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カマラ・ハリスが世界恐慌を引き起こす「2つの重大『増税』問題」…共産主義的、極左政策が日本にもたらす「最悪の自体」とは

 2024年11月5日に行われるアメリカ大統領選挙で、ドナルド・トランプと戦う予定のカマラ・ハリスは、数々の増税政策を実施することを公約に掲げている。

 国際政治アナリストの渡瀬裕哉氏は「増税を公約に掲げていても、実現することはないだろう」とみる。いったい、どういうことなのかーー。みんかぶプレミアム特集「世界・日本経済『大激変』」第2回。

目次

カマラ・ハリスは大増税を狙っている

 カマラ・ハリスの経済政策、特に税制に関する公約内容がほぼ明らかになりつつある。その内容は法人税増税、大企業最低税率引き上げ、富裕層増税を実現し、それをトランプ減税一部延長、チップ非課税化、子どもの税控除拡大などに用いるというものだ。

 一見するとハリスが主張する増税案は大企業や富裕層に対する課税強化のように見えており、一般労働者の世帯にはほとんど縁が無いように見える。法人税率を21%から28%引き上げ、個人所得税の最高限界税率をほぼすべての所得分類に関して44.6%まで引き上げ、純資産1億ドル保有者の株式含み益に新たに課税するなどのアイディアが提出されており、ハリスと民主党は庶民生活には影響しないかのように話している。

トランプ「ハリスは共産主義だ」

 一方、トランプはハリスを共産主義者として呼んでおり、税を巡る対立は激しさを増している状況だ。共和党は増税に反対する政党であり、トランプは共和党員なら誰もが感じることを堂々と口にしている。ただし、民主党側からはトランプの批判に対して「法人や富裕層に対する課税だ! 共産主義には当たらない」とする反論の声が出ている。

 これはどちらが真実なのであろうか。ハリスの税制改正案は、アメリカの一般庶民にどのような影響を与えるだろうか。法人や富裕層に対する課税強化は何も経済に影響を与えないのだろうか。

ハリスの増税計画が米国経済に与える負の影響は甚大

 実はハリスの増税計画が米国経済に与える負の影響は甚大だ。法人税引き上げは、株価下落を引き起こすとともに、労働者所得に転嫁されることになる。これは経済学にとっては初歩的な理解だ。そのため、法人税増税はそのまま庶民の懐を直撃する。

 Tax Foundationのスティーブン・エンティンによると、労働者は法人所得税の約70%を負担しているという。同氏は  2017年の分析論稿で次のように書いている。

「過去数十年にわたり、経済学者は実証研究を用いて、法人税が労働と資本にどの程度負担をかけるかを推定してきた。その一部は、法人税と賃金および雇用の逆相関に注目したものだ。これらの研究は、労働が法人税の負担の50%から100%を負担し、70%以上になる可能性が最も高いことを示しているようだ」

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この記事の著者
渡瀬 裕哉

1981年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。 早稲田大学公共政策研究所招聘研究員、事業創造大学院大学国際公共政策研究所上席研究員。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。2016年トランプ大統領当選、2020年民主党による大統領・連邦上下両院勝利を正確に予測し、米国政治に関する分析力に定評がある。『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『2020年大統領選挙後の世界と日本 』(すばる舎)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』(すばる舎)

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