。コメント欄に殺到する批判的な意見を見る限り、この試みは完全に逆効果である。かつて筆者は、SNSでの国民の声にあまりに無関心な石破氏に対し、首相へのインタビューの際に、TikTokやYouTube、Xでの国民の意見聴取を直接進言したことがあった。国民の意見を分析し、政策に活かすべきだと伝えた訳だ。
私のようなものの提案など無視されて当然ではあるが、現実には全く異なった形で動画利用がなされたようだ。政権の意見がSNSに伝わっていないから、自分たちの主張を大量の広告費を使って流布すればよいという発想は、対話ではなく一方的な情報伝達に過ぎない。大枚を叩いて、自らの主張を変えることなく相手に押し付けるという愚挙に及んだわけで、SNSの双方向性を全く理解していない。
石破首相はすでに裸の王様である
誰が考えてもおかしいこの状況は、石破首相がすでに裸の王様であることを示唆している。森山裕氏、小泉進次郎氏、小野寺五典氏といった側近の意見はすぐに聞く一方で、他の多様な意見には耳を貸さそうともしない。