ファイナリストは難関中学合格、低学年で中3レベル・・・算数オリンピック「天才たちの育て方」

世界でもっとも優秀な高校生たちが鎬を削る「国際数学オリンピック」。毎年、各国から集まった天才たちがメダルを目指して競い合う。
この数学オリンピックに対して「日本独自の小学生版」として作られたのが「算数オリンピック」だ。算数オリンピック大会顧問を務め、「みんなの算数オンライン」主宰として中学受験の個別指導も行っている竹内洋人氏は次のように語る。
「算数オリンピックは、国際数学オリンピックの登竜門的な位置づけの大会です。毎年約5000人が参加し、ファイナリストやメダリストの多くは、中学受験でトップ校に楽々と合格していきます。チャレンジして歯が立たなかったという子でも、御三家に受かる子が普通にいます。算数オリンピックで活躍した子の中には、中学・高校で国際数学オリンピックや国際物理オリンピックなどで活躍する子も多いですね」
算数オリンピックを通じて身に付く考え方や思考法は、中学受験にも役立つと竹内氏はいう。天才たちが競う算数オリンピックとその学習法について迫る。全3回の第2回。
目次
東大・京大入試が変えた「受験で使わない勉強」
算数オリンピックのファイナリストには、後に国際数学オリンピックや国際物理オリンピックなどで活躍する生徒が多く見られます。国際数学オリンピックの場合、国内選考を通じて6人が日本代表として選抜されるという狭き門です。
国際大会の出場者からは、これまで10人以上のフィールズ賞受賞者を輩出しており、次世代の数学界を牽引する若者が競い合います。
アメリカや韓国、中国、ロシアなどが上位常連国となっています。
日本の場合、以前は受験勉強一辺倒の高校生活を送るのが一般的でした。しかし、東大や京大を含む難関大学が推薦入試で、各種科学コンテストの成果を評価する方向に舵を切ったことで、高校生が科学オリンピックやコンテストに参加しやすい環境になったと思います。
これまでの日本社会には、受験で使わない勉強は無駄という風潮が少なからずありました。しかし、算数オリンピック→数学オリンピック→難関大学推薦入試と、鍛えた思考力が学びのキャリアに生きる時代になりつつあります。
そして、AIにも勝てる思考力として、子供にとって一生ものの財産になることは間違いありません。