【化粧品】【スキンケア】株式会社シーボン(4926)
今回は、化学業種から【化粧品】、【スキンケア】の株テーマに関連する、株式会社シーボン(4926)を取り上げます。
Key Points
- 独自の東洋式フェイシャルケア技術をベースに、「サロンケア」と「ホームケア」によりお客様に最高の美しさを提供するビジネスモデル
- 直近2024年3月期2Q決算では「増収増益」。すべての利益項目で黒字転換を達成
- 自己資本比率は1.1ポイントUPして65.7%へと推移、健全な財務基盤を示している
- 中間配当5円を実施。また、期末配当10円と合わせて年間配当金額15円を見込む
目次
Identity
企業能力 KFS(Key Factor for Success = 重要成功要因)
独自の東洋式フェイシャルケア技術をベースに、「サロンケア」と「ホームケア」によりお客様に最高の美しさを提供するビジネスモデル
同社は独自の東洋式フェイシャルケアで50年以上の歴史を誇る化粧品メーカーです。1966年の創業以来、スキンケア製品を中心とした化粧品・医薬部外品の製造・販売を手掛けており、「美を創造し、演出する」という企業理念の実現に向けて、東洋式フェイシャルケアを特徴としています。
シーボンの独自性は、以下の3点が挙げられます。
1)東洋式フェイシャルケア
シーボンのスキンケア製品は、東洋医学に着想を得て開発されています。肌の状態に応じたケアを行うことで、肌本来の美しさを保つことを目的としています。
2)カウンセリング重視
シーボンは、化粧品を販売するだけでなく、肌の状態に合わせたスキンケア方法をアドバイスするカウンセリングにも力を入れています。全国に約100のフェイシャリストサロンを展開しており、そこでは、肌の状態を解析し、一人ひとりに合ったスキンケア方法を提案しています。
3)「サロンケア」と「ホームケア」
シーボンは、長年にわたって培ってきたノウハウと実績を基に、高品質な化粧品を開発・販売しています。同社はお客様に対して、「サロンケア」と「ホームケア」により最高の美しさを提供するというビジネスモデルが最大の強みです。
Performance:全体業績
経営環境
国内の経済環境は、新型コロナウイルス感染症の5類移行により経済活動が正常化に向かっており、人流は増加傾向、個人消費やインバウンド需要は徐々に持ち直しがみられます。しかしながら、原材料・エネルギー価格の高騰や円安による物価上昇、ウクライナや中国経済等の国際的な情勢不安の影響により、依然として先行きは不透明な状況が続いています。
2023年6月期決算の概要
P/L
直近2024年3月期2Qは「増収増益」を達成。
こうした中、2024年3月期2QのP/Lは「増収増益」でした。売上高は2.1%増となり、また利益面では、営業利益、経常利益、最終利益のすべての項目において黒字転換が出来るなど堅調に推移しています。
また、2024年3月通期決算においても「増収増益」で、全ての利益項目において黒字転換を想定するなど、P/Lの改善が伺えます。
B/S
自己資本比率は1.1ポイントUPし65.7%へと推移しており、健全な財務基盤を示す。
総資産は、0.5%DOWNの87億8千7百万円、純資産は、1.2%UPの57億7千6百万円となりました。自己資本比率は1.1ポイントUPして65.7%へと推移しており健全な財務基盤を示しています。
C/F
フリーキャッシュフローは12億7千2百万円から▲1億4千6百万円へと推移。
フリーキャッシュフローは前期の12億7千2百万円から▲1億4千6百万円へとマイナス推移でした
株主還元
2024年3月期の配当は中間配当5円を実施。期末配当10円と合わせて年間配当15円を目標。
株主還元については、2Qにおいて中間配当5円を実施。2024年3月期は、期末配当10円と合わせて年間配当金額15円、配当性向85.9%を目標にしています。
2024年3月期の見通しは「増収増益」、全ての利益が黒字転換でP/Lは改善見込み!
- 売上高 : 8,902百万円(前期比4.4%)
- 営業利益 : 200百万円(前期比 –%)
- 経常利益 : 202百万円(前期比 –%)
- 親会社株主に帰属する当期純利益:74百万円(前期比 –%)
今後については、同社では2024年3月期より新中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)をスタートさせています。「製品価値向上」「サロン価値向上」「新しい価値の創造」という3つの重点課題を掲げ、再成長を目指しています。
また、激変する社会環境と価値観の変化にしなやかに対応し、未来に向けた新しい「美」を追求、提案し、必要とされる企業であり続けるために、ブランディングプロジェクトを始動させました。2024年の新社屋竣工、2026年の創業60周年に向けて、サステナブルな社会に貢献する企業を標榜しています。
Performance:販売、R&D、Topicsなど
同社は、連結子会社3社と共にシーボングループを形成して、スキンケアを中心とする化粧品および医薬部外品の製造販売を行っています。
製品販売の状況においては、新規顧客の拡大を最重要と捉え、売上高91.7%を占める「直営店舗」においてサンプリングや肌チェックを通じたイベント施策などにより、集客数が前年同期比141.1%と大幅に増加しました。しかしながら、既存顧客の継続数および顧客単価が減少し、既存顧客への売上高は前年同期比91.4%に止まりました。
また「海外事業」では、主に中国での販売活動を強化しました。旗艦店舗の出店や業務提携などによりシーボンブランドの認知拡大に努め、売上高が前年同期比155.1%と伸長しています。
研究開発活動においては、皮膚科学研究に基づいた独自原料開発やその有効性の解明、同社サロン施術のエビデンスの収集など、価値向上を目指しています。
また、「心理性ホルモンと肌に起こる様々な現象」との関連性を解明。ストレスが引き起こす肌トラブルのケアとして、独自原料と研究成果を組み合わせた技術を確立し、サロン製品だけでなく、OEMやODM受託製品へと展開することで、お客様の肌と心に寄り添う製品づくりを進めています。
2023年3月期は、営業力の強化と本社組織のシームレス化を推進するため、本社機能を神奈川県川崎市から東京都港区へと移転しました。これにより、情報収集やブランド発信機会の強化による営業力の増強を図るとともに、コスト合理化による財務基盤の強化を図っています。
ESG Elements:環境・社会・ガバナンス
同社は「美を創造し、演出する」という企業理念のもと、すべての人々のQOL(Quality of Life)を向上し、事業活動を通じて持続可能な社会の実現への貢献に努めています。
サステナビリティ経営を企業戦略と位置づけ、「女性活躍推進」、「社会との共生」、「環境との共生」を事業活動の一環として組織全体で推進しています。
環境関連では、同社サロンにて「ヘアドネーション」の継続実施や製品を環境配慮のものに順次切り替えるなど、全社的なエネルギー使用量の削減により、Co2排出量は年々減少しています。
社会関連データでは、女性の活躍推進に関する取り組み企業として、女性活躍推進法の特例認定マーク「プラチナえるぼし」を取得しており、女性管理職数は業界特性もありますが高い比率です。
ガバナンス体制では、社外役員比率は9名中4名と44.4%。また、女性役員も同様に9名中4名で44.4%となっています。
Plan 中期経営計画
同社では、現在3ヶ年の中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)を推進中です。
事業戦略として「製品価値向上」「サロン価値向上」「新しい価値の創造」という3つの重点課題を掲げ、2026年の創業60周年に向けて、人と地球に優しい、サステナブル社会に貢献する企業を標榜しています。
製品戦略である「製品価値向上」は、心と肌を科学して、お客様に安心と安らぎを提供することをR&Dの意義(パーパス)とし、技術の盤石化と製品価値の市場への認知拡大を目指しています。また、スターブランド、スターアイテム育成に注力することで新規顧客獲得を目指しています。
顧客戦略としての「サロン価値向上」は、新規顧客獲得と顧客満足の向上が目的です。サロン店舗のリニューアルによりロイヤルカスタマー専用デスクを新設するなど更なるファンづくりに努めています。また、「サロン」と「ホームケア」でお客様に最高の美しさを提供するというビジネスモデルが同社の強みであり、科学的価値や機能価値を分析し、「なぜ、このシステムで美しくなるのか?」というシーボン美容理論の構築を目指しています。
販売チャネル戦略である「新しい価値の創造」は、主に海外EC市場とバラエティ市場への進出、拡大がポイントです。業務提携した中国EC企業との連携強化で、中国での会員専用サイトでの販売を軸に、国内でもインバウンドの増加や在日中華圏顧客のサロン来店促進に注力します。またバラエティ市場へは、新ブランドの投入によるサロン発信メーカーとしての価値観を打ち出していく方針です。
こうした方針のもと、中計最終年度である2026年3月期には、売上高100億円および営業利益8億円を目標数値にしています。
Out Look まとめ
同社の優位性は、独自の東洋式フェイシャルケア技術をベースにした「サロンケア」と「ホームケア」でお客様に最高の美しさを提供するビジネスモデルです。
企業理念である「美を創造し、演出する」の実現を目指して、同社独自のビジネスモデルで真摯ににチャレンジする企業姿勢は「◎」です。