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イラン攻撃がトランプ大統領の完全な勝利と言える決定的な理由…中国・習近平政権もこれで台湾進攻ができなくなった。なぜなのか

 米国がイランへの軍事攻撃をしたことで、国際秩序は新たな局面を迎えている。第一次トランプ政権の誕生を見事言い当てたこともあり、米共和党との深いパイプを有している国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は「イラン攻撃は、トランプ大統領の完全勝利だ」と断言する。なぜなのかーー。

 みんかぶプレミアム連載「渡瀬裕哉の常識革命」

目次

トランプのイラン攻撃は米国の国益に直結する「戦略的勝利」だった

 トランプ政権が断行した対イラン攻撃は、核開発阻止、ミサイル能力の無力化、そして域外武装勢力への支援遮断という三つの核心目的を掲げて実施された。これらはいずれも米国の国家安全保障に直結する重大課題であり、政権は「差し迫った脅威の除去」を明確に打ち出した。

 重要なのは、この軍事行動が単なる報復措置ではなく、国家安全保障戦略(NSS2025)が示す原則と完全に整合した、戦略的に練り上げられた行動であったという点である。むしろ、NSSの理念を最も忠実に体現したのが今回の対イラン作戦であり、その成果は米国の国益に直結する「戦略的勝利」と評価できる。

トランプ大統領がイラン攻撃に批判的な欧州に憤慨するのも当然な理由

 第一に、NSS2025が最優先事項として掲げる 米国本土防衛と核拡散阻止の観点から、イラン攻撃は完全に正当化される。NSSは「ならず者国家による大量破壊兵器・ミサイル能力の保有」を最大級の脅威と位置づけている。

 イランは核開発を継続し、弾道ミサイル能力を強化してきた。これを放置すれば、いずれ米国や同盟国への脅威が飛躍的に高まることは明白である。トランプ政権がイランの核兵器開発を阻止し、ミサイル能力を徹底的に削ぐことを目的に掲げたのは、NSSの脅威認識と完全に一致している。むしろ、NSSの理念を実行に移した結果が今回の攻撃であり、戦略文書と政策行動がここまで一致した例は稀である。

 欧州諸国はトランプ政権のイラン攻撃を批判しているが、それは極めて不誠実な行為だ。イランの核兵器を搭載した弾道ミサイルの脅威に直面するのは欧州諸国だ。彼らは腹の中ではトランプ大統領に感謝していることは間違いないが、表向きは「ためにする」批判をしている。実に滑稽な姿であり、トランプ大統領が憤慨するのも当然だ。

米国が世界の警察として無制限にコストを負担する時代は終わった

 第二に、NSSが強調する負担分担の原則においても、トランプ政権の姿勢は極めて一貫している。NSS2025は、米国が過剰に背負ってきた国際的負担を軽減し、同盟国やパートナーにより大きな役割を求める方針を明確にしている。トランプがホルムズ海峡の安全確保について「日本や中国、韓国が担うべきだ」と述べたのは、まさにこの負担転嫁の思想を体現したものだ。表現の強さはともかく、米国が世界の警察として無制限にコストを負担する時代は終わったというNSSの基本理念を、最も率直に示した発言である。イラン攻撃は、米国が主導しつつも、地域の安定維持に他国の責任を明確に求めるというNSSの方向性と完全に一致している。

 トランプ政権下で、米国はエネルギー資源開発を積極的に推進し、エネルギーの純輸出国となっている。これは米国が中東の問題を解決するにあたり、石油資源を人質に取られることを防止するためのものであった。ホルムズ海峡が一時的に閉鎖されたとしても、米国自体が産油・産ガス国であれば、その影響を限定的に抑えることができる。国内政策と外交安全保障政策がリンクする見事な手腕を示したと言えよう。

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この記事の著者
渡瀬 裕哉

1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 早稲田大学公共政策研究所招聘研究員、事業創造大学院大学国際公共政策研究所上席研究員。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。2016年トランプ大統領当選、2020年民主党による大統領・連邦上下両院勝利を正確に予測し、米国政治に関する分析力に定評がある。『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 』(すばる舎)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)

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