IR(独自企業分析)

「パチンコ・パチスロ、カジノ関連、制御システム、ゲーム関連テーマ」ダイコク電機(6430)

みんかぶ編集室
公開)

 今回は電気機器の業種から【パチンコ・パチスロ】【カジノ関連】【制御システム】【ゲーム関連】【顔認証】などの株テーマに関連する、ダイコク電機株式会社(6430)を取り上げます。

Key Points

  • 「ホールコンピュータの市場シェアNo.1」と「ビッグデータ保有によるストックビジネス展開」が優位性。
  • 直近2024年3月期3Qは「増収増益」利益面ではすべての項目で三桁UP
  • 自己資本比率は、1.5ポイントⅮOWNして67.7%へと推移したが、健全な財務基盤を維持
  • 2024年3月期の年間配当は70円増配の120円に加えて特別優待品を用意。なお、配当性向は21.6%を想定。

目次

Identity

企業能力 KFS(Key Factor for Success = 重要成功要因)

業界のトップランナーとして「パチンコホール設備機器の開発・製造・販売の総合力」だけでなく、「ホール向け情報サービスの提供およびコンサルティング」までも提供

同社の優位性は、「ホールコンピュータの市場シェアNo.1」と「ビッグデータ保有によるストックビジネス展開」に表されます。

 1974年に業界で初めてパチンコホール経営用コンピュータをリリースして以来、同社のホールコンピュータを使用するホール店舗数は、シェア率38.7%(同社調べ)を誇ります。

 さらに、500台以上の店舗シェア率は60.9%と大型店舗への導入が多く、業界トップシェアが特長です。全国のホール店舗数は減少傾向にあるものの、1店舗当たりの遊技機設置台数は増加しており、店舗の大型化が示されています。近年では、同社の主要な顧客である大手企業が、閉店店舗に対しM&Aを積極的に行っており、同社のシェアUPに寄与しています。

 また、同社のサーバーには、全国356万台のうち、毎日141万台(約40%)のデータが送られ、ビックデータを活用した新たな価値提供、事業展開にも積極的に取り組んでいます。

Performance:全体業績

経営環境と市場動向

 同社が属するパチンコ業界では、スマートパチスロおよびスマートパチンコの導入が加速しています。

 同社の3Q時点におけるスマートパチスロ機の設置割合は31.0%、パチンコ機全体におけるスマートパチンコ機の設置割合は4.9%となりました。遊技機の稼動状況は、期間平均で前年同期比104.2%でした。

 このようにスマート遊技機市場は、スマートパチスロを中心として、導入期から成長期へ変化しつつあります。

2024年3月期3Q決算の概要

P/L
直近2024年3月期3Qは「増収増益」、利益面ではすべての項目で三桁のUP。

 結果3Q業績は対前年同期比で、売上高88.3%増、営業利益195.4%増、経常利益183.1%増、最終利益188.6%増となりました。

 また2024年3月期通期では、過去最高益となる業績を見込んでいます。 売上高は535億円と前年同期比68.1%増、損益面では三桁の「増益」を想定しており、営業利益117億円で191.1%増、経常利益118億円で177.0%増、最終利益では82億円で180.1%です。

B/S
総資産および純資産ともに増加だが、自己資本比率は1.5ポイントDOWNし67.7%へと推移。

 総資産は、23.5%UPの596億3千6百万円となりました。純資産は、20.9%UPの403億9千5百万円となりました。

 自己資本比率は、1.5ポイントⅮOWNして67.7%へと推移しましたが、健全な財務基盤を維持していると思われます。

株主還元

2024年3月期の年間配当は70円増配の120円に加えて特別優待品を用意。なお、配当性向は21.6%を想定

 株主還元については、事業環境や収益の状況、配当性向などを総合的に勘案して、安定配当と業績に応じた利益還元を基本方針としています。2024年3月期は、中間配当を10円増配して20円を実施。また2月13日時点で増配を発表し、期末配当は70円増配、年間配当金額は同社過去最高となる120円を見込んでいます。さらに創業以来過去最高の利益を達成する見込みとなったため、2024年3月末に100株以上保有の株主にQUOカード3000円を贈呈する特別株主優待を実施することも発表しています。なお、配当性向21.6%を想定しています。

Performance:セグメント別状況

 同社のビジネスは2セグメントに区分けされます。

情報システム事業

 3Q期間においては、スマート遊技機導入によるパチンコホール経営企業の活発な設備投資需要が継続しています。『パチンコホール向け製品等』の売上は、スマート遊技機専用カードユニットを含むカードユニット(VEGASIA)、情報公開端末(「REVOLA」、「BiGMO PREMIUM」)の販売台数が好調に推移した結果、前年同期を大幅に上回りました。『サービス』の売上は、主要サービスが堅調に推移し、スマート遊技機登場による市場変化への対応に関連した「MIRAIGATEサービス」の加盟店舗数が増加したこともあり、前年同期を上回りました。結果、当事業の売上高は112.6%増、セグメント利益は185.8%増となりました。

アミューズメント事業

 市場全体のパチンコ機販売台数が減少した影響もあり、遊技機向けの表示ユニット及び制御ユニット販売、部品販売ともに、前年同期を下回りました。結果、売上高は29億9千9百万円(前年同期比26.3%DOWN)、2億68百万円のセグメン損失(前年同期はセグメント利益4億4百万円)となりました。

ESG Elements:環境・社会・ガバナンス

 同社では、「イノベーションによる新しい価値づくりを通じ、これからも一貫して持続的な成長を果たしてまいります。」という経営理念のもと、事業活動を通じて社会課題を解決し、持続可能な社会の実現とグループの成長を目指しています。

 加えて、取締役会の直下に「サステナビリティ委員会」を設置し、社会価値の最適化を図るためのサステナビリティ戦略を推進しています。

 同社では、以下5つのマテリアリティのもと、積極的にSDGs活動を推進しています。

 環境関連では、気候変動に関するリスク低減と機会創出に向けて対応策を策定しています。また、2024年2月に CDP*より、「気候変動」に関する取組みと情報開示について、マネジメントレベル「B」と評価されました。

 社会関連では、社会で求められているプログラミング人材の育成を目的とした小学生向けプログラミング教室の開設や「愛知県工業高校生ロボット競技大会」に協賛するなど、経営理念に基づいた社会貢献活動を推進しています。また、「ギャンブル依存症チェックゲーム」を開発し業界のマイナスイメージ払拭に努めています。そして「人財活躍の推進」では、DE&Iを重要視した人財活用を心掛けています。

 ガバナンス体制では、社外取締役比率は40%です。但し女性取締役は1名となっており、今後のさらなる取組みが期待されます。

Plan 中期経営計画

 同社の中期経営計画は順調に進捗しています。

 情報システム事業では、「スマート遊技機」の普及に伴う需要、2024年7月に予定されている「新紙幣」発行に伴う製品の更新、入れ替え需要を取り込むとともに、引き続きAI ホールコンピュータ「X(カイ)」の普及を促進するほか、同社社長の「業界DXのリーダーを目指す」という言葉にあるように、最新技術(AI・ビッグデータ)を活用したサービスをスピーディーに提供できるよう、基盤となるプラットフォームを刷新するためクラウド開発を強化、新MIRAIGATEサービスの拡大により安定収益の増加を目指しています。

 アミューズメント事業では、パチンコホールの稼動・集客に貢献するスマートパチスロを開発・製造・販売できる「パチスロメーカー」を目指しており、2025年3月期に自社ブランドのスマートパチスロ機の市場導入を予定しています。

 また、新たな収益源の獲得やリスク分散を図るうえでも、異業種参入を目的としたM&Aや業務提携の取り組みに注力しています。

Out Look まとめ

 ダイコク電機の優位性は、「ホールコンピュータの市場シェアNo.1」と「ビッグデータ保有によるストックビジネス展開」です。

業界のトップランナーとして「パチンコホール設備機器の開発・製造・販売の総合力」だけでなく、「ホール向け情報サービスの提供」および「コンサルティング」まで行っている同社独自の企業姿勢は「◎」です。

 その他注目の「パチンコ・パチスロ、カジノ関連、制御システム、ゲーム関連」テーマ株

セガサミーホールディングス(6460
セガとサミーが統合。ゲーム、アミューズメント機・運営。コンテンツ事業に強み。リゾート運営も。

オーイズミ(6428
パチスロ等メダル計数機最大手。補給回収システムに強み。不動産賃貸、食品と多角。

マースグループホールディングス(6419
パチンコ周辺機器大手。非接触カードシステム強み。自動認識システム注力。ホテル運営も。

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