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元三井物産・資産数億円投資家が20年以上前に「商社株」の成長性を見抜けた理由…株を売らない投資家がそれでも売るタイミング

紫宝

本稿で紹介している個別銘柄:三井物産(8031)、三菱商事(8058)、日産自動車(7201)、あおぞら銀行(8304)、商船三井(9104)、日本郵船(9101)、飯野海運(9119)、NSユナイテッド海運(9110)

 元三井物産社員で高配当株式投資家の紫宝氏は、20年以上前にまだ株価が低迷していたころの三井物産株や三菱商事株を買い、その資産を大きく伸ばした。なぜ市場で評価されていなかった株を買い、持ち続けることができたのか。紫宝氏が抱き続ける信念についてうかがった。

目次

「先がない」と言われた総合商社株で億トレに

 高配当株投資家であるならば、その企業の将来性や、長期にわたって高配当を出してくれることを信じてその銘柄を選んでいるはずです。つまり選ぶべき企業は、原則として業績(基礎収益力)が長期的に安定していて、増配もしているような長期優良企業です。売上は短期的には下がっていても大丈夫ですが、長期的に見たときには右肩上がりになっている企業が望ましいですね。

 ただ、私が超主力株である三井物産(8031)三菱商事(8058)を買い始めたのはもう20年以上前ですが、そのとき「商社はもう終わりだ」と言われていました。「メーカーは商社が間に入らなくても自分たちで海外に出て稼いでいけるようになるから、右から左に流すだけで手数料を貰う口銭商売にはもう先がない」などと言われていたのです。

 ですが結局、2000年に400円を割り込んでいた同社の株価は、現在3000円を超えています。もちろんこれまでの間に軸となるビジネススタイルをより大きな収益可能性を持つ「事業投資型」へとシフトさせていった結果ですが、このように、いわゆる「オワコン」と言われる銘柄を周囲の声に惑わされずに“深く分析した結果”その将来性や底力を信じて買い向かった人たちだけが、将来実際にその恩恵にあずかることができるのです。 

 いま、自動車メーカーや製薬会社など、株価がかなり下落している銘柄があります。あなたはその企業のうちのどれか一つでもいいので、しっかりと分析し、「長期でみれば割安だ」と信じて買うことができるでしょうか。それができたのが、20年前に三井物産株や三菱商事株を買った私なのです。

 結局投資とは、「どれだけ根を張った真の覚悟を持てるか」なのです。

酷評されている銘柄でも売らない

 私は原則、保有株を売ることはありません。いま散々に売られている銘柄、たとえば日産自動車(7201)あおぞら銀行(8304)などの銘柄も売っていません。自動車業界が認証不正事件にEV販売の見通しの悪さも相まって全体的な株価下落、膠着状態が続いている中、日産は業績の下方修正、1ドル145円から155円に為替想定の修正をするなど、ほかよりもさらに見通しが良くない状態です。あおぞら銀行も「米国不動産向け融資は底なし沼だし、対応が後手に回りすぎている」と、市場からかなり低い評価を受けています。

 短期的には、これらの企業の株価が下がるのは仕方がないと思います。ですが私はこれらの株を1株たりとも売らないどころか、逆にタイミングを見計らって買い増しています。たとえばあおぞら銀行は、コロナ禍影響でのオフィス市場の軟調さも重なり結果としては残念な状態になっていますが(本来は最も安定していると考えられていた)、難しいところに先駆けて挑戦していった姿勢は評価すべきだと思っており、そう簡単ではないですが超長期的な視点ではいつか復活すると信じています。

 また私の場合、主力・準主力株が相当強固なので、仮にこれらの企業が潰れたとしてもさほど痛くはありません。ですから最近新NISAで株式投資を始めた人に、日産自動車やあおぞら銀行のような「いまは評価されていないけれど長期的に見れば上がっていくかもしれない株に全資産を突っ込め」とはとても言えません。それはリスクが高すぎて私でもできません。

 仮にこれらの銘柄を買うにしても、まずは長期安定配当銘柄で構成された強いポートフォリオを組み立てたうえで、これらのチャレンジ銘柄をS株(単元未満株)で少しずつ、たとえば配当金の再投資の範囲内で混ぜていくことを推奨します。またさらにリスクを下げるため銘柄と時間軸を分散しながら購入していくほうがいいと思います。1銘柄に一気に突っ込むとS株でもそれなりの額になってきますから、さまざまな観点で分散することが重要です。

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この記事の著者
紫宝

米国大学卒業、三井物産出身のダイヤモンドメンタル投資家。2001年に株式投資を開始。現在は「安定配当大型株」を中心に個別株7割(約200銘柄)、インデックス3割の割合で投資。他にもFX、隕石トレード(兼コレクター)、書籍CDせどり、不動産(宅地建物取引士)など、取り扱う範囲は広い。

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