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スイスの元プライベートバンカー「米ドル債券こそが最強である」多くの世界の富裕層が求めている5つの理由

 20年間にわたり、日系・米系・スイス系・独立系の金融機関で富裕層の資産運用のサポートを行ってきた世古口俊介氏。そんな世古口氏が、「富裕層ともっとも相性がよく有効な投資対象」と勧めるのが米ドル債券だ。なぜ米ドル債券が良いのか。世古口氏が解説する。

※本書は世古口俊介著『富裕層のための米ドル債券投資戦略(総合法令出版)』から抜粋・編集したものです。

第1回:スイスの元プライベートバンカー「1ドル300円の可能性」…日本の財政破綻リスクを警告「考えたくない恐ろしい出来事ですが…」

第3回:スイスの元プライベートバンカー「投資信託買うくらいなら米ドル債券を買いなさい」2024年、16年ぶりの高利回りに世界が沸いた

第4回:スイスの元プライベートバンカーが注目する米ドル債券7選…「なぜ富裕層は今債券を買うのか」2つの理由

目次

米ドル債券は個人も国・会社も仕組みになる仕組み

 まずは米ドル債券の全体像を把握していきましょう。米ドル債券への投資を簡単に表現すると「国や会社に米ドルを貸すこと」です。本当にただこれだけのことなのです。もう少し詳しくお話しすると、米ドルが必要な国や会社が米ドル債券を発行して、富裕層に投資してもらうということです。

 国や会社は米ドルを得ることができ、国家や会社の運営に米ドルを使うことができます。また富裕層は預金しておくより多くの利息がもらえるので嬉しいです。

 例えば、日本で一番有名な会社のトヨタ自動車がアメリカの事業を拡大したいと考えているとします。アメリカで事業を行うためには米ドルが必要ですが、日本の企業であり、銀行口座には日本円しかありません。

 そこでトヨタは「金利4%で10年後に返済する」と条件をつけて債券を発行し、富裕層に投資してもらい米ドルを集めます。トヨタは自社の事業に米ドルを使い成長し、富裕層はトヨタにお金を貸して年間4%の利息が得られるという双方にメリットがあります。

 このようにお金を借りたい国や会社とお金を貸したい富裕層の双方がハッピーになる金融資産が米ドル債券なのです。

 ここで一つ、債券と株式の違いを説明します。債券と株式は全くの別物です。債券はお金を貸すので「倒産しない」ことにベットした投資、株式は会社の売上や利益が「成長する」ことにベットした投資です。

 債券はその会社が、どれだけ利益が増えて巨大企業になっても約束された期間に毎年数%という利息以上の利益はありませんので、あまり夢がない金融資産ともいえます。

 しかし言い換えると、お金を貸している会社が倒産するという滅多にない出来事さえ起こらなければ、確実に数%の利息が得られる「堅実」な金融資産なのです。

米ドル債券は利息が魅力

 では、なぜ富裕層が金融資産の大半を米ドル債券に投資するのか理由を説明します。理由は大きく5つあります。

① 高い利息収入

 米ドル債券に投資すると、お金を貸している先から定期的に利息収入を得ることができます。日本円のように金利が低い通貨ではなく、金利が高い米ドルでお金を貸すので、とりわけ高い利息収入を得ることができます。

 また、この利息収入はお金を貸している国や会社が倒産しない限り入ってくるので、極めて安定的な収入といえます。富裕層でも、ご自身の会社を売却や引退すると会社からの報酬がなくなることが珍しくありません。会社の売却代金や退職金で得た預金などの資産があっても収入がないと、その資産を取り崩さなければならないので、やはり不安になります。

 そこで富裕層は会社売却代金や退職金でこの米ドル債券に投資して、これまでの報酬に代わる安定した利息収入を得て、生活費や遊興費に使うわけです。例えば、引退前に得ていた会社からの報酬が1000万円だとすると、毎年5%の利息の米ドル債券に2億円分投資すれば、毎年1000万円の利息収入を得ることができるので、引退する前と変わらない生活が送れるというわけです。

② 外貨への分散

 資産と収入を簡単に外貨に分散することができます。日本人の多くは富裕層でも資産の大半が円資産であることが多いです。しかし、米ドル債券に投資をするということは、円を売却して米ドル(外貨)を購入しているので外貨への分散が自然にできます。また、利息収入も米ドル(外貨)で受け取るので、資産とともに収入も外貨に分散することができます。

 外貨は他にもたくさんありますが、世界でもっとも発行額や取引量が多い通貨は米ドルなので、保有する外貨の中心は米ドルがいいと考えている富裕層が多いのです。

米ドル債権はいつでも換金可能

③ 価格の安定性

 債券にも価格があり、株と同じように毎日変動しますが、株と比較すると債券の価格は非常に安定しています。理由は債券の価格には株と違い絶対的な法則が1つあるからです。

 それは債券の価格が最初100で発行されて、最後に100で返ってくるという法則です。価格が最後に100で返ってくることが決まっているので、大きく値上がったり、逆に値下がったりしづらいわけです。

 例えば株は2倍、3倍に上昇したり、1/2、1/3に下落したりすることも多いですが、債券は価格100で返ってくる法則があるので、そんなに大きく値動きすることがほとんどありません。

 富裕層は資産を2倍、3倍と増やすよりも、毎年少しずつ増えるくらいでいいので、ドキドキせず安心して資産運用したいと考えています。このように資産運用に精神の安定を求める富裕層にとって、この米ドル債券の価格の安定感は魅力的に感じるのです。

④ 換金性の高さ

 いつでも売却できてすぐに現金に戻すことができる換金性の高さも米ドル債券の魅力です。どれくらい「いつでも」かというと、通常は売却の発注をしてから当日には売却が完了し、数日後には米ドルで返ってきます。この米ドルを円に戻すには1、2日かかるので米ドル債券を売却してから、円預金に戻すまでは土日をまたいでも1週間くらいのイメージです。

 つまり、金融資産の大半を米ドル債券で運用していれば、金融資産の大半は高い換金性を維持できているという意味になります。1週間で換金できれば大抵の決済に間に合います。

いざというときに現金が必要な富裕層にとっては、換金性の高さは魅力的です。

⑤ 手間いらず

 投資するときに煩雑な手続きがほとんどなく、また投資後の面倒な管理も必要ありません。米ドル債券への投資に関しては証券会社に口座を作って、投資資金を入金、そして債券を選んで、購入するだけです。どれだけ金額が大きくてもスムーズにいけば、数週間から1カ月程度で投資を実行できます。

 投資後の管理に関しては、定期的に入ってくる利息の銀行への出金や利息を使うあてがない場合は何かに投資する手続きくらいでしょう。投資も管理もすべてインターネットやオンライン、郵送手続きで完了しますので、富裕層は家から一歩も出ずに米ドル債券への投資を行うことができます。

世古口俊介著『富裕層のための米ドル債券投資戦略(総合法令出版)』

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この記事の著者
世古口俊介

株式会社ウェルス・パートナー代表取締役2005 年4 月に日興コーディアル証券(現・SMBC 日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱東京UFJ メリルリンチPB 証券(現・三菱UFJ モルガンスタンレー証券)を経て2009 年8 月、クレディ・スイスのプライベート・バンキング本部の立ち上げに参画し同社の成長に貢献、2016 年5 月に退職。2016 年10 月に株式会社ウェルス・パートナーを設立し、代表に就任。資産数億円以上の富裕層を対象に資産運用コンサルティングを行う。株式や債券、不動産などすべての資産クラスを扱い資産全体を最適化。書籍出版や各種メディアへの寄稿、登録者登録者2万人超のYouTube チャンネル「世古口俊介の資産運用アカデミー」を通して日本の富裕層に資産運用の情報を発信。

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