【クラウドコンピューティング、ソフト・システム開発、データセンター、ERP】株式会社システムサポート(4396)
今回は、情報・通信の分野から【クラウドコンピューティング】、【ソフト・システム開発】、【データセンター】、【ERP】の株テーマから、株式会社システムサポート(4396)です。
Key Points
- 独立系としてのオープンな立場と長年培ってきた確かな技術力をベースに、「時代の要請に応じた新たな価値・サービスを創造」していることが同社の特徴。
- 2018年8月のIPO以降、毎期「増収増益」を継続中。直近2023年6月期決算は二桁の「増収増益」を達成。
- 4年連続で増配を継続中。2023年6月期の1株当たり配当金額は前期から7円増配して32円を実施、さらに2024年6月期は36円を見込む。
目次
Identity
同社は、1980年に石川県金沢市にて設立。社員の84%を技術者が占めるITに特化した専門家集団です。顧客企業のITシステムのコンサルティングや開発・構築、運用をサポートしており、DXの基盤となるクラウド(Amazon Web ServicesやMicrosoft Azure、Google Cloudなど)の利用支援分野に強みがあります。
国内ビジネスは、本社のある金沢エリアおよび3拠点(東京、名古屋、大阪)でグループ展開していますが、東京エリアでの比重が高く、売上・従業員数ともに半分以上を占めています。また海外事業として、北米に2つの子会社(アメリカ・シリコンバレー、カナダ・バンクーバー)を展開しています。
企業能力 KFS(Key Factor for Success = 重要成功要因)
同社のビジネスは、「独立系」としてのオープンな立場と長年培ってきた確かな「技術力」をベースに「時代の要請に応じた新たな価値・サービスを創造」していることが特長です。
Performance:全体業績
経営環境と同社の動向
同社の属するIT業界は、DX需要の高まりを受け拡大傾向にあります。特に同社の得意領域であるクラウド関連は、 情報システムのオンプレミスからクラウドへの移行に加え、移行後の活用やマルチクラウド対応も増加しており、市場は引き続き大幅成長が見込まれています。
2023年6月期決算の概要
P/L
2018年のIPO以降、毎期「増収増益」を継続中。直近の2023年6月期は二桁の「増収増益」!
こうした中、同社は2018年8月のIPO以降、毎期「増収増益」を継続中で、2023年6月期は二桁の「増収増益」を達成しています。
売上高は192億6千7百万円(18.9%UP)、営業利益は14億5千6百万円(21.7%UP)、経常利益は14億6千5百万円(23.1%UP)、親会社株主に帰属する当期純利益は10億9百万円(28.5%UP)と好調な業績結果でした。
B/S
総資産および純資産ともに増加。結果、自己資本比率は2.7ポイントUPし46.5%へと推移。
総資産は、13.5%UPの88億7千万円、純資産は、20.6%UPの41億2千4百万円となりました。自己資本比率は2.7ポイントUPして46.5%へと推移しています。
また、ROEは24.5%から26.8%へと2.3ポイントUPしており、健全な財務基盤を示す指標において業界平均以上の高い数値を達成しています。
C/F
フリーキャッシュフローは7億3千2百万円から7億4千2百万円へと推移。
フリーキャッシュフローは、前期の7億3千2百万円から7億4千2百万円へと推移しています。
株主還元
2023年6月期の配当は32円を実施。さらに次期は4円増配して36円を予想。
株主還元については、配当金額32円を実施、配当性向は32.9%から32.8%へと推移しています。なお、2024年6月期は、配当金額36円、配当性向31.9%を予想しています。
2024年6月期の見通しは、2018年のIPO後毎期連続の「増収増益」を見込む!
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Performance:セグメント別状況
同社は、2023年6月期よりセグメント区分を5つへと変更しています。なお、セグメントの売上高については、外部顧客への売上高を記載しています。
(クラウドインテグレーション事業)
ServiceNow、Microsoft Azure、Amazon Web Services、Google Cloudなどのクラウドサービスの移行・利用に係る技術支援やライセンス等の再販をしています。
構成比率では、売上高27.6%ながら、セグメント利益は54.3%と半分以上を占めています。なお2023年6月期は、DXを追い風に各クラウド関連が好調に推移し、特にAmazon Web Services、Google Cloudの伸びが顕著で、前年同期比で売上高53億1千9百万円(57.0%UP)、セグメント利益8億1千2百万円(46.6%UP)と大幅に伸長しました。
(システムインテグレーション事業)
ERPパッケージの導入・利用に係る技術支援、Oracleデータベース等のインフラ構築、ITシステムのコンサルティング・設計・開発・運用保守を行っています。
構成比率は、売上高58.7%と半分以上を締めますが、セグメント利益は14.5%です。なお2023年6月期は、ERPパッケージ利用支援分野が好調に推移した結果、前年同期比で売上高113億1千5百万円(7.8%UP)、セグメント利益2億1千7百万円(20.5%DOWN)でした。なお、営業利益であるセグメント利益は販管費の按分によって減益となっていますが、売上総利益は9.7%UPと順調です。
(アウトソーシング事業)
プライベートクラウド等のデータセンターサービス、データ分析・入力、ニアショアによるシステム運用保守を展開しています。
構成比率は、売上高9.2%、セグメント利益は14.0%を占めています。なお2023年6月期は、データセンター業務で月額利用料等のストック売上や顧客1社あたりの利用料が増加した結果、前年同期比で売上高17億7千2百万円(14.9%UP)、セグメント利益2億9百万円(11.0%UP)でした。
(プロダクト事業)
同社グループによるソフトウェアの開発および販売、ユーザー企業の用途に応じたカスタマイズを行っています。
構成比率は、売上高3.6%、セグメント利益は13.1%です。なお2023年6月期は、建て役者(建築業向け工事情報管理システム)及びSHIFTEE(クラウド型シフト管理システム)等の販売が好調に推移した結果、前年同期比で売上高6億9千3百万円(3.4%UP)、セグメント利益1億9千6百万円(8.2%UP)でした。
(海外事業)
北米で展開する子会社2社により、システムインテグレーションや給与・会計業務のアウトソーシング、人材紹介サービス、メディア運営を行っています。
構成比率は、売上高0.9%、セグメント利益は4.1%です。なお2023年6月期は、前年同期比では、売上高1億6千6百万円(68.3%UP)、セグメント利益6千1百万円(75.0%UP)と大幅に伸長しました。
ESG Elements:環境・社会・ガバナンス
同社は社是として「至誠と創造」を掲げ、「社会への貢献」、「顧客サービス向上」、「価値の共有」を経営理念に据えた事業展開を推進しています。
社会面では、多様な人材が活躍できる職場づくりを目指し、アフターコロナでの在宅勤務の継続やフレックスタイム制の導入等、制度拡充に努めています。「育児休業取得率」84.0%(男性70.0%、女性140.0%)など、具体事例として高い比率を示しています。
なお、技術者不足が深刻なIT業界において、同社は積極的な採用活動によって2023年6月期には新卒・キャリア合わせて185名を採用。また離職率は業界水準を大きく下回る5.4%であり、同社のサービス提供を支える技術者を順調に増加させています。
また、同社が石川県金沢市にて運営するMicrosoft Base Kanazawaは、ITの最先端領域であるXR(クロスリアリティ)の開発拠点であり、DX人材育成による産学官民のデジタル化の促進や新たなビジネスチャンスの創出を図り、コンセプトである「金沢発、北陸地方IT都市化の実現」を目指します。
ガバナンス体制では、同社の社外取締役比率は44.4%(4/9名)。また、女性取締役比率は33.3%(3/9名)とガバナンス体制の多様性が担保されています。
Plan 中期経営計画
同社の中期経営計画ローリングプラン(2024年6月期~2026年6月期)では、「成長と更なるイノベーションの創出」を中期テーマと定めています。
また、2026年の最終年度まで毎期二桁の増収増益を目指して、「顧客・社会のDX推進の基盤となるサービスの拡充」、「多様な人材の成長と活躍」、「ESG経営の強化」の基本戦略を推進しています。
DXの基盤となるクラウド基盤サービスは引き続き市場拡大が予測され、既存事業の伸張と事業領域の拡大に注力する考えです。特に、同社が2023年5月より開始したChatGPTをはじめとしたAI関連の導入支援サービスは注目度も高く好調に推移しており、今後が期待できます。
中期経営計画ローリングプラン(2024年6月期~2026年6月期)の目標
2020年6月期 →2023年6月期 →2024年6月期(計画) 売上高: 133.7億円 →192.6億円 →268.0億円以上 営業利益: 7.5億円 →14.5億円 →24.0億円以上 営業利益率(%):5.6% →7.6% →9.0%以上 |
Out Look まとめ
同社の「世界を視野に入れたビジネスモデルの構築」と「イノベーションを主導的に創造する企業としてグローバルに挑戦する企業姿勢」には好感が持てます。同社が中期テーマとして掲げる「成長と更なるイノベーションの創出」に向けた成長戦略の取り組みは「◎」です。
その他注目の「クラウドコンピューティング」「ソフト・システム開発」関連のテーマ株
JBCCHD(9889)
ITインフラ構築大手。超高速開発、クラウドに強み。独自ソフト開発や電子カルテ、3Dも。
テラスカイ(3915)
クラウドシステムの導入支援や開発。セールスフォースと提携。大企業、AWS向け拡大。