「国民民主党は高齢者のことを考えていない」はとんでもない誤解だ…榛葉幹事長が“現役世代優先”の真意を独占告白

「手取りを増やす」を掲げ、現役世代を中心に支持を広げる国民民主党。その躍進の裏には、玉木雄一郎代表とともに党を牽引する榛葉賀津也幹事長の存在がある。

 YouTubeなどで見せる気さくな人柄で「国民民主党の番犬」「ヤギの人」としても人気を博す榛葉氏。その政治家としての原点、独自の政党運営論、そして激動する日本政治の未来図とは。イスラエルでの壮絶な体験から、自民党総裁選、エネルギー問題まで、その核心に迫った。短期連載全4回の第1回。(取材日:9月19日)

目次

YouTubeでバズる幹事長の素顔「ヤギに勝てない」玉木代表も嘆き

――本日はありがとうございます。早速ですが、榛葉幹事長は今、YouTubeで大変な人気を博しています。会見の様子などが切り抜かれ、「バズっている」状況をご自身ではどう感じていらっしゃいますか?

 どうも、ありがとうございます。いやいや、そんなことないですよ。私がバズっているわけではなくて、皆さんが勝手にサードパーティーでやってくださるんでね(笑)。ありがたいことです。

――最初は玉木代表の動画から国民民主党に興味を持って、最終的に榛葉幹事長に行き着くっていうパターンも多いみたいですね。

 玉木さんは政策をどんどん発信して、私は「番犬」として党を守る。そういう役割分担がうまく機能しているのかもしれません。

――玉木代表との関係性も注目されていますが、党内ではヤギの「ケビン」の動画が一番再生されるという話も聞きます(笑)。

 そうなんですよ。玉木代表がこの間ポロッと「榛葉さん、どれだけたまきチャンネルを頑張っても、ヤギに勝てない……」って嘆いてました(笑)。あのビジュアルは強いですからね。

原点はイスラエルで見た「命がけの日常」

――今日は榛葉幹事長の個人的なヒストリーも伺いたいのですが、そもそも政治家を志したきっかけは何だったのでしょうか。

 私は大学を卒業してイスラエルに渡り、中東で「ドゥルーズ」という少数民族の研究をしていました。彼らはシーア派の異端とされる密教の信者で、イスラム教徒でありアラブ人でありながら、イスラエル建国の時からイスラエル側に立って、イスラエル国防軍の兵士として同胞であるアラブ人と戦ってきた、非常にユニークな歴史とアイデンティティを持つ人々です。

 私の研究テーマは、現代イスラエルにおけるドゥルーズ教徒の投票行動です。当初はイスラエル国家に忠誠を誓っていた彼らが、パレスチナ問題などが深刻化するにつれて、徐々にアラブ人としてのアイデンティティに目覚めていく。そして、イスラエルの保守政党から共産党系の左翼政党へと投票先を変えていく、その動向を調べるという、かなりマニアックな研究をしていました。

イスラエルの学生は「日本の大学生とは比べ物にならない」

 イスラエルでは、高校を卒業すると18歳で、男性は2年8カ月、女性は2年の兵役義務があります。兵役を終えても、40歳くらいまで毎年1カ月程度の予備役の務めがある。だから、大学で一緒に学んでいる同級生たちも、2年、3年軍隊を経験してから大学に入るので非常に大人なんです。国のこと、国際情勢のことを、日本の大学生とは比べ物にならないくらい真剣に考えている。

 そんな仲間たちが、年に一度の予備役に行って、そのまま帰ってこない、ということが時折ありました。いわゆる戦死です。パレスチナ人の友人もたくさんいましたから、双方の痛みを見てきました。

 日々の緊張感はとてつもないものでした。スーパーに行くにも、図書館に行くにも、どこへ行くにも手荷物検査と金属探知機を通らなければならない。街の至るところに機関銃を持った兵士がいる。最初は緊張しましたが、3年もいると、逆に兵士がいることで安心するようになるんです。軍人がいないと「大丈夫かな?」と不安になるくらい、常に緊張感に満ちた日常でした。

国民の命を守れるのは政治しかない 覚悟の帰国

 戦争や紛争を起こすのも政治ですが、それを終わらせることができるのもまた政治です。人の命、民族の存続、国家の存立に直結する、ヒリヒリするという言葉では言い尽くせない現実を目の当たりにして、「政治がしっかりしなければ国は守れない」と痛感しました。政治を批判したり、無関心でいたりするのは簡単です。しかし、国を統治し、国民の命を守るのは政治しかない。

 そう考えていたとき、私の指導教官だった先生が「国へ帰って政治家になれ」と私の背中を押してくれたんです。残念ながらその先生はつい先日鬼籍に入られてしまいましたが、その一言が私の人生を決めました。26歳で日本に帰国し、政治家になる道を歩み始めたんです。

 帰国してすぐ、まずは消防団に入り、地域の活動から始めました。小学校の同級生たちと一緒に、立場や利害を超えて自主防災に取り組んだ経験は、私の政治活動の原点であり、非常に良い勉強になりました。それから私の故郷である静岡県菊川町(当時)の町議会議員選挙に出馬し、政治家としての人生をスタートしました。

日本の政治がすぐ“バラマキ”に陥る根本的な理由

――国際情勢の緊迫感を肌で感じて政治を志されたというのは、非常に重要な視点だと思います。日本の政治家は、社会福祉などをきっかけに政治の道に入る方が多い印象ですが、そうするとどうしても「お金は天から降ってくるもの」という発想になりがちで、財源を考えずにバラマキ政策に終始してしまう危険性も指摘されています。

 もちろん、日本の政治の入り口は多様であっていいと思います。ただ、私たち国民民主党がなぜ「現役世代を強くする」ということを一貫して訴えているかというと、この国の「幹」であり「大黒柱」である現役世代をまず元気にしなければ、社会全体が成り立たないと考えているからです。

 多くの政治家が、現役世代に守られるべき立場の方々、たとえば子ども、お年寄り、障がいを持つ方々の視点から政治の世界に入ってきます。もちろん、そうした方々を守るのは政治のもっとも重要な役割です。その入り口を否定するつもりはまったくありません。

「国民民主は高齢者のことを考えていない」は誤解だ

 しかし、その方々を守るためにも、税金を払い、社会を支えている現役世代という大黒柱がしっかりしていなければならない。この大黒柱をもっと太く、強くすることが、結果的に社会のあらゆる人々を守ることに繋がるんだ、という議論が、これまでの日本の政治では少し希薄だったのではないかと感じています。

 我々が現役世代の手取りを増やす政策を前面に押し出すと、「国民民主党は高齢者のことや子どものことを考えていない」と批判されることもあります。しかし、それはまったく違います。大黒柱である現役世代が経済的に安定し、豊かになれば、少子化問題も、就職氷河期世代の問題も、もっと早く解決できたかもしれない。私たちは、この国の根幹を支える人々にもっと光を当てる政治が必要だと考えています。

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