IR(独自企業分析)

「DX・BtoB・業務支援テーマ」データ・アプリケーション

今回は、成長期待市場である「DX(デジタルトランスフォーメーション)」、「BtoB」、「業務支援」の株テーマから、株式会社データ・アプリケーション(3848)を取り上げます。

Key Points

  • 顧客のDXニーズに対応できる「高い技術力」とメンテナンスまでも含めた「ワンプラットフォームでのサービス」が強み
  • 2022年3月期は「増収増益」。EDIソフトウェア市場におけるマーケットリーダーのポジションを確立し、今後はデータ連携市場における覇権を目指す
  • 株主還元においては、配当金額43円(※)を実施。また、2023年3月期より「データ・アプリケーション・プレミアム優待倶楽部」と称する株主優待制度を導入

目次

Identity

★企業能力 KFS(Key Factor for Success = 重要成功要因)

  • 顧客のニーズに対応できる「高い技術力」とメンテナンスまでも含めた「ワンプラットフォームでのサービス」が強み!
  • 同社の目指すものは、EDIソフトウェア市場のマーケットリーダーとしてのポジションを足がかりに、「データ連携」の領域での市場NO1!

「2025年の崖」という言葉をご存知ですか?ビジネスにおいて複雑化・ブラックボックス化した既存システムを改善しなかった場合に、2025年までに顕在化する問題を表した言葉です。この「2025年の崖」を克服するために不可欠だと指摘されているのがDX(デジタルトランスフォーメーション)です。「2025年の崖」を克服できなかった場合、日本全体の経済損失は、年間最大12兆円にのぼる可能性があると試算されています。そのため、企業のDX化は、物流・流通・金融・医療・公共など様々な分野において更に加速するものと考えられます。

同社では、こうした潜在需要に対して「顧客のニーズに対応できる高い技術力」、「メンテナンスまでも含めたワンプラットフォームでのサービス」を強みとした事業展開を推進しています。特に、EDI*と呼ばれる企業間の電子データ交換による業務・製造プロセスのデジタル化、“顧客起点の価値創出”のための事業やビジネスモデルの変革を得意領域としており、EDIソフトウェア市場におけるマーケットリーダーです。さらに現在、EDIを含めたデータを取り巻く様々な領域・分野である「データ連携市場」において、企業のDXに貢献し、データ連携市場No.1を目指しています。

*EDI(Electronic Data Interchange = 電子データ交換)とは? 企業間でお互いの取引情報を固定電話回線やIP網などで接続し、自動化した仕組みを指す。

Performance:全体業績

経営環境

2022年3月期における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大による段階的なまん延防止等重点措置の適用など、感染再拡大への警戒も燻る中、ウクライナ情勢を受けた資源価格の上昇、インフレ圧力、金融政策・為替相場の動向など、注視が必要な状況が継続しており、経済全体での先行きは依然として厳しい状況で推移しました。

中期経営計画の初年度である2022年3月期は、サブスクリプション売上高が、2021年3月期実績の約1.8倍まで伸張しています。また、Web-API機能強化や戦略製品であるACMS ApexにRACCOONのフル機能版を標準搭載したアドバンストエディションを新たにリリースするなど、製品の機能強化・改善・バージョンアップ等を積極的に行うとともに、新技術・新サービスの模索等を実施しました。加えて、IT・人材に対する投資を行うとともに、㈱テクノスジャパンと業務提携を行い、企業間取引の注文決済業務を効率化する㈱テクノスジャパンのプラットフォーム「CBP」と、同社のエンタープライズ・データ連携基盤「ACMS Apex」との連携によるDXソリューションを展開し、クラウド上の企業間協調プラットフォームの活用で企業の業務改革や全体最適化を加速させ、お客様のDX推進を図り、働き方改革をはじめとした社会課題を解決し、企業間の共創を進めることで、更なる事業の拡大を目指しています。今後もこの流れを継続し、需要拡大が見込まれる新しいWeb-EDI製品の開発・販売、新規事業・新サービスの創出、他社との提携やM&Aなど、積極的に推進する方針です。

2022年3月期決算の概要

P/L

P/Lは「増収増益」。売上高13.7%増、営業利益は113.6%増、経常利益109.4%増、親会社株主に帰属する当期純利益94.0%増。

2022年3月期のP/Lは「増収増益」です。売上高は13.7%増、営業利益は113.6%増、経常利益は109.4%増、親会社株主に帰属する当期純利益は94.0%増と好調でした。特に利益面においては対前年同期比で2倍を超える業績です。この傾向は2023年3月期2Qにおいても同様ですが、2023年3月期の通期見通しでは「増収減益」を見込んでいます。(3Q時点では、増収増益)

B/S

B/Sでは、自己資本比率は79.4%から78.6%へと推移。また、2023年3月期2Q決算においては26.5%へ。ROEは4.6%から8.6%へと4.0ポイント UP!

B/Sでは、総資産は2億5千7百万円増加し48億8千4百万円、純資産は38億3千8百万円となりました。自己資本比率は78.6%へと推移しています。なお、ROEは4.6%から8.6%へと4.0ポイント UPしています。

負債については、9千2百万円増加して10億4千5百万円となりました。これは主に、未払金の増加1千1百万円、前受金の減少2千1百万円、未払法人税等の増加9千5百万円、その他流動負債の増加1千万円によるものです。純資産については、1億6千5百万円増加して38億3千8百万円となりました。これは、利益剰余金の増加1億9千1百万円、その他有価証券評価差額金の減少7千5百万円、資本剰余金の増加2千4百万円、自己株式の減少2千3百万円によるものです。自己資本比率は79.4%から78.6%と推移しています。

C/F

フリーキャッシュフロー、現金及び現金同等物期末残高ともに減少!

2022年3月期におけるフリーキャッシュフローは、前期の6億4千4百万円から3億8千8百万円へと推移しています。また、現金及び現金同等物は3億6千2百万円減少し、50億2千8百万円でした。各キャシュフローの状況では、営業活動の結果使用した資金は8億9千1百万が、税金等調整前当期純利益や仕入債務の増加等の資金増加要因を上回ったためです。投資活動の結果使用した資金は1億5千5百万円でした。これは主に、有形固定資産の取得による支出によるものです。また、財務活動の結果得られた資金は6億6百万円となりました。これは主に、短期借入金の増加等の資金増加要因が、配当金の支払や自己株式の取得による支出等の資金減少要因を上回ったためです。

株主還元

配当金額は前期同様に43円を実施。配当性向は78.2%から40.5%へとDOWNだが、2023年3月期は54.4%を想定。

株主還元については、一株当たり配当金額43円(※)を実施しています。また、配当性向は前期の78.2%から40.5%ですが、2023年3月期の見込みでは54.4%を想定しています。また、2023年3月期より「データ・アプリケーション・プレミアム優待倶楽部」と称する株主優待制度を導入しています。

(※)2023年1月31日を基準日として1株→2株に株式分割を実施。現状では21.5円ですが実質は同じです。

2023年3月期の見通し

国内の景気動向は、新型コロナウイルス感染症の影響・ウクライナ情勢に起因した資源価格の上昇、インフレ圧力、金融政策・為替相場の動向等、注視すべき状況が続いており、引き続き先行きが見通せない状況で、企業のIT投資がこのような景気動向に連動する状況が続くものと予想されます。

こういった環境下、2023年3月期の連結業績見通しは、売上高は23億5千万円(前年同期比2.1%増)営業利益3億3千万円(前年同期比25.3%減)、経常利益3億4千5百万円(前年同期比24.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益2億4千1百万円(前年同期比25.1%減)を見込んでいます。

2023年3月期の見通し(※2023年3月期3Q時点)

「増収減益」

・売上高  :2,350百万円(前期比2.1%増)

・営業利益 :330百万円(前期比25.3%減)

・経常利益 :345百万円(前期比24.7%減)

・親会社株主に帰属する当期純利益:241百万円(前期比25.1%減)

なお、2023年2月6日公表の2023年3月期3Q決算の状況は売上高1,812百万円(前年同四半期比7.0%増)、営業利益379百万円(前年同四半期比20.3%増)、経常利益397百万円(前年同四半期比19.8%増)、親会社株主に帰属 する四半期純利益273百万円(前年同四半期比21.3%増)と「増収増益」となっています。

Performance:セグメント別業績

・ソフトウェア関連事業(※単一セグメント)

2022年3月期は、「リカーリング」が71.2%、「パッケージ(旧ソフトウェア)」が27.9%、「サービスその他」が0.9%の売上高構成でした。特にソフトウェアのメンテナンスとサブスクリプションの売上を含む「リカーリング」の売上は、継続的なサービス提供から得られる収益で前年同期比24.1%増と2ケタ台の成長性を遂げています。なお2023年2Qにおいても、順調に対前年同期比で売上高を伸ばしています。

企業間の電子商取引の迅速化、高速化に寄与するEDIソフトウェア市場において、後発グループながらその「技術力」で圧倒的なトップシェアを誇る同社では、EDIメーカーからデータ連携市場でのソフトウェアを売り切りで販売するモデルから、サブスクリプション・モデルへの転換、言い換えれば「販売」から「利用」というストックビジネスの比重をより高める事業戦略により、事業セグメントの「リカーリング」にメンテナンス売上とサブスクリプション売上を集約しています。

ESG Elements:環境・社会・ガバナンス

ESGの観点から見る同社は、「変革への挑戦」を中期ビジョンとして、データをつなぐだけでなく、企業が必要な形に加工、活用し、企業のみならず、人や社会に還元していくことを強く意識しています。また、実現させたい将来像として、あらゆるデータの基盤には、同社の製品があり、すべての人・社会がデータでつながる「データと一緒にワクワクする未来へ!」をありたい姿に定義しています。

Social(社会)

社会関連においては、従業員に占める技術者比率が約5割を超えており、優秀な技術陣の強化による同社の高い技術力の担保が窺えます。

Governance(ガバナンス)

ガバナンスにおいては、社外取締役比率は半数の50%と高い比率ですが、女性役員は居ません。

Plan 中期経営計画

同社の中期経営計画では、2024年3月期に、売上高25億円(うち「サブスクリプション売上高:3倍(2021年3月期実績比)」、営業利益3.5億円を目標に掲げており、その実現に向けた戦略を推進中です。また株主還元においては、株主資本配当率(DOE)3.5%を目安とした長期的で安定的な配当の維持を目指しています。

「変革への挑戦」として、「DX(デジタルトランスフォーメーション)をはじめとした新たな市場の開拓」「既存事業の周辺市場への展開」「リカーリングビジネスの推進」「優秀な人材の採用・育成」の4つの基本方針を推進しています。これにより、データ連携の領域においてリーダーとなり、企業のDXに大きな貢献を果たすことを目標としています。計画初年度の2022年3月期も、戦略製品である「ACMS Apex」に、同じく戦略製品である「RACCOON」を標準搭載したデータ連携基盤向けアドバンストエディションの拡販、インボイス制度・電子帳簿保存法などに対応したWeb-EDIシステム基盤の開発および販売準備、自治体情報システムの標準化を見据えた市場拡大の推進を行うなど、計画進捗は順調の様子です。

Out Look まとめ

「クラウド」や「オンプレミス*」、「SNS」「モバイル」「IoTデバイス」などデータ発生場所が多様化・分散化し、実際に使われないデータが増え続ける中、社会に散在したデータ連携をワンプラットフォームで提供することで、業務効率化、コスト削減、作業ミス削減、さらには統合データを活用した戦略的経営など、企業および社会のDXを支援することで、「データ連携市場における覇権」を目指す同社の攻めの姿勢は「◎」です。

「オンプレミス」とは?
システムの稼働やインフラの構築に必要となるサーバーやネットワーク機器、あるいはソフトウェアなどを自社で保有し運用するシステムの利用形態のこと。その反対で、これらを自社で保有するのではなく、サービスとして提供されているものを利用してシステムを運用するのがクラウド・コンピューティング(クラウド)である。

【企業分析】データ・アプリケーション(3848)『この会社の〇は何?』

★注目の「DX(デジタルトランスフォーメーション)」、「BtoB」、「業務支援」テーマ株

アイル<3854>
独立系システム開発会社。中小向け中心。ネットショップと在庫の総合管理システム展開。

インフォマート<2492>
企業間取引をデジタル化するプラットフォームの運営。契約書サービスなども展開。

アイ・ピー・エス<4335>
神戸地盤の情報システム開発会社。企業向け中心でコンサルも。ERP導入を支援。

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