東浩紀氏「国民が核兵器を保有すべきか議論できない状況こそがおかしい」「民主党系の勢力は下野したあともずっとリベラル有権者の期待を裏切り続けてきた」

高市早苗政権が歴史的な大勝を収めた2026年2月の総選挙。その結果がもたらしたのは、単なる政権の延命ではない。「戦後日本」という枠組みそのものの崩壊である。
野党第一党であった立憲民主党はなぜ自滅したのか。絶対的な権力を手にした自民党に潜む「腐敗」の罠とは何か。さらには、かつては口にすることすら許されなかった「核兵器保有」の議論までが飛び交う現在、私たちはこの国をどう捉え直すべきなのか。 哲学者で批評家の東浩紀氏が、野田佳彦氏の責任、左派インテリたちの大きな勘違いについて言及する——。短期連載全3回の第2回。
目次
3.11の呪縛と、立憲民主党「12年間の裏切り」の果て
——今回の選挙で立憲民主党は議席を激減させ、文字通り「壊滅」しました。日本の政治史を振り返ると、2009年の民主党による政権交代は大きな希望でしたが、その後の3.11(東日本大震災)における“悲惨な”対応が「自民党以外の選択肢」を国民から奪ってしまったように感じます。
東浩紀氏(以下、東):民主党政権が不幸だったのは間違いありません。ただ、本当に問題だったのは彼らが下野した2013年以降の「12年間」です。 下野のあとも、旧民主党の勢力は中道リベラル層の多くの市民の期待を集め続けていました。僕自身も数年前までは票を入れ続けてきた。しかし彼ら、とくに分裂後の立憲民主党は、変な内ゲバを起こしたり一部有権者に寄り添ったマイナーな政策を打ち出すばかりで、その期待を裏切り続けてきた。下野した後の振る舞いが決定的にまずかった。
——節目節目でトップに立ってきた野田佳彦氏の責任も問われます。
東:野田さんを皆がありがたがっていたのが不思議です。野田さんって、かつて党の議席を4分の1に減らした張本人ですよ? 今回の選挙でも7分の1にまで減らしてしまった。
——報道によれば、選挙前の野党合流を急いだ結果の自滅とも言われています。
東:立憲は今回、単独でも70〜80議席は取れていたという分析があります。70〜80議席あれば野党第一党として十分に存在感を示せたはずです。
僕は今回、立憲の候補者には同情しています。突然公明との合流が言い渡され、「明日までに決めねば」と右往左往する事態になった。無所属でやる決断もできず、かといって合流先に行けば「原発再稼働容認だけどよろしく」と踏み絵を踏まされる。どちらを選んでも支持者が離れていく。本当にめちゃくちゃな話です。復活は無理でしょう。