トランプと石破には「構造的な共通点」があった…菊地成孔、日米の2大オタク二人に「無茶苦茶バイブスが同期する可能性がある」

サックス奏者、作曲家、文筆家、ラジオDJ、大学講師……と、ジャンルを超えて才能を発揮する菊地成孔氏による連載最新回。いつもの様子では、株に関して独自の視点で切り取ってきたが、今回のテーマは「政治」について。どうやら菊地氏いわくトランプ大統領と石破首相には共通点があるというのだ。一見すると難解な世界情勢が、ユーモラスな筆致から読み解いていけるかもしれないーー。
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トランプの影響力を正直舐めてた
みんかぶ会員の皆さんこんにちは!皆さんが選んだ株は上がったり下がったりしていますか!! え?日米首脳会議と共同声明みてたら、もうどの株もこの株も無くなっちゃった?? でっすよねー!!!
僕こないだテレビ見てたら『マネー・ショート / 華麗なる大逆転』(サブプライムローン住宅危機にヤラれずに儲けた、3人の実在天才投資家のノンフィクション)と『ダム・マネー / ウォール街を狙え!』(「ゲームストップ株騒動」を描いたノンフィクション)っていう、皆さんが主人公みたいな映画がやってて、あまりに面白いんで、カップ焼きそば口から垂らしたまま思いっきりのめり込んじゃったんですけど、字幕も読めてるし、画面も見えて、すんげー面白いのに、ストーリー自体は1文字も理解できませんでした(笑)。こんなことあるんだね世の中に! でも、英語なんか1文字もわかんないのに洋楽聴いて感動したりしてますから、普通のことか……え?てか見てない? そりゃダメよー!どっちも配信されてるからこの連載後回しにして先に映画見てください!! 皆さん見たら興奮しておかしくなっちゃうかもよっ!!!
いやー、しかし「トランプが株価を動かすでしょうね」とか前に書いたけど、正直舐めてました。僕のアーティストとしての予感で、トランプって、関税と報復関税っていう、実業家による戦争をあらゆるところに仕掛けて、企業投資も個人投資家もみんな発狂させて、世界を無茶苦茶にすると思うんですよね。その結果廃人みたいになった人たちに向けて、バイデンの悪口を延々と言いまくると思いますね。言いたいのそこだけだから結局!
NHKの同時通訳が最近面白い
僕、アレ(日米首脳会談から共同声明まで)最初から最後まで見てたんですよ。トランプの吹き替えって、民放なんかで流れる時、まだ日本の民放ってリベラルのポジションにいるから(ウケる~)、男性の、なんか悪代官みたいな演技でやるじゃないですか。でもNHKの中継は、ここ最近女性の同時通訳のバディ仕事が多いでしょ。だから「トランプの発言を、やわらかい日本人女性の声で聴く」というのが面白くてねー。
今、ありとあらゆるどんな事がネットの俎上に上がっても、まず意見が賛成と反対の二極になって、というのスタート地点になる世の中ですから(考えたらすごいよね。何から何まで全ては「賛否両論」始まりって(笑))、石破先生のお振舞いも、評価は真っ二つでしょうね。
石破首相の「無作法」について思うこと
僕はある意味、経済のことがわからない以上に、政治のことがわかんないわけです。じゃあ僕がニュース全般をどうやって見ているかっていうと、僕、フロイド主義者、つまり古典的な精神分析と本業の音楽学の二刀流だけで全部見てるんですよね。
なので、石破先生が「思ったよりよくやった」「とんでもねえ、最低最悪」の二極に引き裂かれてるのは、まあ、バカでもわかりますわな。石破先生はもう、無作法極まりないですから、右足がずっと「スローモーション貧乏ゆすり」してるし、座ってもスーツのボタン外さねえから、ネクタイば常にビロ~ンってなっちゃってますし、目つき悪いし、笑顔ないし、英語1文字も話す気ないですよね(笑)。安倍先生とか、麻生先生とかが、英語もちょいとやるし、あの人たちは世代的にも育ち的にも「アメリカ人っぽく振る舞う演技」が、ああまあ、みっとも良いもんじゃなかったけれども、やるだけやれたわけですよ。若い頃見たアメリカ映画の俳優の真似してるわけです。その点、石破先生はそんなこと一切やらないから。