国の税収が増えまくる一方で庶民の手取りは減り続ける“異常事態”に国民は悲鳴…日本をここまで貧しくした「本当の戦犯」を国民民主幹事長がバッサリ

「手取りを増やす」を掲げ、現役世代を中心に支持を広げる国民民主党。その躍進の裏には、玉木雄一郎代表とともに党を牽引する榛葉賀津也幹事長の存在がある。

 YouTubeなどで見せる気さくな人柄で「国民民主党の番犬」「ヤギの人」としても人気を博す榛葉氏。その政治家としての原点、独自の政党運営論、そして激動する日本政治の未来図とは。イスラエルでの壮絶な体験から、自民党総裁選、エネルギー問題まで、その核心に迫った。短期連載全4回の第4回。(取材日:9月19日)

目次

国民民主党の候補者公募に殺到する人たちにホンネ

――次の衆院選に向けては、少なくとも各都道府県に1人は候補者を擁立する方針とのことですが、現状はいかがでしょうか? もっと積極的に候補者を出して議席を取りにいくべきだ、という声もあります。

 おっしゃる通りです。ただ、選挙は候補者一人では戦えません。公募には本当にたくさんの方々が応募してくださっています。しかし、正直に申し上げて玉石混交です。履歴書には立派なことが書いてあっても、経歴をよく調べてみると実態と違ったり、周りの評判が非常に悪かったりすることもあります。最近話題になった某市長のように、政治家としての資質に疑問符がつく方もいる。候補者の選定は、党の信頼に関わる問題ですから、非常に慎重にならざるを得ません。

政治の世界で“学歴”がまったく役に立たない理由

 ただ、政治の世界の何がいいかと言うと、学歴や経歴が一切関係ないということです。東大法学部卒なんてゴロゴロいますし、それが優秀な政治家であることの証明にはまったくならない。私が心から尊敬する小林正夫先生は、工業高校を卒業後、東京電力でヘルメットをかぶり、マンホールの下で点検作業をされていた方です。

 かつてみんなが立憲民主党に行く中で彼が「原発に反対する政党に行けるわけがないだろう」と、どっしりと国民民主党に残ってくれたおかげで、今の私たちがあります。一番大事なのは「学歴」ではなく「学問」です。

 ですから、これを読まれている皆さんにも、ぜひ臆することなく挑戦していただきたい。玉木代表のような東大・ハーバード卒というような経歴は必要ありません。

国民民主党はなぜ“高齢者ウケ”を狙わないのか

――国民民主党の支持率は、10代から40代の若い世代で非常に高い一方、60代以上の高齢者層では自民党や立憲民主党に及ばないというデータがあります。現役世代向けの政策が中心であることが原因かもしれませんが、この点はどう克服していきますか?

 確かに、世代間で支持政党が綺麗に分かれているというデータがあります。自民党が今回の選挙で打ち出した現金給付策などは、ある意味で高齢者層を意識した「シルバーデモクラシー」と言えるでしょう。現金をもらえれば誰だって嬉しいですが、それは一過性のものに過ぎず、日本の経済成長には繋がりません。

高齢者の支持が拡大しつつある意外な理由

 私たちは、たとえ耳触りが悪くても、正直な政策を訴え続けたいと思っています。今、おじいちゃん、おばあちゃんが受け取っている年金は、今の現役世代が払っている保険料によって支えられています。その現役世代が疲弊してしまえば、年金制度そのものが立ち行かなくなる。だからこそ、まずは大黒柱である現役世代を元気にし、経済全体のパイを大きくすることが、結果的に高齢者の皆さんの生活を守ることに繋がるのです。

 この考え方は、少しずつですが、高齢者の皆さんにも浸透してきていると感じます。最近、非常に嬉しいのは「孫に説得された」というおじいちゃん、おばあちゃんが増えていることです。高校生のお孫さんが「おばあちゃん、この榛葉さんの動画見てよ」「玉木さんの演説、すごいよ」と教えてくれて、国民民主党を応援するようになった、と。かつては年長者が若者に選挙に行くよう諭していましたが、今やその逆が起きている。これは、私たちにとって大きな希望です。

国の税収が増えまくり国民の手取りは減り続ける異常さ

――国民民主党は積極財政を掲げていますが、一方で財源確保のための歳出削減も重要です。このバランスについてはどうお考えですか?「無駄遣いをやめろ」という国民の声も非常に大きいですが。

 もちろん、歳出削減や財政規律は重要です。しかし、今の日本が置かれている状況を考えなければなりません。30年ぶりのデフレ脱却のチャンスが目の前にあるのに、物価高と社会保険料負担の増大で、国民の手取りはどんどん減っています。GDPの6割を占める個人消費が冷え込んだままでは、経済は成長しません。

 そして、皆さんに注目していただきたいのは「歳入」です。この1年で国の税収は12兆円も増えています。過去6年間、毎年政府の税収見込みを平均6兆円も上回る税金が集まっている。これは、もはや「取りすぎ」の状態です。

「無駄を削る」発想ばかりでは日本の未来はない

 私たちの考え方は、まず、この取りすぎた税金を減税という形で国民にお返しし、経済を元気にする。そして、規制緩和や税制優遇によって民間の投資を促す。「ハイパー償却税制」を導入し、企業が投資した金額の1.6倍までの減価償却を認めることで、現在の年間100兆円程度の民間投資を300兆円規模まで引き上げたい。

 そうして経済のパイを大きくし、現在の600兆円程度の名目GDPを1,000兆円まで成長させることができれば、国の税収は現在の約2倍、120兆円規模になります。そうなれば、減税をしながらでも、財政再建や社会保障の充実は十分に可能です。経済を縮小させる緊縮財政ではなく、成長させることで未来を切り拓く。それが私たちの経済政策の基本です。

失われた30年を引き起こした“本当の戦犯”とは

――最後に、日本の未来についてお伺いします。経済成長のためには、何がもっとも重要だとお考えですか?

 現代の有権者が求めるものとして「愛国」「減税」「無駄遣いの削減」という3つのキーワードが挙げられることがありますが、私はこれに4つ目を加えたい。それが「イノベーション」です。

 かつて日本は、世界中が欲しがる製品で溢れていました。自動車、半導体、ウォークマン……。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われ、世界が日本のものづくりに憧れた時代がありました。しかし今、世界が「メイド・イン・ジャパン」に求めるものは、残念ながら減っています。

 この失われた輝きを取り戻すために、教育、そして科学技術予算にもっと大胆に投資しなければなりません。中国はこの20年で科学技術予算を20倍以上に増やしましたが、日本は逆に減らしている。少子化だから教育予算を削る、などというのは本末転倒です。子ども一人ひとりにかけるお金を増やし、世界で戦える人材を育てなければ、この国に未来はありません。

「反原発」のイデオロギーでは日本の成長は描けない

 そして、そのイノベーションの土台となるのが、安定したエネルギー供給です。これからAI、データセンター、半導体といった新しい産業が経済を牽引していきますが、これらは莫大な電力を必要とします。エネルギー自給率が10数%しかない日本にとって、エネルギー安全保障は国家の死活問題です。

 私たちは、安全性確保を大前提とした上で、原子力発電を重要なベースロード電源として活用していくべきだと考えています。再生可能エネルギーも重要ですが、天候に左右されるため、安定供給には限界がある。イデオロギーで「反原発」を叫ぶのは簡単ですが、それでは日本の成長戦略は描けません。

 私の地元の浜岡原発は、事故を起こしたわけでもないのに、当時の総理大臣の政治判断一つで止められ、今も動いていません。国策として推進してきた原子力を、国が責任を持ってどう活用していくのか。その覚悟が今、政治に問われています。

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