「ブーメラン」批判にガーシー氏が猛反論 40代~60代の“おじさん”が熱狂したガーシー現象の現在地を本人が赤裸々告白

かつてYouTubeでの暴露を武器に社会現象を巻き起こし、参議院選挙で約29万票を獲得して国会議員となったガーシー氏。しかし熱狂の渦中にいた本人は、「自分がすごいとはまったく思っていなかった」と冷静に振り返り、むしろ自身の巨大な影響力に「違和感」すら抱いていたという。
社会現象の裏側で抱いていた本音から国会議員除名の真相、現在の心境、そして「57歳で完全に引退する」と語る今後の人生設計まで、そのすべてを赤裸々に語ってもらった。短期連載全4回の第3回。(取材日:8月14日)
目次
誹謗中傷を続けるインフルエンサーたちに思うこと
――過去の言動について「ブーメランだ」と批判されることもありますが、ご自身ではどう捉えていますか?
よく言われますね。でも、僕はブーメランを投げているつもりはありません。僕はずっと「フリスビーだ」と言っています。パスをしているだけなんです。
どういうことかというと、自分が過去にやって「これはあかんかったな」と反省したことを、今まさに同じことをやっている人たちに向けて「やめたほうがいいよ」と伝えているだけ。もし僕が今も同じ過ちを繰り返しているなら、それはブーメランと言われても仕方ない。でも、僕はそれに対して反省し、逮捕され、今まさにその償いをしている段階です。
僕は逮捕され、勾留され、実刑判決を受ける可能性すらあった。それくらいの大事件になったのに、まだ分かっていないインフルエンサーがたくさんいるでしょう。「自分は大丈夫だろう」と高をくくって、平気で誹謗中傷を繰り返している。だから僕は言い続けるんです。「俺を見ていい加減に分かりなさい」と。「そんなことをしても誰も助けてくれないよ」と。
ガーシー氏が国家権力に“狙われた”本当の理由
――ご自身の経験から、他のインフルエンサーが同じようなことをしても逮捕に至らないのはなぜだとお考えですか?
それは、彼らの影響力が「選挙に受かるほどではない」からです。見逃してもらっているだけなんです。すごく分かりやすく言うと、そういうことです。
たとえば、今いる様々なYouTuberやインフルエンサー、Xで発信している人たちが、もし選挙に受かるくらいの影響力を持った上で、僕がやっていたような発言をし始めたら、間違いなく潰されると思います。彼らがどれだけ「自分はすごい」と言ったところで、社会を動かすほどの影響力はまだない。だからスルーされているんです。
僕の影響力は、先ほども言ったように警察からも「異常だった」と言われました。それほどの力がなければ、権力側も本気では動かない。逆に言えば、それだけの影響力を持ってしまったから、僕は狙われた。そういうことだと思っています。だから、今同じようなことをやっている人たちに言いたいのは、「君たちはまだ、そのレベルに達していないから許されているだけなんだよ」ということです。
なぜSNSのフォロワー数は議席に結びつかないのか
――SNSでの人気さえあれば選挙に勝てる、という風潮も一時期ありましたが、それも違うと。
無理ですね。地方の県会議員くらいなら可能性はあるかもしれません。でも、国を代表する国会議員となると、話は別です。もちろん、自民党のような大きなバックアップがある政党から出れば可能性はあるでしょう。でも、NHK党のような小さな党から、ただ「インフルエンサーだから」という理由だけで出て受かるかと言ったら、まず受からないと思います。
なぜ僕が受かって、他のインフルエンサーでは難しいかというと、ファン層の違いも大きい。他のインフルエンサーの方々のファン層は、大体が中高生でしょう。中学生は選挙権がないし、高校生も18歳以上でなければ投票できない。その層の人気を集めても、票には繋がらないんです。
ガーシー現象の正体 若者ではなく“おじさん”が熱狂
僕のファン層は、当時から40代から60代の方が非常に多かった。ここは選挙に行く層と重なります。だから票が集まりやすかった。今も僕の視聴者層は年齢が高めです。50代になっても人生はやり直せるんだ、という僕の姿に自分を重ねて、「よし、俺も頑張ろう」と思ってくれている人がたくさんいるようです。「どうやったら人生をリセットできますか?」といった相談もよく受けます。
そういう相談には、「もう振り切るしかないよ」と答えています。ただ、振り切り方を間違えると僕みたいに逮捕されるから、そこだけは見極めてやりなさい、と。
日本のトップを自民党だけで決めるのはおかしい
――現在の日本の政治状況、特に自民党一強が長らく続いてきた状態をどう見ていますか?
間違いなく、政治に歪みを生んでいると思います。そもそも、与党の総裁がそのまま首相になるというシステムがおかしい。アメリカの大統領のように、首相は国民投票で決めるべきです。なんで自民党の中だけで日本のトップを決めるのか。国民が首相になってほしいと思っている人物は、全然違うかもしれません。
国民が直接選んでいないから、首相に対する当事者意識も責任感も生まれない。だから支持率も20%を切るような低迷状態になる。支持率が20%しかない首相のために、国民が心を一つにして動くわけがないでしょう。
ガーシー氏が参院選で“反自民”の一票に込めた願い
もし支持率が70%、80%あるリーダーだったら、多少無茶なことを言われても「あの人が言うなら、我慢して頑張ろう」という気持ちになるじゃないですか。
今回の選挙で、僕は自民党の当選議員を一人でも減らしたくて、今影響力のある野党に入れました。そうしないと、この国は変わらないと思ったからです。結果的に、今回は様々な党が議席を伸ばし、自民党の力が少し削がれた。この流れが、日本が良い方向に変わっていくきっかけになってほしいと心から願っています。
次の首相に最適なのは小泉進次郎氏だ 熱弁する理由
――では、次の首相として期待する人物はいますか?
今は特にこの人、というのはいません。ただ、僕は以前から小泉進次郎さんでいいんじゃないか、と言っています。彼が「アホだ」「バカだ」と色々言われているのは知っていますが、僕は仮にそうだとしても、彼がトップに立って、足りない部分を周りの優秀な人間がフォローすればいいじゃないか、と思っています。
やっぱり見た目が男前で、奥さんも有名人。こういう要素は、実は結構大事だと思っています。かつて小泉純一郎さんが総理大臣だったとき、日本はちょっと面白かったじゃないですか。彼も見た目がシュッとしてるし、タレント的な要素があって、国民みんなが食いついて、支持率もものすごく上がった。今、それができる可能性があるのは、小泉進次郎さんだけじゃないかと。
見た目も良くて、若くて、発言が多少拙くても、官房長官などがしっかりしていれば問題ない。リーダーには、多少なりとも人気者の要素が必要なんです。あるいは、とことん泥をかぶれる人間か。今の負の遺産を全部背負って終わらせて、次の新しい人にバトンを渡すという。そのどちらかしかない。
ガーシー氏が語る野党の「有力首相候補」2人の実名
野党にも、正直「この人だ」という人はいません。みんな似たり寄ったりに見えてしまう。それならいっそ、ショック療法として、れいわ新選組の山本太郎さんや、参政党の神谷宗幣さんみたいな人がトップになったほうが、もしかしたら日本はガラッと変わるかもしれない。
もちろん、良い方向に行くか悪い方向に行くかは分かりません。でも、それ以外の人たちがやっても、今の自民党政治と大して変わらないような気がしてしまいます。橋本龍太郎さんのように、アメリカにだって物申せるような気骨のある政治家が、今の日本には見当たりませんから。