「スポーツの日」私の大好きな羽生結弦のCMを語ろう…一度きり、それでも、価値ある一度きりの「贈り物」

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これもすべて「人」
大好きなCMがあります。
2020年7月24日に放送されたロッテ「GUM FOR THE GAME篇」です。有名過ぎますかね、でもいいものはいいんです。
それにしても、どれだけの人があのコロナ禍を記憶しているでしょう。もう忘れているでしょうか、あの絶望を、途方もない喪失感を。2020年といえば誰もが死ぬかもしれない、誰もが明日の見えない日々を送っていました。
私は当時、取材でコロナ禍のあらゆる「現場」にありました。
緊急事態宣言下にも営業し続けるパチンコホール、外出自粛等の要請下にも普段通りの行動を続ける歌舞伎町の住人たちーーコロナ禍で命の危険があるというのに(本当にそう思われていた時期も、確かにありました)現場で働き続けるエッセンシャルワーカーの人々。
そこにはむき出しの人間がありました。そのむき出しの人間として対峙しなければリアリズムは現れない。リアリズムとは現すのではなく、現れるのです。
「疫禍とは人禍」はペストから100年を経ても共通でした。歌舞伎町では非難する人々をよそに、生きるため、食うため緊急事態宣言下でも懸命に暮らす「夜の街の人」のしたたかな姿がありました。
エッセンシャルワーカーもパチンコ店のスタッフも、歌舞伎町の住人もそうしたコロナ禍における「声なき声」の人々でした。私はそこに人の強さを見ますが、自粛警察を始めとする人間の愚かさも見ました。
これもすべて「人」でした。