高齢フードデリバリー配達員「一生働くとは」…狭心症を抱え、炎天下を原付で爆走!「全ては自己責任」

仕事が激減した「シルバー人材」から配達員になったお爺ちゃん
「配達しても、ほとんど稼ぎにはなんないね」
コロナ禍、都下の駅前にあるマクドナルド。こんな多摩の田舎でもフードデリバリーの配達員(実際は社名を入れたいところだが、本稿ではフードデリバリーとする)は待っていた。配達員は商品を受け取り、歩道に停めた50ccのスクーターに戻る。リアキャリアにはフードデリバリーの大きな黒バッグ。ある取材の途中に見かけた、今や何も珍しくもない都市の一風景だ。しかし私は配達員を見て驚いた。マスク姿のお爺ちゃんだ。
「でも年齢関係ないし、面倒くさい人間関係もない。稼ぎにはならないけど気楽だよ」
配達後、もう一度マクドナルドに戻ってきたところで話を聞いた。お爺ちゃんはマクドナルドとその近くの牛丼屋、そしてネパールカレー屋と韓国料理屋を中心に配達しているという。炎天下の路上、しかしここにいれば注文すぐ配達できるというわけだ。
「シルバーに登録してたんだけど、全然仕事ないからフードデリバリーにしたの。コロナでフードデリバリー稼げるって聞いたから」
市のシルバー人材センターで駅前の自転車監視や草刈りをやっていたが、駐輪場は業者が半自動化を進めているため人員が減り、市道や施設の草刈りはコロナで集まれないからと人数を減らされたそうだ。もっともコロナ以前からシルバーの仕事は減っていて、一昔前と違い、入会したから仕事があるとは限らないという。私もこのシルバー人材センターの問題は、かつて「闇の部分」も含めて取材したことがあるのでよくわかる。
「聞いてたほど稼げないけど、この歳じゃどこも雇ってくれないからね。でもこんなお爺ちゃんでも、フードデリバリーは働けるからね」
彼は70代(実年齢を教えてくれたが年代表記とする)だという。男性の平均寿命は81.47歳(2021年・厚生労働省)なので、数字上の話だと働ける時間の残りは少ない。ちなみにフードデリバリーの配達員は18歳以上というだけで上限はない。100歳でも働ける。
「うん、一生働くとは思わなかったね。まあ、いろいろだよ」